第7話 意識の中の飽和状態

 さて、さくらと弘子の出会いであるが、あれは数か月前くらいのことだっただろうか。同じ呑み屋で隣同士になったのだった。弘子はちょうどアイドルになることを諦めたわけではないが、差し当たっての生活ができないことから、これからの生活をどうしようかと悩んでいた時期だった。

 半分やけくそ気味になっていた弘子は、アルコールが入っていたこともあってか、独り言をぶつぶつと呟いていた。最初は何を言っているのか分からなかったが、どうやら、何かに対しての文句であることは間違いないが、何に対しての文句なのか分からなかった。

 どうやら、誰か女の人の名前を言って、ぼやいているようだった。

「ははあ、何かの競争にでも負けたのかな?」

 と、さくらは感じたが、さすがにアイドルを目指しているライバルだとは思わなかった。

 ただ、彼女が普通のOLではないとは分かっていたので、何かの芸術的なことではないかと思うのだった。弘子の横顔を見ながら、どこかニッコリしていた態度でもしていたのか、

「何よ、あなた。私に何か文句でもあるの?」

 と、酔いつぶれかけている顔を上目遣いに睨みつけると、すぐに顔を背けた。

「いいえ、そんなことはないけど、大丈夫ですじか?」

 と、さくらは、彼女をねぎらった。

「大丈夫よ。そんなに飲んでるわけじゃないから」

 と、本当はほとんど飲めもしないのに、強がって見せた。

 しかし、その様子は強がりだということは明らかに分かっている。さくらは、少し様子を見ていたが、弘子の方が急に目を覚まし、

「私は、これでもアイドルを目指していたのよ。おかしいでしょう? アイドルを目指す人がこんなところで酔いつぶれているなんて。そうよ、完全な転落人生笑いたければ笑えばいいわ」

 と言って、完全に粋がっているようだった。

 それを横目で見ながら、さくらは彼女に対して、哀れみの表情を浮かべた。それは、相手には悟られてはいけない表情で。ただ、さくらが見つめていたのは、弘子ではなくて、昔の自分だったのだ。

「私にも昔、こんな時代があったな」

 とさくらは感じた。

 さくらの場合は、男に騙されたという典型的な転落人生だった。しかも、男に借金の保証人にされて、男はトンズラ、警察からも、詐欺で訴えられているということでもあり、さらにヤクザに対しても、不義理なことをしたということで。追われているという。

 警察もその男を追っているということが功を奏したのか、ヤクザはさくらに手を出すことはできなかった。もし警察に関係がなければ、男を誘い出す罠として、さくらを使おうとしたかも知れない。

