第三章

 日差しがますます強くなり、まだセミの鳴き声が聞こえてこないのが不思議なくらいの猛暑日。制服も衣替えとなり今日から夏服での登校となった。

 久礼野高校の夏服は半袖の白シャツで冬服と同様に紺色のネクタイを付けるのが義務とされている。

 見上げるのも億劫になるほどの晴天の日に、新井とのデートを勝ち取ってからずっと上機嫌だった私を不機嫌にする出来事が起こった。

「えー、今日は皆さんに転校生を紹介します。どうぞ入って来てください」

 担任の大川に呼ばれて入って来たのは金髪の男子生徒。

「初めまして、レディ達。僕の名前は京宝院竹光。気軽に竹ちゃんと呼んでくれたまえ」

 髪をかき上げる仕草で自己紹介するナルシストにクラス中から歓声が上がった。

『きゃー! イケメンキタァー!』

『うぉぉぉぉぉ? 竹ちゃぁぁぁん?』

「男子諸君に許可した覚えはないんんだが……まぁ、よろしく」

「はいはーい。イケメンが来て先生もテンション爆上がり中ですが、皆さん落ち着いて下さい。竹ちゃんは一番後ろに席を用意したので、そこに座ってください。分からない事があれば隣の太田君に色々聞いて下さい」

「…………ぶぅ」

「待って下さい、ミス大川。どうして彼は鎖に繋がれているのでしょうか?」

「個性です」

「こ、個性? 田舎の学校は変わった伝統が多いと聞くが、想像以上だ」

 コブトリの隣の席に躊躇しながら座る京宝院、まさかこの学校に転校して来るとは予想外だった……去り際に行っていたサプライズとはこの事だったのか……。

「えー、以上でホームルームを終わります。このクラスは問題児が多いので他の先生方からの視線が痛いですが、私は仕方なく職員室へ戻ります。今日こそはくれぐれも問題だけは起こさないように!」

「ご苦労だったな大川」

「大川先生です?」

 この私が労ってやったというのに、怒って教室を出ていく大川。生理か?

