第3話 告白
5月ゴールデンウイーク。
G.W明けは学生も新社会人も危険だそうだ。
4月から新しい環境が始まって、初めての長いお休み。
そこで、もうその新しい環境に戻りたくなくなる人が多発するらしい。
私もG.W明けが少し怖かった。
4月の終わり。明日からG.Wが始まるという日、私は多喜くんに最初の正式な告白をした。そしてそれが最初に振られた日になった。
正式な告白といったのは、その後も正式でない告白まがいのスキスキ攻撃を何度も仕掛けたからである。
自分が何と言って告白したのか、はっきりとは思い出せない。
多喜くんの台詞はちゃんと覚えているのに、自分が言った言葉は全く覚えていない。
不思議だ。
おそらくありがちな「好きです 付き合ってください」的なことを言ったんだと思う。
多喜くんは少し驚き、少し考えてから聞いた。
「付き合うってどういうの?」
どういうのだろう……
私もわからなかった。
「何すんの?デートとか?俺、そんなん金も時間もないで」
そしてこう言った。
「友達やったらアカンの?」
私は考えた
友達やったらアカン理由を
考えた
………なかった
彼女が無理なら友達でいいかも
喋れないより全然マシだ
「分かった。友達で手を打とう」
私は握手するため右手を差し出した。
多喜くんは私の大好きなあの子供みたいなピカピカの笑顔を見せた。
握手しながら思った。
やっぱり好きだ。
その日私は多喜くんと友達になった。
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