 しかし、さすがに警察が男を探し出すためにさくらをマークしているので、却って警察が守ってくれていることになり、助かったのだった。

 しかし、さすがに借金だけはどうすることもできず、今までの会社で働いていては、返せるカネではなかった。そのため、会社を辞め、ソープで働くことにしたのだ。

 さくら自身は、男性との行為自体を嫌がっているわけではなかった。むしろ、

「私が癒しになって、それでお客さんが喜んでくれるのであれば」

 と癒しに徹しようと思うようになった。

 お客の中には、自分のファンを名乗る人もいて、いつも差し入れを持ってきてくれたりする人も結構いた。

「まるでアイドルになったような気分だわ」

 という気分になったことで、呑み屋で見かけ、酔いつぶれている弘子のことが気になってしょうがなかった。

 しかも、彼女はアイドルを目指していたというではないか。アイドルになった気がするさくらには、弘子をこのまま放っておくことはできなくなっていた。

 そのまま酔いつぶれた弘子は、閉店近くになっても目を覚まそうとしない。次第に客は減っていき、店員も後片付けをし始めた。

 カウンターの二人は次第に目立って行って、さすがにそのうちに、店員の視線が痛くなってきた。

「このお店は何時までですか?」

 とさくらは聞いた。

 初めて入った店なので、閉店時間が分からなかった。最初はすぐに帰る予定だったので、最初から閉店時間を気にしていなかったこともあり、表で確認を怠っていたのだ。

「十二時です」

 と、店員が言ったが、時計を見ると、すでに、十一時五十分を過ぎていた。

 さすがに彼女を起こさなければいけない。

「もし、そろそろ看板ですよ」

 と言って起こそうとすると、やっと、

「うーん」

 と言って、伸びをした。

「この様子なら、何とか目を覚ますことができるだろう」

 と感じた。

「お連れさんじゃないんですか?」

 と訊かれて、

「いいえ」

 と答えたが、今の質問で、弘子もこの店の常連ではないということが分かった。

 きっと、お互いに一見さんだったのだろう。

 さすがに、今のまま彼女を放っておくわけにもいかず、とりあえず、弘子に家を聞いたが、そこまで意識はしっかりとはしていないようだった。しょうがないので、タクシーを呼んでもらい、それほど距離はないのだが、弘子を連れて帰るために、利用することにした。

 タクシーを降りてから部屋に運ぶまでに、少し時間が掛かった。酔いが回っていて、意識が飛んでいる状態なので、身体がとても重たい。意識があれば、条件反射で身体を蚊来るしようとする意志が働くのだが、意識がないと、条件反射の入り込む隙間がなかった。何とか抱えながら、少しずつ運ぶコツを掴んできたことで、最後の方は、スムーズに部屋まで運ぶことができた。

 彼女を自分の部屋のベッドに寝かせて、水を与えた。

 すると安心したかのように彼女は眠り込んでしまった。それを見ると、さくらの方も一気に疲れと酔いが回ってきたのか、まるで睡眠薬で飲まされたかのように、彼女を寝かせた自分のベッドに彼女になだれ込むように倒れ込んだ。

 相手は目を覚ます気配はない。完全に眠ってしまっている。さくらは、一気に睡魔に襲われ、気が付いたら、眠ってしまっていたという状況であった。

 あれからどれだけの時間が経ったのか、まだ夢うつつ状態で、目が覚めているのか、まだ夢の中なのか分からない状態で、身体が解放されている感覚があった。まだ酔いが回っているのか、身体に触るシーツが心地よかった。だが、それ以上に身体にまとわりついてくる生暖かい感覚に、身体が完全に任されていた。思わず吐息が出そうな状態に、酔いしれているのだった。

「気持ちいい……」

 と、思わず声に出した。

 すると、湿った空気が耳元で揺れるかのように、

「気持ちいい?」

 という声がまるで木霊しているかのように、聞こえてきた。

「ええ」

 と、言いながら、今度は完全に吐息が漏れていた。

 今は、男性にその感覚を味合わせている自分だったが、こんな気持ちになるのは久しぶりだった。

 そもそも、さくらは、両刀だった。高校時代には、女の子の方が好きで、気持ち悪がられることから、好きになった女の子に自分のそんな素振りや性癖を知られたくないと思い、誰にも知られないようにしていた。

 だから、彼氏もすぐにできた。自分から作りにいかなくても、男性の方から告白してくれる。それを断ることはしない。彼氏と言っても、それは自分が女性を好きであることの隠れ蓑に使っていただけだった。

 そのせいもあって、付き合う男性には従順だった。好きでもないのに付き合っているという意識があることから、相手のいうことに逆らうことはしなかった。そのせいもあって、短大の頃には、

