第5話 女友達
「多喜なんかどこが良いん?子どもやしうるさいし四角いし」
うっちゃんがお弁当を食べながら呆れた顔で私に言った。
「四角いとこがエエねん」
「ガタイええのに背ぇ小さいし」
「小回りが効くねん」
「豆タンク」
「ミニ四駆や」
うっちゃんは多喜くんと同じ中学出身。
しかも小さい頃は多喜くんと同じスイミングスクールに通っていた。
だからうっちゃんも女の子だけどちょっと逆台形だ。そこが好きだ。
そんな訳でうっちゃんと多喜くんは、幼なじみのような兄弟のような言いたいことを言い合える間柄だ。
うらやましいが、私がなりたいのは幼なじみでも兄弟でもなく【彼女】だった。
うっちゃんと仲良くなってから私が多喜くんに振られた話をすると、うっちゃんはものすごく憤った。
「何を生意気な アイツ 何様のつもりやねん 壁男!超合金!!跳び箱!!!」
「跳び箱は逆さまにせんと」
「ホンマにどこがええんかさっぱりわからんわ~ もったいないな~ そうや! 石田君は? 石田君でええやん、カッコイイし、江崎君の親友やし!」
「江崎君の親友なのが一番のおすすめポイントやろ?」
「へへへ」
うっちゃんは江崎君がすごく好きで私と同じくいやそれ以上に積極的に毎日江崎君に対してスキスキ攻撃を繰り出している。
「なんかさぁ うちらって奥ゆかしさみたいなもんが足りてへんのんかな だから女として見てもらわれへんの?」
「…あのさぁ、こないだ多喜に(何で俺やねん)みたいなこと聞かれたって言うてたやん」
「うん」
「何て答えたん?」
「ホンマは四角いとこって言いたかったけど、それはちょっとあんまりかと思って、
[朝礼の時多喜くんの後ろ姿とか見てたらむしゃぶりつきたくなんねん……めっちゃ好きなフォルム、だからやっぱり身体かなー]って」
「四角いとこ言うたほうがまだマシやったやん!多喜が、そんな目で見んとってってアイツに言うとけって、怯えとったで」
「多喜くん、私のことをアイツって言うてた?!」
「そこ喜んでる場合か?奥ゆかしさ足りんどころの話しちゃうし。しかもうちらって。
アタシを一緒にせんとってー!」
だってホンマやねんもん。
多喜くんの背中。大好き。
アイツやって…………フフフなんかうれしい。
「ニヤニヤすな、ますますドン引きされんで……」
うっちゃんの視線の先には怯えた顔でこちらを伺う多喜くんの四角い姿があった。
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