 ホームルームの終了と同時に、京宝院はクラスメイト達に囲まれているのを振り切ってまっすぐ私の席に向かって歩いて来た。

「どうだい僕のサプライズ。喜んで貰えたかな?」

「あれ以来、全く登場が無かったから存在を忘れていたぞ京宝院」

「教育委員会への根回しに思った以上に時間が掛かってしまってね、アニメや漫画の急な転校生はどうやって転校を臭わせてからあの速度で転校しているのか、全く疑問だね」

 歯を見せて笑う京宝院はナルシストで自分がカッコいいと思っているに違いない。相変わらず外見は良くても性格は終わっている。

「久しぶりー竹ちゃん」

「おやおや、美桜さんだけではなく光莉さんも同じクラスだなんて、なんという運命!」

「さっき教育委員会に根回ししたとか言っていただろう。何が運命だ」

「なんか、竹ちゃんって美桜ちゃんと似てるねー」

「おっ、光莉さんには分かるかい?」

「どこがだ光莉? 一体この阿呆と私のどこが似ていると言うのだ?」

「ナルシストなとことかー、ストーカーなとことかー、基本他人を見下してるとことかー、ちょっとアホなとこかなー」

「「ちょっと待て!」」

「ほらー、二人そっくりだー」

「ふっ、光莉さんの言う通りやはり僕と美桜さんは運命の赤い糸で結ばれたパートナー!」

『きゃー! 素敵―!』

 この阿呆が大声で阿呆な事を言ったせいで、教室内でまた私の良からぬ肩書が増えてしまったではないか。

「黙れ! 私は貴様なんぞに興味は無い!」

「そうだよー竹ちゃん。美桜ちゃんは柊君の事が好きなんだよー」

「なんだって? その柊君とは一体どこの馬の骨だい?」

「どんなって言われてもー、あーちょうどあそこに居る人が柊君だよー」

 光莉の指さした先には、本当に新井が居た。

 いつから立っていたのか分からないが、教室の出入り口に立っていた新井は急にクラス中の視線を浴びて驚愕の表情を浮かべた。

「なっ、なんだ急に? 俺は有栖川に用があって来ただけなんだけど」

「きゃー! 有栖川さんに会いに来たですってー!」

「三角関係よ! 三角関係!」

「こんなイケメン二人に迫られて、有栖川さんが羨ましい! 妬ましい! 殺したい!」

「まて、光莉ちゃんとの百合を推している我々からしたらこれは四角関係!」

「くっそー! 有栖川さんの事見た目だけはタイプだから狙ってたのにー!」

「…………んぶぅ」

 一年二組特有の毒素に当てられた新井は、来て早々帰りたそうな顔をしている。

 そんな新井を逃がすまいと私は京宝院を押しのけて新井の元へ向かった。

「教室に来るなんて珍しいな。わ、私にどんな用事だ?」

「あ、えーっと、改めて言うと変な感じだが……その、デートの事で日程決めて無かっただろ?」

 頭を掻いて少し恥じらいながら、言う新井に私は萌えた。

 なんだこの幸福感……感無量だ。

「な、なんだ! そそそそんな事か! じゃあ、そうだな、次の日曜は……どうだ?」

 光莉から伝授された必殺上目遣いで新井を見上げると、横からゴミカス野郎が入って来た。

「そのデートちょっと待った!」

 ゴミカス……もとい京宝院は私と新井の間に遮るように手を伸ばした。

「君が光莉さんの言っていた柊君か?」

「ああ、テメェは誰だ?」

「おっと失礼。僕の名前は京宝院竹光。気軽に竹ちゃんと呼んでくれ」

 こいつは、自己紹介の度に髪をかきあげないと死ぬ病気なのか?

「竹ちゃん……あだ名ってなんか友達っぽくて良いな! 俺の事もあだ名で呼んでいいぜ!」

 あぁ~友達っぽい事に弱すぎるぞ新井! 今のは私を独占するような言動を言う流れだっただろう?

「うーん、そうだな。なら君の事はひろっちと呼ぼう」

「なんだそのセンスゼロのあだ名は? 新井にあだ名を付けられるなんてノーベル賞の次に名誉な事なのだぞ!」

「ひろっち……良いな! これからよろしくな竹ちゃん!」

「ああ、よろしく。ひろっち」

 熱い握手を交わす二人に、

『キャー! まさかのそっちがくっつくかー! アリアリのアリー?』

『俺達の竹ちゃんが~』

 腐女子とホモが発狂した。

「おい新井! 貴様一体何しに来たのだ?」

「あ、そうだった! デートの日にち決めようぜ!」

 いや誘い方? 竹ちゃんの登場で私の価値が軽くなってないか?

「そのデートちょっと待った! ひろっちには悪いが、美桜さんは僕の婚約者なんだ。軽々しくデートに誘うのは止めてもらおう」

 面倒くさい奴が面倒くさい事を言い始めた。

「光莉、アイアンクロー」

「ヒカチュウッ!」

「いだ、いだだだだだだ!」

 光莉のアイアンクローでねじ伏せられる京宝院。そのまま頭を潰してしまえ。

「ちょっと柊君! もうすぐ授業始まるわよ!」

 面倒くさい奴を処分したと思ったら、もう一人邪魔な存在である天堂がやって来た。

「問題児をいちいち迎えに来ないといけないなんて、委員長は大変だな!」

「そう思うなら困らせないでよ! 有栖川さんとちゃんと話せた?」

「そちらの素敵なレディ! お名前を伺っても?」

 光莉のアイアンクローから復活した京宝院は片膝をついて天堂に迫った。

「あ、えっと……天堂詩織ですけど……」

「詩織さん……な、なんと美しい名前なんだ! 名は体を表すとは良く言うが貴方ほどの美しい女性に僕は出会った事が無い! まさに女神のような美しさだ!」

 京宝院の言葉に天堂は一瞬顔をヒクつかせた。

「おい貴様! まさかこの私よりもチチメガネの方が美しいと言うのか!」

「チチメガネ?」

「ふふっ、嫉妬している美桜さんも美しいよ」

「光莉、十万ボルト」

「ちょ、待ってくれ美桜さん! それは本当に洒落にならない!」

 光莉が本当に十万ボルトを出せると知っている京宝院は必死に命乞いをする。

「ちょっと有栖川さん? チチメガネってまさか私の事じゃないわよね?」

 半泣きになって天堂が私に迫る中、急に京宝院が指を鳴らした。

「名案を思い付いた! 美桜さんとひろっちのデートに、僕と詩織さんも同席させて貰おう! それなら僕も文句は無い」

 ゴミカスによるゴミカスのような提案に、私と光莉以外の全員が目を輝かせた。

「人数が多い方が楽しいと思うし、俺はいいぜ!」

「私も京宝院君のアイディアに賛成だわ!」

「……あれ? 光莉は?」

「も、もちろん光莉さんも一緒に行きましょう!」

「わっふー!」

 訂正、私以外の全員が目を輝かせた。


 我が日本国には三大財閥がある。

 武の有栖川。

 財の京宝院。

 智の九十九(つくも)。

 三大財閥はそれぞれが絶大な力を持つが故に仲が悪く、幼い頃の一目ぼれを理由に私に何度も求婚をしている京宝院竹光は京宝院家の中でもかなり異端児……バカとして扱われている。

