第2話

テストも終わって、夏休みになった。


マイペースな俺は、休みという緩みからボランティアに遅刻した。


「遅れてすみません」


「あら、辰巳くん?見ないうちに大きくなって」


去年と同じスタッフだった。ふー、セーフだ。


「あれ?柴田くんだ」


「え…?え、っと…」


いつものスタッフに紛れているのは、委員長…じゃなくて、同じクラスの…


花田はなだだよ!柴田くんボランティアしてるんだね~」


そう、花田さんだ。


「あぁ、去年も来たから」


「私は初なんだ!ドキドキするね」


学校ではほぼしゃべったことなかったな。


「お前、英語喋れるの?」


「うん。普通に」


意外だ。知らなかった。


「その子ね、去年来てた三つ編みの人の娘さんだよ」


他のスタッフがなんか話しかけてきたけど…三つ編み?って…


「え、くじら?」


「そーだよ。それお父さん」


なにぃ?似てない。しかし、私服すごい柄なんですけど。…布が長い感じ?あ、三つ編みのくじらもおかしな服着てたような気がする。


「ふーん」


「よろしくね」


そっけない挨拶だ。


ここでのボランティアは、来年インターナショナルスクールに行くお子様たちとキャンプをすること。

花田さんはというと、なんともワイルドであった。テント張りできるのかよ…。なげぇスカート?ズボン?でやることかよ。


「マヤすごい!お父さんみたい!」


「よーし、今日はお父さんになってあげよー!」


すっかり馴染んでる。子供達は英語ばかり話してるのに、花田さんは普通に日本語で話すように英語でしゃべってる。顔はハーフではなさそうだが。


「タツミ料理上手!」

「お母さんみたい!」


俺は料理担当なので、テントを遠目に見ながら料理の支度を子供達としていた。


「俺は男だから、お父さんのほうがいいんだけど」


「えー?じゃあお姉ちゃんがいい?」

「それともお兄ちゃん?」


「いやだから、お父さんにしてよ」


いいな。子供って、無邪気で。

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