第5話 上位種

俺は冒険者になってから3週間毎日スライムとゴブリンを狩っていた。

スライムを倒す時に防御力強化魔法を剣に使うことでスライムの液体に剣が溶かされるのを防ぐことができるから最近は剣でも倒している。もちろん土魔法の練習で土魔法を大量に撃ち込んで倒したりもしてる。ちなみに剣は同じ物を買い替えたよ。買い替えたらちゃんとゴブリンの首刎ねれた。そらそーよね。

今日も今日とて俺はゴブリンを狩りに森に来た。

お、ゴブリン発見。5体か。弓2棍棒3だね。

「アースバレット×6」

弓2体を処理したところで棍棒持ちが近くまで来た。

「グギャアアアァ!!」

あ、仲間呼ばれた。早く倒さないと追加でゴブリン来てうざい。さっさと倒してから追加で来るやつを待ち伏せしよう。

一斉に振り下ろされる棍棒を躱して1体の首を刎ねる。相変わらず連携ができてないなぁ。タイミングずらせばもっと避けづらいのに。また棍棒を躱してもう1体首を刎ねる。最後の1体は魔石を斬る。どうやら魔物によって魔石の位置は決まっているらしくゴブリンの魔石の位置は胸の真ん中だ。人間の心臓より若干右くらいかな。

ゴブリンの処理終わったし待ち伏せするか。木の上にでも登っとこうかな。

木の上で待ち伏せをしているとゴブリン共が来た。7体か。多いな。剣2棍棒2弓3か。剣持ちは初めて見たな。ってか剣持ちの2体だけ体の色が若干濃いしホブゴブリンじゃね?7体は多いしホブゴブリンもいる。逃げた方がいいか?いや、この3週間で多少レベルも上がってるだろうしあれくらいならいけないか?やってみよう。駄目そうなら逃げればいい。

「アースバレット×6」

弓持ち2体を処理した。矢が飛んできたので小さな動きで木から降りずに躱す。

「アースバレット」

弓持ちを狙って魔法を撃つ。棍棒持ちが木に登ってくる。首が斬れる高さまで上がった瞬間に首を刎ねる。ホブゴブリンも木に登ろうとしていたみたいだが棍棒持ちの首が刎ねられたのを見てやめたようだ。

「アースバレット×2」

弓持ちの処理が終わった。

ゴン!

視界が揺れる。なんだ?木から落ちた。頭が痛い。頭の痛い所を押さえてから手を見ると血が付いていた。ホブゴブリンに石を投げられたらしい。やばい。距離を詰めてきたホブゴブリンの剣が振り下ろされる。地面を全力で蹴って躱す。焦点が定まらない。一旦距離をとってから回復魔法を使わなきゃ。焦点は定まらないが全力で走るしかない。焦点が定まらなくても木くらい避けれるはずだ。

俺は全力で走って追いつかれるまでにヒール1回分の時間はあるだろう距離をとってから木の裏に隠れた。

「ヒール」

頭の痛みがとれて焦点が定まる。追いついてきたホブゴブリン共が左右から横薙ぎと突きを放ってくる。しゃがんで攻撃を躱しながら左のホブゴブリンの足に蹴りをいれる。転ばせた。体勢を直したいので距離をとる。ゴブリンも追いついてきた。三体同時に攻撃してくる。ホブゴブリンでもゴブリンとあんま変わらないな。連携ができてない。後ろに飛んで躱す。後隙を逃さず深く踏み込んで全力で剣を振りホブゴブリンの首を刎ねる。ホブゴブリンがゴブリンと比べてどれくらい硬いのか分からなかったから全力で攻撃した。ちゃんと首飛ばせてよかった。初日みたいに首の途中で止まったらやばいからな。残り二体。俺の攻撃の後隙を狙って2体が攻撃してくる。後ろに飛んで躱してから剣を軽く振ってゴブリンの首を刎ねる。攻撃を躱してから最後の一体の首も刎ねる。よし。討伐完了。石投げられた時はやばかったけどなんとか立て直せたな。今回も危なかった。遠距離武器を持ってないからといって遠距離攻撃手段がないわけじゃないってことを学んだよ。遠距離っていうか中距離かな?俺だからよかったけど新人冒険者がホブゴブリン含む7体と遭遇したらやばない?いや、戦わずに逃げればいいだけか。逃げるだけならどうにかなりそうだし。どうにかなりそうか?んーどうだろね?いや待てよ?これ俺が森の奥に入りすぎただけだな。めちゃくちゃ奥には入ってないけど新人にしては入りすぎだ。毎日同じ場所から森に入ってゴブリン狩ったせいで近くのゴブリンがいなくなってゴブリン探す時に奥に入っちゃったんだな。さて、魔石の回収も終わったし帰るか。ホブゴブリンが持ってた剣は今使ってる安物の剣よりもっと弱そうだからいらないかな。