「やりマン女」

 と言われたものだった。

 だが、実際には、男は好きというわけではないのに、なぜにそんなに男が寄ってくるのか、よく分からなかったが、後ろめたさのための誠実さに、M性を感じるのかも知れない。

「あの女は、いくらでも利用できる」

 と、そう思われたことが男に付け入る隙を与えることになったのか、

「すまないが、保証人になってくれないか?」

 と言われた時も、

「いいよ」

 と、まったく疑う素振りも見せずに保証人になった。

 もし、男を隠れ蓑になどするような女でなければ、保証人になどなるはずはなかった。「保証人になったところで、自分に被害はないだろう」

 という思いがあったのは事実だ。

 世の中を舐めていたというのか、それ以上に隠れ蓑にしていることで、感覚がマヒしていたのかは分からないが、実際に最悪の結果を招いたのだ。

 しかし、それでもソープへの転職にはそれほど難色を示さなかった。そもそも彼氏と言えども、あまり好きでもない男とセックスをしていたのだから、お店で不特定多数とするというだけで、それ以外に嫌なことはなかった。むしろ、自分を皆がおだててくれるのを見ていると、アイドルにでもなったかのような気がして、これほど嬉しいものがあるのかと思うほど、

「男というのも、悪い気はしないな」

 と感じたのだ。

 女の子が好きなのは、別に男子を汚らわしいとか、汚いとかいう気持ちがるからではない。単純に、愛情が抱けないだけだった。

 癒しを与えたり与えられたりというのは嫌ではない。実際に男性に癒しを与えられる自分が大好きだったのだ。

 ソープの仕事もそのうちに天職と思うようになり、常連さんは、今までに彼氏にすら感じたことのない愛情が溢れているように思えて仕方がなかったのだ。

 そういう意味で、高杉にも愛情を注いでいた。だから、さくらは初使命よりもリピーターが多い。初指名は、

「脱童貞いわゆる筆おろし」

 を願ってくる人が多かった。

 ホームページのさくらを紹介するページで、店側スタッフから、童貞さん歓迎と書かれていたので、童貞がこぞって指名してくる。そして、童貞卒業した連中が常連になってくるのが、一つの流れだったのだ。

 そんなさくらをこの店で最初に指名したのは、高杉だった。今でこそ童貞キラーという称号を持っているが、最初の頃のさくらは、怯えているだけだった。その頃にはすでに店の常連となっていたので、スタッフとも仲が良く、

「今日、新人さんが入ってくるんだけど、よかったら、高杉ちゃんが最初の相手をしてくれないかな? 高杉ちゃんなら、安心して任せられるから」

 というので、相手をしてあげたのだった。

 ちょうど、馴染みの子が三人いて、一人が辞めた後だったので、

「このまま二人で回そうか。それとも、もう一人店員に聞いて誰かいい子を紹介してもらおか?」

 と思っていた時だっただけに、店側からのお話は、願ったり叶ったりだった。

「そっか、そこまで僕を見込んでくれてるのなら、お相手してあげようかな?」

 というと、

「いやあ、それはありがたい。恩に着るよ」

 と店員は実に嬉しそうだった。

 確かに高杉のことはいつも三人の女の子で回しているので、三人から聞けるだけに、いいウワサであれば、三人ともしてくれるであろう。ほとんどの人は推しは一人のはずなので、ウワサを聞いても、一人からの話なので、どこまで信憑性があるか、一方通行のようで分かったものではないと、店員は思っていることだろう。

 だが、三人から賞賛されているとすれば、店員も安心できる。まったく情報のない客に初顔の女の子の相手をさせるのは、店側も抵抗があることだろう。

 さすがに数年通っている店であったが、初顔は初めてだった。まるで、自分が処女を奪うような興奮があり、風俗の常連のくせに、ドキドキしたものだった。そういう意味で、さくらは、高杉にとっては、特別な存在だと言ってもいいだろう。それが今や童貞キラー、苦笑いをしたくなるのも、無理のないことだろう。

 さくらという女性は、優しくて包容力がある。最初に相手をした時、

「あれ? 本当に初めてなのかな?」

 と勘ぐってしまったのは、その包容力に落ち着きを感じたからである。

「この子は、先輩になったら、後輩思いの子になるんだろうな」

 とも感じた。

 高杉の相手をしている時も、絶えず話題を振ってくれて、その気遣いに恐縮するほどであったが、それも最初だけだった。いつの間にか会話が自然にできてきていて、

「今日初めて会ったなんて気がしないくらいだ」

 と感じたほどだった。

 笑顔は見せるが、芯からの笑いではないということは見ていて分かった。何しろこういう店にいる子は基本的に何か暗い過去を持っているのは分かっているので、それをいちいち気にしていたら、風俗には来れないだろう。