 光莉が京宝院と私を似ていると言っていたが、恋に盲目になるという点については確かに似ているかもしれない。

 例えば、仮に有栖川家の人間に新井との交際を反対されても私は光莉を使って反対意見を全て殲滅するだろう。

 京宝院の暴走もそれと同じ気持ちというのであれば理解出来る。

 しかし、折角の新井と私二人だけのデートを邪魔した奴を私は絶対に許さない。

 京宝院に対する殺意をふつふつと思い出しながら、私はクローゼットをひっくり返してデートに着ていく服に悩んでいた。

 邪魔な存在が三人も居るとは言え、デートはデートだ。

 当然私であれば、どんな服でも着こなす事が出来るが……問題は新井の趣味にどれだけ近づけられるか、だ。

 新井の趣味って、どんなだ? 駄目だ、全然想像つかん……。

 あーでもない、こーでもないとタンスの中身と睨めっこしていると、部屋のドアが二度ノックされた。

「光莉か?」

「マスター、入ってもよろしいでしょうか?」

 一礼してから、入室した光莉はバスタオルを持っていた。

「マスター、一緒にお風呂に入りませんか?」

「一緒に? 構わないが、急にどうした?」

「マスターにご相談に乗っていただきたい事があります。裸の付き合いをしましょう」

 裸の付き合いなんぞ、おっさんみたいな言葉一体誰から吹き込まれた? しかも意味間違ってるぞ。

「丁度良い、私も光莉に相談したい事があったのだ」

 パジャマとバスタオルを持って、光莉と浴室へ向かった。

 我が家の浴室は広く設計してあり、大人二人が一緒に入っても足が伸ばせる程度に浴槽は広い。

 ちなみに、前に一度誤って松前の入浴中にドアを開けてしまった事が原因で、松前には近所の銭湯に行ってくるように命令している。

 メイド服を脱いだ光莉の裸を見て、思わず私は絶句した。

 あくまで女子高生の平均値で設計されていると聞いていたが、絶対に嘘だ。

 胸こそはあまり大きくないが無駄な脂肪など一切なく、光莉は人間離れした美しいプロポーションをしていた。

 こんな完璧なプロポーションの女子高生絶対居ないだろ! ふざけるな!

「あの、マスター。あまり凝視されると流石に私も恥ずかしいのですが」

「す、すまない! あまりに綺麗だったからつい」

「マスター。それは誘っているのですか?」

「断じて違う! 私にそっちの趣味はない!」

「……そうですか」

 なぜか残念そうに先に浴室に入る光莉。

 遅れて私も入ると、光莉がシャワーの前で正座をして待機していた。

「マスター。お背中をお流し致します」

「う、うむ。よろしく頼む」

 幼い頃は侍女に体を洗ってもらっていたが、この年になってから誰かに洗われるのはなかなか恥ずかしいな。

 光莉は丁寧な手つきで私の髪を洗い、そして体を洗い始める。

「光莉は本当に何でも出来るのだな」

 体を洗う手を動かしたまま、光莉は少し躊躇してから答えた。

「…………私は、マスターのお役に立てていますか?」

「当然だ。今もこうして体を洗って貰って助かっているぞ」

「マスターは、どうして私をお作りになられたのですか?」

「正確には、私は光莉を作ったのではないのだがな。有栖川家は資金提供と兵器開発の協力をしただけだ。設計やAI、その他システムは九十九家が主となっている」

「そうですが、私が目を覚ました時に居たのはマスターです。マスターは何か目的があって私をお作りになったのでは無いのですか?」

 続けて、光莉は誰もが抱いている当然の疑問を口にした。

「私は、何のために存在しているのですか?」

 まさか、光莉がそんな疑問を抱くとは思わなかったが……。

 私は光莉に残酷な事実を告げる。

「建前上は、戦争に備えてだ」

「…………」

 光莉は何も言わず、表情一つ変えず私の右手を洗う。

「国家の剣であり、盾である有栖川家は有事に備えて他国を圧倒出来る武力を保有しておかなければならない。万が一、大規模な戦争が起きた時にも日本国民の命や財産を守る為に、だ」

「私は、戦争が起きなければ意味の無い兵器なのですね」

「勘違いするな。建前上の話だと言っただろう」

「どういう事でしょう?」

 首を傾げる光莉に私は少し照れ臭そうに本音を喋る。

「本当は、ただ友達が欲しかったのだ」

「友達、ですか?」

「その通りだ。光莉は私の友達である以上、存在している価値があるのだ。だから、作られた意味だとか、存在する価値だとか難しい事は考える必要は無い。ただ、私の友人として一緒に居てくれ」

