第4話

夜はテントで子供たちと寝る。

はぁ、楽しかったのにもう明日で終わりか。

なんだかあっという間だな。


そして翌朝、寝坊した。


「タツミまだ寝てる!」

「タツミお父さんみたい!」


「タツミご飯ー」


「うるせぇ…」


重いし、誰だよ乗ってんの。


「タツミ朝だよー!」


「うるせぇなぁ…」


「みんなでこちょこちょするぞー!」


「イェーイ!」


「ぎゃー!やめろー!」


目覚め悪。マヤを筆頭にした子供達に無理やり起こされた。それからスタッフと子供達の用意した朝ご飯を食べる。


「タツミ、変な声出してたね」


「寝ぐせー!」

「マヤと頑張ったー!起きたー」


「優しく起こしてよ」


「起こしたよ?みんなで。でも寝てたからねぇー?」


「んだよそれ」


あ、今俺はボランティアにいるんだった。つい、家にいる気分になってしまった。口悪い、最悪。


「タツミなんて言ったの?」

「寝ぼけてるー!」


あ、日本語になってたのか。セーフ。マヤは聞いてなかったみたいで、セーフ。

でもこの時間は、もう終わりか。


「辰巳くん、真矢ちゃん送って行ってね」


「え、俺?」


「1人で帰れますよ?」


「だめよー。ね、辰巳くん」


「途中までなら送るけど…」


「ありがとう柴田くん、悪いね」


「タツミでいい」


2人で帰るとか…恥ずかしいな。


「ねぇ、名前のタツミってどんな漢字?難しい?」


委員長なのに、漢字知らねーのかよ。


「干支の辰と巳」


「ほー!なーるほど!そうなんだね。真矢はこんな字だよ-」


手を握られて、掌に書かれた。


「男みたいな漢字」


「普通だよ。あ、この辺でいいよ!」


「うん。…学校ではタツミって呼ぶなよ。あと話しかけんな」


「ん?なんで?」


「…眠いから」


「えーなにそれ」


「わかったな!」


「わかんないけど、そうしたいならそーするよ」


なんだよそれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る