おそろい

第21話

「真矢ちゃん、辰巳くんと遊んでもいいのよー?」


「宿題あるしー、どーせ買い物行くんでしょ」


「そーなの。さすが!」


お母さんは買い物という名の雑談会に出かけた。


「真矢、よ!」


ふらふらっと帰ってきたのは、お父さん。


「お父さん、店番してよー」


「悪いな、まーやは?」


「買い物ー」


「そうかー、そういやお前辰巳と付き合ってるんだってな?」


「うん?それがなに?」


「せっかくだし、お揃いのあげてやれよ。そーいうの好きそうか?」


「たぶん?」


知らないけど、なんかコメントはしてくれそう。


「あいつ指輪するか?」


「学校じゃだめだし」


「あいつはピアスしてるか?」


「してないよ?」


「うーん、じゃ、ピアス片方あげたらどーよ。真矢が片方付ければいいしな」


「いるかな?」


「いらねーって言われたりな」


お父さんから無料でもらったし、とりあえずあげよう。


「はい、これあげる」


一応袋に入れたものをあげる。


「え、なに?誕生日まだだけど」


「別に関係なくもらってよ」


「ありがとう」


学校に不要なものだけど、ま、いっか。


「真矢ちゃん、柴田くんになにあげたの?」


明美ちゃんが見ていた。うーん、また嫌な気持ちになったかな?


「お父さんがあげてっていうから」


「ふーん、お父さんが…。そうなの…」


「いらなかったら返してもらうつもり」


「そう」


辰巳とは会話もないまま、明美ちゃんと帰る。そして、別れたところに、辰巳が待ってた。


「これ、ありがとう。高校生になったらあけるから」


辰巳は袋から出したピアスを持っていた。


「いや、別にいいよ。お父さんがお揃いのあげてやれよって言うからさ」


「え、そうだったんだ」


「いらなければ返して」


「や、いる。お揃いなんでしょ?」


「うん。学校じゃつけられないけど、家では付けるから」


「え、ピアスだよ?穴開いてんの?」


「うん。そうだよ?」


辰巳は恐る恐る髪を搔き上げた。


「え…開いてるんだけど!え!?」


「うん?なんで?」


「痛そう」


穴をしつこく触る辰巳である。


「痛くないよー」

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