第10話

「おはよう!」


真矢ちゃんが登校。


「真矢ちゃん、おはよう」


「明美ちゃんおはよー!」


「昨日は帰ってごめんね。柴田くんはなんの話だったの?」


「ゲームセンター行ってきた」


どういうこと?


「…それだめだよ。校則違反」


「えー!?そうなの?知らなかった!」


真矢ちゃんがそう言うと、最近クラスで成績を上げてるむかつく男子がこちらを見た。あいつ体育さぼって勉強してんじゃないの?


「花田さん、大丈夫だよ。このクラスの何人かで行ったし、バレない場所だし」


ふーん、こいつが柴田を使ったわけか。


「えー校則違反って知ってたの?それなら家帰ってから行ったらよかったよ」


「だけど、保護者同伴じゃないとだめなんだよね。ごめん。あ、辰巳も謝れ。花田さん校則違反違反って知らなかったってよ」


登校してきた柴田。びっくりしてるのかなんなのか、よくわからない表情をしている。


「そうなの?ごめん」


「ううん。今度からしないように、だね」


真矢ちゃん真面目。男子はすぐにどこかへ。


「真矢ちゃん、そういえば昨日柴田くんが名前で呼んでたけど…なんなの?罰ゲーム?」


「英語でよく話すから、それでかな?」


「英語…?柴田くんが?」


「うん」


「へぇ…」


柴田は、男女共に人気のある男子だ。いつも男子たちと群れてるが、女の子とも普通に話す。困ったような眉毛で表情は変わらないイメージ。ボランティアするような人?英語って…真矢ちゃんはそんなに話せるわけ?あやくんじゃあるまいし。


「ゲームセンターに誘うためにわざわざ柴田くんが話してきたの?」


「なんか遊ぼうって言われたから」


「何人かで行ったの?」


「えっとー」


私抜きで遊んだんだね。なんか、もやもやする。


「先生、委員長の花田さんと、このメンバーの人がゲームセンターに学校帰り行ってたそうです」


昼休み、質問をしに職員室に行き、書き出したメモを先生に渡す。


「え、花田さんが?」


「噂に聞いたんです」


「…後で呼び出します」


その後、放送で私の教えたメンバーの名前が呼ばれた。私が教室に入ってからだからばれない。


「…ばれてる」


ちょっと成績上がったから調子に乗ってる男子が驚いてるし。


「やっぱり校則違反よくないよ。先生にちゃんと謝らないと」


真矢ちゃんは、正論。さすがだね。


「明美ちゃん、おかえり。ちょっと職員室行ってくるね」


私はトイレに行ったことにしていた。


「職員室行くぞ、辰巳」


「…」


柴田は私を見たような気がした。

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