湯水の操縦

@2023-710

第1話

クッキーも焼けずに三十路終夜

待宵やいつも後攻青い春

片月見全部捨てたよ御守りも

湿疹を加工して消す茜空

花を踏みボールが宝向かいの子

放任も過保護も掃けば散る花弁

純白の空しきけぶりホイップだ

夕立も視線も浴びず鍋の番

鳥曇追う影ひとつ田舎の子

一年の小暑に開く恋日記

泡沫は洗濯バサミ割れる音

現れて雪の枕の夢枕

花疲れ離す深部の操縦桿

過ぎた日の端喧嘩が浮く月見酒

花盛り融通利けば永遠と

射損じた励ましもまた真理だと

寒露の日厄介者が愛おしい

想像図無為に広がる豆スープ

持て余す湯水を抱いて一張羅

名月はレースカーテン越えた先

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