戦前の日常と殺伐、当時の手記を見ているような臨場感。

日本の忌まわしくも重要な記憶、大戦前夜のお話。
西洋、東洋、現地の人々……人種も衣装も言語もバラバラな登場人物たちが群像劇を繰り広げる。
日本統治下にあった満洲国の日常、突如として襲い来る緊迫感に引き込まれます。
タイトルから連想される得体の知れなさと、満洲を統治する関東軍の思惑も気になる所です。
先行きの見えない帝国主義の時代に、現代風ノベルのエッセンスを加えた素晴らしい作品。