茄子コーラ

第1話

バカバカしいと思っていた

反政府的な発言、フェミニズム…

そういったものは社会からあぶれた人たちが

怒りの矛先を向けるため

正義というなの暴力を振りかざす

同じような人間が同調し、共感を得られていると思いたい

そういった寂しい人間の集まりだと

そう思っていた

会社を辞めた

うつ病で

正直社会復帰もできそうだった

自分に自信がないから

前職よりいいところを

周りに

いや…自分に言い訳をして実家に逃げ帰った

時間ばかりは無限にある

趣味だったゲームも並みレベルでそれ以上は上手くなれなかった

たまにできる好プレーをSNSに投稿する

そこで評価されることが好きだった

その評価が嬉しかった

もっと

もっと

もっと認められたい

他人から必要とされたい

社会に適合されない、努力も苦手だ

だけど

見てほしい

評価をしてほしい

そう思ってこの活動を活動した

人の反応が簡単にわかる物は何だろう

そう考えた時に真っ先にSNSが思いついた

実績があるからだ

素人レベルの編集

少しうまくできたゲームのクリップ

そういったものでも反応が得られる

であれば

SNSで人に目を付けてもらえるジャンルは何か？

そこからの生活はゲーム中心ではなくSNSを監視することが日課になった

人は何を求めている？

何をしたら反応がある？

面白いもの？

クリエイティブな作品？

ある物が目に付いた

政治的な

宗教的な

そういったジャンルが注目を浴びる

良くも悪くも評価を得られる

もし炎上したとしても

同じ考えの人々からはフォローが入っている

これだ…

毎日

毎日

書き込み続けた

最初は時事ニュースから追った

わかりやすい解説動画を見て

まとめサイトを見て

どういうことを言えばいい反応があるのか

そこからは関連する過去の記事を調べ

自分なりの解釈をまとめる

SNSで発信する

そこでまた反応を得る

その繰り返しをしているうちに

気が付けば強い発信力のあるインフルエンサーになっていた

自分が発信すれば必ず反応が得られる

同調、反感

いろいろな感情がひしめき合っている

「なぜ？」

あるとき疑問に思った

正しいことを言っているはず

しっかりと調べ、精査している

発信する情報は間違いのないように

偏りの大きい内容ではあるが、間違っていないはずだ

なのになぜ世間はわかってくれないのか

きっと世間が間違えている

正しい世界に変えなければ

発信する情報を過激に

強い同調を得られるように

間違えた社会を正せるように

そんな時にある人物に出会った

どこのだれかは分からない

ただこの考え方に同調している同志だと

金銭的なサポートを得られるようになった

お金に余裕ができればできることも増える

正しい社会、正しい政治にするために

活動を行うことができる

同志が増える

活動の幅が広がる

さらに同志が増える

その結果、各地でデモが起こせるようになった

足りない

デモでは

理解してもらえない

正しい情報でも

人数を集めて声を上げても

理解してもらえない

社会を変えるには

力が必要だ

そうなるともう残された道は1つだった

綿密に計画し

同志を集め

作戦を決行した

結果は大敗

同志は各地に逃げた

逃げきれたかは不明だ

支援者に助けを求めた

快諾を得られるかと思っていたが

場所を指定され、来た車で移動

乗り換え、乗り換え、乗り換え

何度乗り換えたかわからないが

支援者に会えるはずだ

そう思っていたはずなのに…

「君は便利だったよ

　同志たちは、君の存在を理解している

　だが実在を知らない

　君が誰であれ

　君という象徴が存在しているということが大切だった

　ただ警察組織は君の事を深く知ってしまっているみたいでね

　大丈夫

　死にはしない

　今は…

　その時が来るまで

　そこで゛生きて゛いてくれ

　残された君の役目だよ」

いつ

道を外れてしまったのか

どこで

引き返すべきだったのか