「それは、困りました」

「なぜだ?」

「私に搭載されている、消滅砲(イレイザーキャノン)という装備を試し打ちしたかったのですが……」

「絶対にやめろ? それがきっかけで戦争が起きかねん!」

「御意。戦闘命令が出るまではマスターの友人として私は活動します」

「それでいい。人間もヒューマノイドも関係無い。存在する理由などその程度の理由で良いのだ。誰も大層な存在理由を持って生きていない」

「……そういうものなのですか?」

「そういうものなのだ!」

 お湯で流し終わり、今度は私が光莉の体を洗う。

「ありがとう、今度は私が洗ってやろう」

「いえ、マスターに洗って頂く訳には……」

「私達は友人だ。背中は流し合わなければ対等な関係では無いだろう」

「……御意」

 スポンジで光莉の肌を洗いながら、今度は私が光莉に相談する。

「実は、今度のデートで着ていく服が決まらないのだが、何かいいアイディアは無いか?」

「ご安心下さいマスター。私はメイド服と制服しか持っていないので、メイド服でデートに行く予定です」

 事態は私の想像以上に、緊急を要する事が分かった。

「明日、一緒に服を買いに行くぞ。東京に戻るのでヘリを手配しろ」

「御意」


 急場で私服を用意した私と光莉は、遂にデート当日を迎えた。

 デートに向けて購入した黒のシャツワンピースを着た私は、姿見の前で一回転してにやける。

 これはやばい。私が可愛い過ぎるっ!

 すると、二回のノックの後に光莉が入って来た。

「マスター。そろそろ迎えが来るお時間です」

「む。もうそんな時間か、鏡を見ていたら一時間近くも経ってしまった」

 今日の光莉はメイド服では無く、白い半袖パーカーに黒のショートパンツというカジュアルな服装だ。

「光莉も似合っているではないか!」

「ありがとうございます。マスター」

 今日のデート場所は京宝院が手配するそうだ。

 見栄を張る事に関して右に出る者の居ない京宝院に任せた方が、デート経験の無い私や新井よりも手慣れていると考えた私も、京宝院が手配すると言い出した事に反対はしなかった。

 京宝院は午前十時に家の前で待っているようにと言っていたが、どんな迎えを寄越すつもりなのだろう?

 午前十時になって、玄関のドアを開けて外に出ると騒々しいプロペラ音が上空から徐々に近づいて来た。

「はははっ! グッモーニンお二人共! さぁ、掴まるんだ!」

 空を見上げると、京宝院がヘリコプラ―から梯子を垂らしていた。

 この派手好きは普通の登場が出来ないのだろうか?

 仕方なく、私と光莉は梯子を上りヘリに乗り込んだ。

「早朝から近所迷惑な奴め! 次ヘリで迎えに来たら撃ち落とすから覚悟しておけ」

「まぁまぁ有栖川さん。京宝院さんが折角迎えに来てくれたんだから」

「なんだ、貴様も居たのか」

 既に乗っていた天堂が私を宥める。

 シャツにロングスカートという特に褒める所の無い天堂の私服を見て、私は勝利を確信した。

 天堂の隣にはレアな私服姿の新井が居た。

 新井はドクロが描かれた中学生みたいな私服を着ている。

 正直、吹き出しそうになるぐらいダサいが、新井が着ていると一周回って可愛い。愛おしさすら感じる……!