 恋人を作れないので、ここでは時間をお金で買って、そして、恋人気分を味合わせてもらう」

 というのが、高杉の姿勢であった。

 高杉はそのことを自分から嬢に話すことは今までにはなかったが、さくらが相手であれば、なぜか自然と言えるのだった。

 別に店の女の子に見栄を張っているわけではないという意味でのプライドが許さないのだ。

 何となく矛盾しているような言い方だが、そういうことなのだった。

 さくらが相手だと、何でも言えるというのは、やはり、最初に感じた包容力によるものだろうか。

「さくらさんと一緒にいると、何でも話せちゃうよ」

 だから後になって、自分の性癖の話までできるようになったのだ。

 ただ、それも世間話の延長のような感覚で話ができるので、ひょっとすると、外で会っても、お互いに普通に声を掛けることができるような気がした。

「さくらさんだったら、もし、どこかで会っても、普通に声を掛けてくれても、僕の方は全然かまわないよ」

 というと、

「私もそうかも知れない。別に声を掛けてもらうくらいなら問題ないと思うのでね。でも、口の軽い人はさすがに怖いと思うの。高杉さんだったら、きっと大丈夫だと思うの」

 と、だいぶ慣れた頃にそうやって話したことがあった。

 さすがに、どこかで出会うというようなことはなく、声を掛ける機会はなかったが、

「いずれはどこかで声を掛けられると嬉しいんだろうな」

 と、しばらくは声を掛けてもらえることを期待している自分がいた。

 さくらは、

「他の誰にも話したことがないんだけど」

 と言って、自分の身の上話をしてくれた。

 話を訊いていて、

「なるほど、さくらさんなら、そういうこともあったじゃないかっていう気はしていたよ。だけど正直に言うと、僕の中では、さくらさんというのは、そんな簡単に男に引っかかるタイプではないという認識なんだけど、ひょっとすると、怪しいかも知れないと思いながらも、信じてしまったというところなんだろうか?」

 と聞くと、

「うん、少し違っているんだけど、確かに後から思えば、分かっていたような気もするの。でもね、その人を全面的に信用していたわけでもないし、ずっと信じていようとも思っているわけでもないの。自分でもよく分からないんだけど、何か自分を試してみたという感覚なのかも知れないと思うの」

 というさくらに、

「自分を試してみた?」

 と聞くと、

「ええ、彼をどこまで信じられるかを試そうとしていたのではないかという気がしたんだけど、どうも違うような気がする」

 と、さくらは言った。

「うん、さくらさんは、そんな冒険をするようなタイプには見えないんだ。だから、それだけに、男に騙されるというのが、どこか不自然な気がして、そこに僕の知らないさくらさんがいるんじゃないかと思うんだよね」

 と、高杉は言った。

「それは、褒められているのかしら?」

 というので、

「褒めているつもりだよ」

 というと、さくらは、恥ずかしそうに俯いたが、本心は別のところにあるようだった。

「私にとっい、彼を信じるということは、最低限のマナーだと思ったの」

 とさくらはいう。

「どういうことだい? 騙されていると分かっていなかった?」

 と質問すると。

「信じたいという気持ちと、騙されているのだから、一刻も早くハッキリさせないといけないという気持ちのジレンマが私の中にあって、葛藤しているの。たぶん、それは皆私と同じ立場になれば、同じではないかと思うんだけど、他の人はそれでも、まずはハッキリさせたいということが優先して、現実を見ようとするんじゃないかと思ってね」

