叔父に家を追い出された僕が異世界から来た猫と出会い、ダンジョン配信でバズ狙いすることになった件。ちなみに元アイドルで美少女探索者の従姉妹は僕にべた惚れです
211.5.猫と美少女たちは何気に仲良し(3)
211.5.猫と美少女たちは何気に仲良し(3)
Side:パイセン
「あれ~? 彩ちゃん、不味いことになってるかも。ほらこれ、変でしょ」
みおりんが言った。指で示して見せたのは、スマホのメッセージアプリだ。画面には、小田切さんからのメッセージ。
小田切:24時間ノンストップ探索
小田切:場所はUUダンジョンに決まりました
小田切:17時までに現地集合
小田切:ということで
「……場所、UUダンジョンに決まったんですね――で、これのどこがおかしいと?」
「受信した時刻よ」
「……7時38分。あれ? これって、さっきは無かったですよね?」
「うん。無かった」
私達が彩ちゃん宅を出発したのが7時40分だから、当然、メッセージはその時点で届いてたはずなのだ。
しかし、私も確認したけど、小田切さんからのこんなメッセージは届いていなかった。確認したのは車の中からだけではない。試合中も、ベンチに戻る度、何度も確認して、それでこんなメッセージが届いてたなんて――いや。小田切さんからの、どんなメッセージも届いてなかったのを確認している。
「……いま、届いたってことですよね。なのに、受信時刻は7時38分――これって、スマホが」
「そう。スマホがおかしくなってる。で、さ……ほいっと。ほら、パイセンも」
「……はい」
ざわざわするものを感じながら、私も自分のスマホでメッセージアプリを起動し、操作する。
小田切さんのメッセージに続いて、みおりんの『了解』スタンプ(
みおりんが言った。
「ね、こうして見るとさ――変じゃない?」
「……確かに」
私達の『了解』の前に、光くんからの『了解』スタンプも表示されてる(アプリに最初から入ってるやつ。光くんのスタンプも発売されてるのだけど、彼はあまり使わない)。
「……一人だけ、いませんね」
「そう――彩ちゃんがね」
彩ちゃんの『了解』だけが、無かった。
体育会系出身だからか、彩ちゃんはメッセージへの応答が異常に早い。とりあえずレスしてから考えるというか、まずは『聞いてます!!』アピールをするのを第一としてる感がある。
その彩ちゃんが、レスしていない?
「これはさ、レス出来ない何かが起こってるってことか、それとも出来ない状態にある――」
「……スマホが異常になってる」
ということだ。
「……………………(にゅ~)」
「……………………(みぎゃ~)」
見つめあったはいいが、そこから先の考えが浮かばす変顔をしあうみおりんと私だったのだが、思わぬところからヒントが降ってきた。
ベンチで行われている、こんな会話だ。
「え~、○○さん帰っちゃうの~?」
「うん。ちょっとあってさ」
「いいじゃ~ん。
「いやそれがさ、仕事なのよ。××の方で作業してる奴らがやらかしちゃったみたいでさ。スマホとか公衆電話が繋がらなくなってるみたいなのよ」
「え~、俺のスマホは繋がってるけど~?」
「条件があるみたいでさ、全部一律に繋がらなくなってるわけでもないみたいなのよ。いま調べてるんだけど、場合によっては俺も現場に行かなきゃならないかもしれない」
そういう会話だった。
「そういうことみたいね(む~ん)」
「……みたいですね(うみゅ~)」
とりあえず小田切さんにはメッセージが送れるみたいなので、連絡をとってみることにした。
「チャットグループを作って、と……メンバーは」
「……みおりん、彩ちゃん、私、さんご君、小田切さん――光くんは、入ってないんだ」
「心配させたくないしね~。『へ~い。緊急事態だぜ~。でも光には内緒』っと。お、レス来た」
ここから先はスマホを使わず、脳内メッセージでの会話だ。とはいっても、文字の入出力を脳内で行ってるだけで、通信自体はスマホに頼っている。
小田切:緊急事態って?
小田切:こちらは今サービスエリアです
さんご:言うまでもないけど
さんご:僕は小田切と同行している
さんご:それで、緊急事態とは?
美織里:小田切さんのこのメッセージなんだけど
美織里:(小田切さんのメッセージのスクショ)
美織里:彩ちゃんだけ返事が無いのおかしくない?
小田切:確かにそうね
小田切:それに、メッセージも途中で途切れている
なるほど。言われて見れば、確かにちょっと違和感のある終わり方をしている。
小田切:本当はその後に、開催場所が土壇場まで決まらなかったことへのお詫びとか、このイベントへの意気込みが書いてあったんだけど。
小田切:それから『24時間ノンストップ探索記念スタンプ』のサンプルも
何それ見たい。
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