「あ、新井! おはよう!」

「おはよう有栖川! 自家用のヘリ持ってるなんて、竹ちゃんってすっげー金持ちだよな!」

 渾身の私服を着ている私に対する感想ではなく、京宝院を褒め始めた新井を見て京宝院に殺意が沸いた。

「おはよう美桜さん。そのワンピースとても似合っているね。いつも美しい美桜さんが今日はとびっきり美しい!」

 私の殺意を感じたのか、唐突に私の服装をベタ褒めし始める京宝院。

「あの、もしかして京宝院さんって……まさかあの日本一お金持ちで有名な京宝院財閥の御曹司ですか?」

「ふふっ、ご明察。何を隠そう僕の総資産は十兆円だよ」

「十兆円?」

 京宝院の自慢にオーバーなリアクションを取る新井と天堂。

「ふんっ、金しか無い京宝院が随分と偉そうだな」

「お金があれば全部持っているのと一緒さ! お金があれば何でも出来る!」

「金なんぞ緊急時には何の役にも立たないだろう! 武力こそ全てだ!」

「俺も有栖川に賛成だぜ! 一番強い奴が一番偉いのは当然だからな!」

「おぉ……初めて新井が私の意見に賛同してくれた……!」

 一番強い奴という言葉に、光莉がにこにこ笑顔で笑った。

「もしかして、この中でまともな人って私しか居ないんじゃ……」

 ライオンの檻の中に放り込まれたうさぎの様に震え始める天堂。

「ところで京宝院、このヘリはどこに向かっている?」

「何を言っているんだい美桜さん! 今時の高校生がデートで行く場所と言ったら決まっているじゃないか! 下を見てごらん!」

 ヘリの窓から下を見下ろすと、そこに広がっているのは夢と魔法の国。もとい千葉県にある超有名テーマパーク。

「そう! 夢と魔法の国、デイジニーランドさ!」


 ヘリでパーク内へ着陸しようとする京宝院に天堂が心配そうな声を上げる。

「あの、入場料も支払わずに直接着陸して大丈夫なんですか?」

「ここは夢と魔法の国だから、ヘリで来場なんて日常茶飯事さ!」

「私デイジニーファンですけど、こんなの初めて聞きましたよ?」

 着陸態勢で徐々に陸へ近づくと、下にはデイジニースタッフ達が大勢集まってこちらに手を振っている。

『ようこそ! デイジニーランドへ!』

「おい京宝院。貴様いくら払った?」

 ジト目で問い詰める私から目を逸らし、わざとらしい口笛を吹く京宝院。

 無事に着陸し、私達を下ろすと京宝院家のヘリはどこかへ飛び去って行った。

「よっしゃー! 遊ぶぞー!」

「わっふー! あそぼー!」

 子供のようにはしゃぐ新井と光莉。二人の笑顔が見られただけでも来た価値があった。

 今回ばかりは京宝院に感謝をしなければいけない。

「さて、まずは何から乗ろうか? 僕のおすすめはライトニングマウンテンだよ」

「光莉あれ乗りたーい!」

 光莉が指さした先には、見上げたら首が痛くなる程の高さを誇るジェットコースター。

 正直、私は子供の時に乗って以来ジェットコースターの類は苦手なのだが、光莉に手を引かれて一緒に並ぶ事にした。

「しかし意外だな。貴様の事だから金に物を言わせてファストパスを買い占めていると思ったが」

「アトラクションの待ち時間もデイジニーの醍醐味だからね。美桜さんのお望みとあれば、すぐに乗せてあげる事も出来るよ?」

「いや、必要無いだろう」

 私達の後ろで光莉と新井と天堂の三人が楽しそうにお喋りしているのを見て、京宝院の言っている事がなんとなく分かった。

 並ぶ事三十分、遂に私達の番になった。

 先頭に私と光莉、その後ろに新井と京宝院、その後ろに天堂と知らないおじさんという順番で乗り込んだ。

「それでは皆さん、行ってらっしゃーい!」

 ガイドのお姉さんの掛け声と共に、ガコンと音を立てて進も始めるコースター。

 コースターは徐々にレーンを上っていく。

「まだ上るのか? まだ上るのか?」

「あははは! 美桜ちゃん怖がってるー!」

「なっ! こ、怖い訳あるか! ただ私はまだ上るのかとぉおおおおおおおおお!」

「わっふー!」

 知らぬ間に頂上に達していたコースターは急降下を始め、私は安全バーを握りしめたまま悲鳴を上げた。その後の記憶は一瞬過ぎて何も無い。

 悪魔が考えたとしか思えない機械からようやく解放された私は、ふらついた足取りで新井達が降りて来るのを待った。

「美桜ちゃん! 楽しかったねー!」

「私はもう二度と御免だ」

「いやー! 久しぶりのジェットコースター楽しかったな!」

「ジェットコースターは髪型が崩れるからあまり乗りたくないな」

「あの、私の隣に乗ってたおじさん。私の手を握って来たんですけど、軽くトラウマなんですけど……」

 一人違う意味で絶叫していたらしい。

 コースターを下りた後、コースターに乗っている時の写真がディスプレイに表示されていたが、私はとても人にはお見せ出来ない顔をしていた。

 ちなみに、天堂の隣に座っていたおじさんはその写真が証拠となって、京宝院の通報によりデイジニースタッフに連行されて行った。


 最初にジェットコースターを乗ったのは失敗だったらしく、吐き気に支配された私はみんなに休むと告げてパーク内のベンチで休んでいた。

 光莉は私に付き添おうとしたが、遊んでくるように命令した。

 ベンチで休んでいると、しばらくして新井が私の元へ走って来た。

 あまりにあり得ない光景だ。いつもの妄想か幻覚だろう。

 新井は私に水を差しだして、隣に座った。

「……幻覚じゃ、ないだと……?」

