第15話

ということで、一緒に真矢の家へ。


「あらまー!かわいい子!」


これは、真矢の母か。似てるなぁ。まるいけど。


「こんにちは」


「同じクラスの柴田辰巳くんだよ」


くんって、なんか変なの。


「そうなのね。もしかしてぇ真矢のこと好きなのー?」


「え、はい」


「きゃー!やっぱり!嬉しいー」


ものすごい元気だ。


「お母さんうるさいよ」


「お店いいから2人でお部屋で話したら~?」


「えー?じゃ、勉強でもする?」


「え、うん」


「辰巳くん、変なことしちゃだめよ~?」


「し、しません!」


うう、俺が真矢を好きなのはわかりやすいのか?わからないの真矢だけ?どうやったらわかる?


「はい、お茶どーぞ」


真矢は気が利くし、優しい。


「真矢、付き合ってよ」


「勉強?」


隣にちょこんと座る真矢。


「違うよ、カップルになりたい」


「え?私と?」


「もちろん。真矢は俺のこと好きでしょ?ならいいよね?」


「よくわからないんだけど」


「好き同士なら、いいんだよ」


「辰巳、真矢にこだわるねー」


「好きだから。なんて言えばわかる?」


「えー、そんなのわかんないよ?」


「好きだから、一緒にいたい。だめ?」


ぎゅっと抱きしめてみた。これでわかる?


「またハグ?」


「真矢といたら、安心する」


「そう?」


真矢はいつも抱きしめ返してくれる。嬉しくてたまらないんだよ!


「そうだよ。わかってよ」


「あ、お兄ちゃん」


え…金髪…ヤンキー?それより、この状況。ないない!


「なにしてんだよ」


怖い…!

急いで真矢から離れる。もしや、稲賀さんと話してたバンドがなんたらなお兄さん?


「同じクラスの柴田くん」


「いや、お前堂々といちゃつくなよ」


「なにが?」


「すみません、も、申し訳ありません…」


「…俺は出かけるから、勝手にしろ」


「えー?お兄ちゃんまたバンド?」


「うるせぇよ。構ってやれよバカ」


「なにそれ!」


なにそれ!はお兄さんのセリフだ。目も合わせられない。恥ずかし死ぬ。お兄さんはさっさと出て行った。


「え、辰巳?」


「しばらくほっといて…」


顔を見せられない。体育座りで、うずくまるしかできない。


「なんで?照れてるの?」


「そうだし!真矢のせい…あーもう!」


「なに?ハグしたら落ち着くの?」


「そうだよ?…うん、もう落ち着いた」


「そう?辰巳、なんか耳赤いよ?」


「うるせぇ。わかってるし」


「顔はー女の子みたいになってる」


「つけまつげしたら、もっとかわいいから!」


「なにそれ面白そう!」


くっそー。俺だけ恥ずかしい!

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