第14話 冬休み
冬休み。
多喜くんは水泳の大会が迫っているため合宿に行っている。
私は毎日、多喜くんのクリスマスプレゼントを枕元に飾ってニヤニヤしながら眠っていた。
会えないのは寂しいが、やっと【彼女】になれて有頂天なのだ。
三が日も終わりのんびりしている頃、多喜くんから電話がかかって来た。
多喜くんが電話してくるのは初めてだったので思わず
「どうしたん?何かあった!」
と緊迫した雰囲気で聞いてしまう。
「なんかないと電話も出来ひん仲なんか」
多喜くんがため息をつく。
「ゴメン びっくりしすぎて……」
「どうや、笑ろてるか」
元気か?と言う意味らしい。
「うん 笑ろてる」
笑いながら答えた。
「こっちは男ばっかりで臭いしうるさいし最悪や」
多喜くんのニヤニヤ笑いが目に浮かぶ。
公衆電話からかけているのか音が聞こえた。
「外からかけてんの?寒くない?」
「あーうるさいのがおるから………!!!」
突然騒がしさが倍増した。
電話の向こうから男の子の声がワイワイと
聞こえている。
「なんやねん!向こう行けや……ちゃうし!
やめろって……お母さんや言うてるやろっ!!」
多喜くんが電話の向こうで怒鳴っている。
どうやら冷やかされているらしい。
「アカン もう切るわ ゴメンな」
「風邪ひかんようにな お風呂で温もるんやで 寝る前にちゃんと歯ぁ磨きや」
「ホンマにオカンにならんでエエねん!」
電話を切って自分の部屋に戻ると、編みかけのカーディガンを取り出した。
バレンタインデーまではまだ時間がある。
手編みとか多喜くんは苦手やろなー
手作りのモノは怨念がこもってそうで怖いと
前に話していたから
プレゼントした時の多喜くんの怯えた顔を
想像する。フフフ
私は鼻歌を歌いながら ひと編みひと編み怨念を込めてダークチョコレート色の毛糸を
指に絡ませた。
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