「ん? なんか言ったか?」

「いや、何でも無い」

 妄想でも幻覚でも無く、どうやら新井本人らしい。

「有栖川、大丈夫か? やっぱり体調悪いんじゃ?」

「大丈夫だ。少し休んだら大分マシになった……ありがとう」

 新井から受け取った水を飲むとだいぶ吐き気が楽になってきた。

「光莉達はどうした?」

「ああ、光莉達ならあそこにいるぜ」

 新井の指さす先を見ると、上空から急降下するアトラクションに光莉達三人が一緒に乗っていた。

「美桜ちゃーん! やっほー!」

 アトラクションに乗っている光莉が上空からこちらに手を振っている。

「私こういうの苦手なんですけど……」

「大丈夫さ詩織さん! 気分が悪くなったら僕が個室を用意しよう」

「あの、全然大丈夫じゃなさそうなので降ろして貰って良いですか?」

『きゃぁあああああああああああああ!』

 アトラクションの急降下と同時に、乗客達の絶叫がパーク内に響いた。

 光莉は楽しそうに両手を上げているが、天堂は眼鏡が飛んでいかないように必死だ。

 友達と遊ぶというのは、こういう事なのか。

 今まで経験してこなかった状況に、正直私は戸惑っていた。

 それは私の隣に座っている新井も同じようで、先ほどからなにかソワソワしていて落ち着きが無い。

「どうした? 何か言いたい事があるのか?」

 ソワソワしている新井は、照れ臭そうに答えた。

「その、ありがとうな」

「急にどうした? 死ぬのか?」

「死なねーよ! なんでお礼言っただけで死ぬと思ったんだ!」

「だって、あの礼儀知らずを擬人化したみたいな男が、唐突に礼を言い始めたのだぞ」

「お前、俺の事そんな風に思ってたのか。俺だって、礼ぐらい普通に言うっつーの」

「だが、私は新井に何かお礼を言われるような事していないぞ? 今日この場所に連れて来たのは京宝院だ」

「だけどよ、有栖川が俺に話し掛けてくれなかったら……こうして皆で遊んで無いだろ?」

 ぎこちなく笑う新井。

「だから、ありがとう」

 初めて会った時、私はこの男の寂しそうな顔を見て笑わせたいと思った。

 その一心で努力してきた。

 私が望んでいた光景は、いつの間にか目の前にあったのだ。

「あれ? なんだ、これは……」

 気が付いたら、私の頬に一筋の涙が零れた。

「え、ごめん有栖川! 俺またなんか変な事言ったか?」

「ち、違う! これは、違うのだ! 私は、ただ……」

 涙とは止めようとすればするほど溢れてくるもので、私はデイジニーランドの中心で号泣するという醜態を晒した……。これは、思い出したら死にたくなる記憶に違いない。

 号泣する私に新井が戸惑っていると、光莉達が戻って来た。

 流石にこいつらに泣き顔を見られるのは屈辱なので、死ぬ気で涙を止めたが充血した目と涙の後を見て全員が私を心配した。

「ど、どうしたの美桜ちゃん? 柊君に何か酷い事言われた?」

「光莉、怒ってるのか? どうして犬歯剥き出しで俺を睨むんだ?」

「美桜さんを泣かすとは、やるねーひろっち」

「違うんだ竹ちゃん! 俺は有栖川を泣かすつもりなんか無くて!」

「大丈夫有栖川さん? お手洗いで顔洗ってくる?」

「ありがとう。天堂の言う通り、少し席を外させてもらう」

 私は涙の後を消す為に、手洗いで顔を洗ってくる事にした。


 手洗い場を出ると、新井達三人が待っていた。

「あ! 有栖川さん大丈夫?」

「心配掛けた、もう大丈夫だ。ところで、京宝院はどうした?」

「さぁ? なんか急用が出来たとか言ってどこかへ行っちゃった。それより、もうすぐパレードが始まるみたいだから見に行きましょう!」

 デイジニーファンらしい天堂は、パレードにテンションが上がっている様子。

 デイジニーのパレードはパーク内にある大通りを使って行われる。パレード中は大通りが通れなくなるので、注意が必要だ。

 我々は京宝院のお金パワーによって最前列が用意されていたようで、デイジニーのスタッフに誘導された。

 心躍るようなリズミカルな音楽と共にパレードが始まる。

 デイジニー作品のキャラクターやデイジニースタッフ達による行進に天堂は完全に心を奪われた乙女の顔をしていた。

「…………素敵」

 私はデイジニー作品をあまり見た事が無いので、どのキャラがどの作品の登場人物かすら分からないが、天堂のようなデイジニーファンにとっては夢のような時間に違いない。

 退屈で寝始めた光莉は論外だ。

 新井もデイジニーが好きなのか、食い入るようにパレードを見ている。

 私はと言うと、そんな新井の横顔を見るので忙しくパレードどころではない。

 しばらくして、パレードも最高潮の盛り上がりを見せたところでデイジニーのメインキャラクターであるデジオとデジコというキャラクターを乗せた汽車が通る。

 デジオ達が乗った汽車が引っ張っている小さな城の中から、

「みんなー! 僕だよー!」

 黄金色の妖精みたいな服装をした京宝院が飛び出して来場者達に手を振った。

 来場者達は皆口を揃えて「誰?」「え、誰?」「なんのキャラクターだろ?」と呟く。

 私の隣で乙女の顔をしていた天堂は、京宝院が登場した瞬間死んだ魚のような目をしていた。

「うぉー! 竹ちゃんすげー!」

「竹ちゃーん!」

 京宝院の登場で喜んでいる来場者は、私の左に居る二人だけのようだ。

 京宝院……本当に貴様はデイジニーにいくら払ったんだ……!