 と、さくらは言った。

「それは逆じゃないのかな? 真実を知るのが怖いと思うのが普通じゃないかと思うんだけど、僕だったら、知るのが怖いと思うだろうな」

 と高杉がいうと、

「そりゃあ、確かに真実を知るのは怖いけど、逃げてばかりはいられない。どこかでハッキリさせなければいけないという思いは誰にだってあると思うの。でもね、この気持ちって、相手を好きになったことで生まれてきたんだろうか? って考えるんだけど、そう考えると、今度は、本当にその人のことが好きだったのかって、どんどん気持ちが遡っていくのよ。それで、最近になって、前に高杉さんが話していた言葉を思い出したの」

 とさくらは言って、息を吐いた。

「僕の言葉?」

 息を吐いたさくらの間隙をついて、高杉が聞いた。

「ええ、いつも同じ人ばかりを抱いていると飽きるんだって。そして、それは食べ物で証明されているんじゃないかっていわれた時、まさにその通りだと感じたのよ」

 というさくらに対して、

「ああ、確かにそんな話をした気がしてきたね。でも、そんな話、よく覚えていたね」

 というと、

「ええ、そうなのよ。実は私、あまり記憶力のいい方ではなくて、結構いろいろなことを忘れてしまうんだけど、最初はどうしてなのかって分からなかったの。でも、高杉さんの話を訊いて、ああ、私の記憶力の悪さというのは、頭の中がすぐに飽和状態になるからなんじゃないかと思ってね。その人と一緒にいて、その時を一期一会であるかのように感じると、そこですべてを満足する気持ちになるの。つまり、その満足感が、頭の中の記憶をいっぱいにするから、その前の記憶が薄れてしまう。だから、覚えられないんじゃないかって考えたの」

 というさくらに。

「なるほど、実は僕も記憶力は悪い方なんだ。今までどうして覚えられないのかって考えたことは何度もあって、特に人の顔が覚えられないんだよ。理由は複数あるんじゃないかと思ってね。一つは、自分に自信がないので、本当は自分が思っている人だと感じてるんだけど、声を掛けたりする勇気がないんだ。子供の頃自信を持って声を掛けた相手が違う人で、必死に何か言い訳をしていたんだけど、その態度が自分で情けなく思えてきてね。それで、自分からはもういけなくなってしまって、それから人の顔が覚えられないという思いを抱くようになったんだ。そしてもう一つなんだけど、例えば今、初対面の人と、二時間くらい一緒にいて話をしたとして、次に誰かに会うとすると、その人の顔をその瞬間に忘れてしまうんだよね。きっと、新たに会った人の顔の印象が残ってしまって。覚えられないんだ。自分には、人の顔を覚えるには、覚えきるまでに、誰かの顔が次に印象付けられると、覚えることができない。それがたとえ、記憶の中にある人であってもね」

 と、高杉はいう。

「そうそう、きっとそれが意識の中での飽和状態になっているんじゃないかしら?」

 とさくらがいうと、

「そうなのかも知れない。でも、実際にここまでの意識はあったんだけど、でも、それがセックスなどによって、すぐに飽きてしまうという性癖に結び付いてくるとは思ってもみなかったな」

 という高杉に、

「それは高杉さんの中で、恥ずかしい性癖を自分で認めたくないという意識が働いているからなんじゃないかしら? 私も、誰にも言えない性癖であったり、人に話しても、理解されないような話を抱え込んでいるとしたら、自分でも意識をしていないかのような気持ちになるんだって思うのよ」

 と、さくらは言った。

「なるほど、意識の中の飽和状態ってことだね。それはなかなかいい表現の気がするな。僕がそうだということは、同じように、記憶力がよくないというさくらさんも、僕と同じになるんだろうな?」

 と聞かれたさくらは、

「そうかも知れない死、違うかも知れない。今のところ、自分でもピンと来ていないような気がするのよ」

 とさくらは言った。

 さくらとの何度目のお相手であったのか、ここまで話ができるようになるまで、結構早かったような気がする高杉であった……。

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