パキ……パキ

音が聞こえる。これ枝を踏み潰す音じゃないか?多分こっちに向かってる。一旦木の上に登って様子見るか。

ちょっと待つとオークが見えた。オークの危険度はホブゴブリンと同じEだから一体だけだし勝てそうだな。

「アースバレット」

頭を狙ったアースバレットは見事に命中したが弾かれた。アースバレットはゴブリンを倒すのにすら頭に3発必要だしオーク相手ならこんなもんだろう。これだったらいきなり斬りかかった方がよかったな。でもまだ俺の位置の把握に時間がかかるはずだ。俺は音を立てないよう大回りで背後に回って斬りかかる。首は身長差で狙いづらいのでまず脚を狙う。

深く踏み込んで全力で剣を振る。断ち切れない!?

俺の剣はオークの脚を半分くらい斬って止まっていた。マジか。硬いな。ホブゴブリンと同じ危険度とはいえオークの方がステータスが攻撃と防御によってて素早さは低いみたいな感じだろうしそのせいだろうな。拳が飛んでくる。え、ちょっ速!?俺は拳を受けて吹き飛ばされて木に叩きつけられる。ギリギリで後ろに飛んで防御力強化魔法を使ったのにめっちゃ痛い。これ骨にひび入ってんじゃないか?

ゴフッ!

血を吐く。なんでだ?なんでそんなに速い?見てから余裕で避けれると思って剣を抜こうとしてたらホブゴブリンと同じかちょっと速いくらいの速さで殴られた。同じ危険度のホブゴブリンより攻撃と防御が高くて素早さも同じくらいなんてありえない。つまりこいつは上位種、おそらくハイオークだ。そう思って見ればゴブリンじゃなくてホブゴブリンと同じ色してるわ。

ハイオークがこっちに向かってくる。一旦距離をとって回復魔法を使わないと。このまま逃げることも考えて街の方向に走る。もちろん追いかけられる。全力で走っているがなかなか距離が離れない。さっきの殴られたダメージでスピードが落ちてるんだろう。でも少しずつ距離はとれてるし追いつかれることはないだろう。しばらく逃げているとやつが石を拾う。投石か。やつのパワーでこの距離から投石されたら見てからじゃ避けきれない。やつが石を投げる瞬間に回避行動をとらなきゃいけない。木で射線切りながら逃げてるけどあいつ俺のこと追いかけてるからいつかは投げれる角度になる。やつが腕を振り上げる。

今!石を投げられる瞬間に左に跳んで躱す。

ビュン!

投石速っ。当たったらやばいぞこれ。と思ったが第二投はなく追いかけるのもやめたようだ。追いつけないし投石も当たらないから諦めたみたいだな。剣もないし街に帰ろう。一応森を出るまでは走ってから回復魔法を使う。

「ヒール×2」

痛みがとれた。いやーいきなり上位種出しちゃダメだよ。だって通常種見たことないから分からんもん。


討伐依頼達成報告のためにギルドに来た。

「依頼の達成報告に来ました。スライム10体とゴブリン10体です。ホブゴブリンも2体倒したんですけど自分が受けられない難易度の討伐依頼の魔物を倒した場合ってどうなるんですかね?」

「自分が受けられない難易度の討伐依頼の魔物を倒した場合は魔石を買い取ることはできますが討伐依頼を受けたことにはできませんしランクアップに影響は一切ありません。ランクアップに影響するとなると格上の魔物に挑む人が増えてしまって冒険者の死亡率が上がるのでこのようなシステムになっています。その魔石はランクが上がってから討伐依頼を受けて納品すれば討伐報酬と魔石の買い取り報酬両方を受け取れますよ。それではこちら報酬の2万セルになります。」

「ありがとうございます」

なるほどなー格上を狩っても冒険者ランクは上がらないのか。でも強いやつを倒せばレベル上がりやすくて強くなりやすいから倒せる範囲のやつは全然倒してくけどね。俺の目的は冒険者ランクを上げることじゃなくて強くなることだ。冒険者になったのは魔物を倒すだけで金が貰えるからだ。強くなるためにこれからも自分の冒険者ランクより上の魔物をガンガン狩って行こう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る