 私は恥ずかしいので、京宝院とはしばらく他人のフリをする事にした。


 楽しい時間というものはすぐに過ぎてしまうもので、気が付くと日が沈みかけており既に空が茜色に染まっていた。

 一通りのアトラクションは乗った光莉達は流石に遊び疲れた様子だ。

「そろそろ帰りのヘリを手配しよう」

 そう言って電話を掛ける京宝院。

 うとうとしながら私の手を握る光莉、お土産屋に行ったきり帰ってこない天堂。

「その、今日は恥ずかしいところを見せて、悪かった……」

「びっくりしたけど大丈夫だ! 有栖川の体調が悪いとかじゃなくて安心したぜ!」

 ベンチに座っていた新井に話しかけると、新井は気持ちの良い笑顔で返してくれた。

 あー、好き。

「もし、新井が良かったらだが、今度は二人でどこか出掛けないか?」

 チラッと新井の顔を見ると、新井は一瞬苦悶の表情を浮かべ頭を抱えた。

「おい、大丈夫か?」

「あ、ああ。心配するな。ちょっと急用が出来たから先帰るわ!」

「先帰るって……ここ千葉だぞ? どうやって帰るつもりだ新井!」

 私の呼び止めも聞かず、入園ゲートの方へ駆け出して行く新井。

「美桜ちゃんどうする? 柊君を追う?」

「あの様子、只事じゃなさそうだ……。追うぞ光莉! ナビを頼む」

「任せてー!」

「京宝院、私達は急用が出来た! 天堂を連れて先に帰っていてくれ!」

「え! ちょっと美桜さーん?」

 電話中に話しかけられ、戸惑う京宝院を置いて私達はデイジニーランドを出た。

 新井の超人的脚力では、どこまで行っているのか見当も付かない。

「光莉は空から新井を探して、位置を私に教えてくれ」

「りょーかい!」

 そう言って、高くジャンプする要領で空に飛び立つ光莉。

 光莉には飛行機能が搭載されており、九十九のなんでもあり技術力によって熱燃料を使わない飛行を可能にしている。

 しばらくして、光莉から電話が掛かって来た。

『美桜ちゃん、柊君見つけたよー!』

「本当か! 場所はどこだ?」

『大きい倉庫が幾つも並んでる所。そのまま大通りを北に進んで!』

「分かった!」

 光莉の指示通りの道順で走る。

「くそっ、走りにくい!」

 途中、履いていたサンダルを脱いで裸足で走った。

 新井、貴様は一体何を隠している……この先にお前の人間離れした強さの秘密があるのか?

