27

「それで?次は?」


 

 お腹が痛い。

 途中に、行き止まりが挟まっている。

 どうしてだろう。

 どうして、こうなったんだっけ。

「涙ぐましいが、本当にそこで終わりなのか?」

 どうして、僕は思ってしまったんだろう?

 武器があれば、勝てるなんて。彼が守りに入ってくれるなんて。

「分からないな。何がしたかったんだ?いやホントに。ちょっと困ってる」

 煽って挑発しているのでなく、心底理解出来ないのだろう。

 蟻がわざわざ潰されに来たと、彼にはそのように見えているんだろうか。

 そりゃあ、分からなくもなるか。

「ああー……、と、そうだな、仕方なかったな」

 反省されてしまった。

 気を遣われてしまった。

 優しい所もあるのか?それとも混乱し過ぎて、口走ってしまっただけか。

 お腹が、痛い。

 詰まったように、どこか塞がっている。と思いきや、風が抜けるような、爽やかな痛みが………


 そうか、分かった。

 

 閉じたんじゃない。逆だ。


 穴が開いている。


 腹がごっそり削られたから、代謝の道が断ち切られ、閉じられたように感じていたんだ。


「ちょっとやり過ぎたかな。大人気なかった」


 僕が持っていた、椅子の残骸たる鉄棒。それごと貫通し、消し飛ばされた。線条に発された、太陽の熱が僕を抉った。


「もう役割は果たしたから、別にいいんだが。もったいない気もするな」


 くずおれる。

 力が入らず、そもそも入る場所が失われて、立っていることができなくなった。

 意地だけで前に一歩を踏んで、そこが最後、前倒しとなる。

 受け身も取れず、身体の前面を床に打つ。

 這って進むのすら、不可能だろう。


 僕は、負けた。


 ここまで避けて来たことだった。

 正面から雌雄を決する。どうなるか分かるから、やりたくなかった。


 終わってみれば、想像通り。


 僕が床を嘗めていた。

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