第4話 男友達

「自分、雑草みたいやな」


多喜くんは私のことを【自分】と呼ぶ。

(お前)でも(君)でも(オタク)でもなく【自分】と。


「どこにでも湧いて出てくるってこと?」

私が聞くと、

「踏まれても踏まれてもへこたれへんってこと」

と笑った。


多喜くんには一度振られている。

そして今は「お友達」だ。

友達というには少し湿度が高すぎる私の言動に、多喜くんは呆れつつも辛抱強く付き合ってくれる。

友達だから。


彼女にはしてくれない

お金がないからダメなのか

時間がないからダメなのか

私だからダメなのか

最後の疑問が怖かった

ハッキリさせると二度と告白出来なくなる気がして、うやむやなままにした。


「雑草という名の草はないって天皇陛下が言うてた」

私が言うと

「どんな名前があっても踏まれる時は一緒や」

多喜くんが言った。


「ジュリエット?」

「……たまに何ゆうてんのかわからんな、自分」


私は多喜くんと友達のまま夏を迎えた。

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