『美桜ちゃん、その角を右に曲がったら真っ直ぐだよー』

「ぎゃぁあああああああああああああ!」

 突如、近くで断末魔にも似た悲鳴が聞こえた。

「おい光莉! 今何が起こっている!」

『…………美桜ちゃん』

 そう言って、通話を終了する光莉。

「くそっ!」

 私はスマホをポケットに入れて悲鳴が聞こえた方向へ走った。

 裸足でアスファルトの上を全速力で走ったせいで、足裏は血で滲んでいたが先ほどの悲鳴が私に痛覚を忘れさせた。

 立ち並ぶ倉庫の中を走り、突き当りを右に曲がった先には立ち入り禁止と書かれた看板とロープがあった。ロープを跨いだ先に新井は居た。

 見覚えの無い中年男性を追い詰めるように立っている新井に対して、中年男性は血まみれの右足を庇いながら手で這って新井から逃げている。

「はぁー、いい加減観念しろよ」

「ひぃ! も、もう勘弁してくれ! 俺がお前に何したってんだよ?」

「やめろ新井!」

 咄嗟に男と新井の間に割って入ると、私は両手を広げた。

「――っな! 有栖川! なんで、ここに……」

「それはこっちの台詞が馬鹿者! 貴様こそ一体ここで何をしているのだ!」

「テメェには関係ねぇーだろ! そいつは再起不能にする」

「ひぃいいいい! た、助けてくれお嬢ちゃん! このガキが急に俺に暴力を振るって来たんだ! 見てくれこの足、あいつに潰されたんだ!」

 助けを求め、縋りついてくる男の右足は流血しており、グチャグチャという表現しか思いつかない程に潰されており、確実に粉砕骨折していた。

「…………本当、なのか?」

「何がだよ?」

「本当に貴様がやったのかと聞いているのだ!」

「本当だったらなんだよ……有栖川には関係の無いことだ、引っ込んでろ」

 軋むほど歯を食いしばって新井に近づくと、新井の頬を全力でビンタした。

 バチンッと手の平が頬を張る音が辺りに響き、しばらく波の音以外に何も聞こえない静寂に包まれた。

「この大馬鹿者! 関係無い訳あるか! そんなにも、辛そうな顔を見て……放って置ける訳が無いだろう!」

 新井の顔は涙と鼻水を垂れ流し、にも関わらず必死に泣くのを抑えていて、今まで見たどんな表情よりも見ていられない顔をしていた。

「…………一体誰だ? 一体誰が貴様にこんな事をさせているのだ?」

 胸ぐらを掴み問い詰める私から目を逸らす。

「何故言えない? 貴様程の男が何故言いなりになっているのだ!」

「……言いなりになってる訳じゃ」

「鏡を見てみろ! 好きでやっている奴がそんな顔をするものか!」

「…………」

 口を閉ざしたまま一向に話そうとしない新井を解放すると、私は新井の顔を胸にうずめる様にして抱きしめた。

「――――っ!」

「話したくないのならば、それでもいい。だが、私は貴様の友達だろう! 泣きたい時は胸ぐらい貸してやる」

 子供のように、私の胸で一しきり泣きじゃくる新井は、落ち着きを取り戻してからぽつりぽつりと話し始めた。

「……罪悪感は、あった」

「そうか」

「……いつの間にか、麻痺してた」

「そうか」

「……力が無くなるのは、怖い」

「…………そうか」

 ぽつりぽつりと呟く新井に頷きながら、私は新井の頭を撫で続けた。


 しばらく経って、新井は落ち着いたようで私達はコンクリートの上に座って海を眺めていた。

 背後には工場や倉庫が密集しているという、風情もへったくれも無い環境だったが何より静かな波の音が心地よかった。

 遠くに見える建物に沈んでいく夕日を眺めながら、咄嗟の事だったとは言え新井の事を抱きしめてしまった事を思い出して顔が熱くなる。

「……有栖川はこれから俺が言う事、笑わずに聞いてくれるか?」

「もちろんだ! 有栖川家の名に懸けて、どんな突拍子もない話も信じると約束しよう」

「実は俺、一回死んでんだ」

 そのあまりに突拍子も無い言葉に私は一瞬冗談かと思ったが、夕日を眺める新井の横顔は真剣そのものだった。

「前世で自殺した時、神様みたいな奴が脳内に直接語りかけてきて、力をくれたんだ。前世の記憶を持ったままこの体に産まれた俺はこの力で悪い奴を倒すように神様に言われた」

「その悪い奴とは、どのような基準で見分けている?」

 新井は私の頭上を指した。

「悪い奴の頭の上には【危険度】って文字が出るんだ。俺の目にはそれが見えて、そいつらが近くに居ると直感で大体の位置が分かる」

「つまり、先程の男にもその【危険度】という文字で出ていたのだな」

 あまりに現実離れした新井の話は、とても信じられないが……もし本当だとすれば新井の意味不明な行動や言動にも納得出来る。

「もし、仮にその【危険度】という奴を見逃すとどうなるのだ?」

「倒すとLEVELが上がって俺は強くなる。逃がすとLEVELが下がって弱くなる。もし、LEVELが0になると俺はこの力が無くなって普通の人間になる……と思う」

「なるほど、では簡単な話ではないか。そのような得体の知れない相手から授かった力など捨ててしまえばいい」

「絶対に嫌だ?」

 私の言葉に新井は態度を急変させて激昂した。

「……そこまで辛い思いをして、力を維持したい何かがあったのか……?」

「有栖川はさ、虐められる奴の気持ちが分かるか?」

「分かるとも、私も裏では散々言われている様だからな!」

 全く誇るべき事じゃないが、私は胸を張った。

「教室内でズボン脱がされたり、持ち物を隠されたり、虫を食わされたり……それよりもっと酷い事を散々されてさ。気が付いたら飛び降りてた」

「子供とは、残酷な事を無自覚でやるものだな……ありがとう新井。辛かっただろうに、話してくれたおかげで新井の事が分かった」

「俺の事?」

「やはり、新井は力が欲しかった訳じゃない。ただ、友達が欲しかったのだろう?」

「違う」

「私がずっと傍に居る、私だけじゃない、光莉や京宝院、気に食わないが天堂だってもう友達だろう! 皆ずっとお前の味方で居るから、そんな力もう必要無いんだ」

「違う……違う違う」

「今まで、よく一人で頑張ったな。辛かっただろう……もう大丈夫だ」

 差し出す私の手に新井は怯えながらも、ゆっくり重ねようと手を伸ばし、

「――――っ!」

 急の頭痛に襲われたように頭を抱えた。

「まさか!」

 私の手に重ねようとしていた右で、新井はコンクリートを殴り小さなクレーターを作った。

「……なんで、なんで有栖川に出てんだよ?」


 有栖川美桜【危険度9999】

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