第13話

「辰巳、ゲームセンター行ったの?」


今日は普通に帰ったら母が家にいた。


「あ…うん、ごめんなさい」


「ごめんね、ママが一緒だったら怒られなかったのに…」


「いいよ、友達と一緒だったから…」


母にばれるとは。真矢の親にも電話されたかな…?


「なに?辰巳ゲーセン行ったわけ?」


面白そうに父は言いながら現れた。


「友達と」


「別にゲーセンとかよくね?」


「だめだよ~!先生に怒られたんだよ?」


「バレなきゃいいし、お前のろいもんな?」


「辰巳は悪くないよ?いい子だよ?」


「はぁ?辰巳はそんなガキじゃねーし、甘やかすなよ」


あーあ、母を困らせた。しかも、何気に俺のことのろいって!ひどい父だ。あーむかつく!

その翌日。


「辰巳?なん?犬?」


「おはよう、ございます」


くじらは一応年上だし、真矢の父だし、敬語がいいのか?


「なんじゃい、どうした?」


「真矢は…?」


なんだか気になって家にまで行ってしまった。朝から。


「は?弁当作ってるけど?」


「あ、そう」


「なんだよ、真矢と話したいのか?」


「え、まぁ」


「待っとけ、呼んでやるから」


悪いことしたかな…


「え?犬?なんで?おはよう?」


くじらと同じような反応をした。


「一緒に学校行こう?」


「いいけど、その犬ペット?」


「ひとんちの」


「は?なんで?」


「じゃ、また後で」


急いで犬を連れて戻る。


「おばちゃん散歩終わった!帰る!」


「俺はおばちゃんじゃねーぞ!」


近所のひいらぎさんちの息子の亮介りょうすけは、いい大人だけど冴えない人だ。さてと、学校に行く準備して、真矢の家に行かないと。


「本当に来たんだねー。なに?どーしたの?」


真矢と会うとほっとする。


「話したかったから」


「いいけど?」


2人で学校まで歩く。


「昨日、怒られた?」


「なにが?」


「ゲーセンのこと、家に電話されてたからさ」


「そうなの?知らないけど」


えー、無視パターンなのかー


「俺は、困らせた」


「そっか、困らせたらだめだよね」


「喧嘩になっちゃって…母を困らせてさ。俺のせいだ」


「辰巳はお母さんに優しいんだね」


「真矢、ちょっといい?」


「ん?」


ぎゆっと抱きしめてみた。


「不安になってたから。俺のせいで怒られてないかって、よかった」


「そんな気にしなくていいのに」


「ごめん、行こうか」


なんとなく、手を繋げた。


「辰巳、さっきの犬はなんなの?誰の犬?」


「近所のおばちゃんの犬だよ。たまに散歩してる」


「へー、偉いね~」


「おばちゃんにはお世話になってるからね。それに、かわいいから」


「そっかー、なるほどね」

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