211.猫もコーナーを持っている(下)

 蒲郡先生の話題が終わり。


 美織里:じゃ、本題~

 美織里:『24時間ノンストップ探索』について


 ということになった。


 美織里:あのさ、みんな聞いてた?

 美織里:小田切さんが配信の準備してたこと


 彩:ないですね~

 パイセン:ないです


 僕も、なかった。


 美織里:だよね~。事前にそれ聞いてたらさ、あたしも最初から異世界じゃなくて、日本で24時間ノンストップ探索やってたって話なんだけど~


 光:こういうイベントに対応する

 光:体勢を作りたいって言ってたよ

 光:小田切さんが


 美織里:そっか。じゃあこれは、もともとそういう準備をしてたところに『24時間ノンストップ探索』の話が来たから食いついてみた……って感じなのかなあ


 光:そうだと思うよ

 美織里:だったら、気に病む必要はないか


 さんご:今日は、課題はないのかい?

 美織里:課題?


 パイセン:……2時間ごとにフロア移動とか

 美織里:ああ、そういうのはない。配信してるってことだけ考えてくれれば


 パイセン:グロ禁止とか、そういう?

 美織里:そうそう。配信で引かれない程度で


 彩:独り言が問題になって人がいましたよね~

 美織里:いたいた!


 その話は、僕も聞いたことがある。アメリカの探索者で、探索中に卑猥な言葉を連呼してるのが配信されて大問題になった人がいたのだ。別にいやらしい意図はなく、集中力を保つためのルーティンとして行ってたそうなのだけど、そんな事情があったところで許されるものではなかったらしい。


 美織里:やめてよ光~。独り言であたし達の名前言ったりとか~

 美織里:「彩ちゃーん、彩ちゃーん、あやちゃーん」「パイセーン、パイセーン、パイセーン」「美織里ー、美織里ー、美織里ー」「おっぱーい、おっぱーい、おっぱーい」とか、やめてよね~(笑)


 パイセン:(笑)

 彩ちゃん:(笑)

 さんご:(笑)


 光:ちょ、ちょちょ待って待って待って。僕そんなこと言ってないし、っていうか、もしかして言ってる? 気付かないうちに言っちゃってる!?


 そんな僕の問いに、誰からの答えもなかった……不安だ。


 美織里:配信の台本が来たんだけどさ

 美織里:まずあたし達の挨拶、そこに光が入ってきて今日やる探索の説明、で、カウントダウンして探索スタート。後は光から送られてくるカメラの映像を見ながら雑談、と。


 彩ちゃん:24時間雑談ですか……


 パイセン:……チャットを読みながらなら、そんなに大変でも……ない?


 さんご:僕のコーナーもあるんだね


 美織里:ほんとだ。

 美織里:『グルメ猫さんごのモ肉食べ比べ』。さんごがモンスターの肉を食べて、どれが1番美味しかったか決めさせる……と。これどこが面白いの?


 パイセン:言い方!

 パイセン:深夜だとこういう緩い企画の方が受け入れられやすいんですよ


 それは分かる気がする。疲れた時に尖った企画を見せられると脳が拒否反応を起こしちゃうんだよね。


 彩:この企画はキツそうですね~

 彩:『午前4時のバーベキュー大会』


 パイセン:……終わった後、絶対寝れる


 さんご:一応、そこら辺は考えてるみたいだよ

 さんご:バーベキュー大会の後は、交代で2時間ずつ仮眠をとることになっている


 彩:確かにその時間帯から『みおパイ』『彩みお』『パイ彩』の組み合わせでコーナーが並んでますね~


 美織里:あー、そうだ。分かった


 分かった?


 美織里:なんかしっくりこないな~と思ったらさ。5時半にバーベキューが終わって、そこから『みおパイ』『彩みお』『パイ彩』になってるの、おかしくない?


 パイセン:……確かに、違和感があります。夜が明けるこの時間帯は、全員で盛り上がるべき


 彩:なるほど~。言われて見れば確かに


 美織里:だからさ、バーベキューが終わった5時半からを小田切さんに仕切らせるわけ。それで夜が明けた6時半から2時間ずつ『小田みお』『彩パイ』。で、10時半から全員でって、どう?


 パイセン:……日曜の10時台は何気にバラエティが盛り上がる時間帯――絶妙かと


 彩:5時半から小田切さんを出しておけば、6時半からの『小田みお』の唐突さが薄れますからね~


 美織里:そう! そこなのよ、パイセン! 彩ちゃん! でも本当は、深夜に小田切さん単独のコーナーを作りたいとこなんだけどね


 彩:だったら、4時半からのバーベキューを小田切さんの1人焼き肉のコーナーにしたらどうですかね~?


 パイセン:……飯テロ効果は、そちらの方が高いかも


 美織里:いいわね! じゃあその間、あたし達はチャットの相手をするくらいで、食べるのは小田切さんに任せる! これなら胃にも優しい!


 小田切さんには優しくないけどね……



 その後、17時過ぎに美織里達が到着。

 彼女達がリハーサルを行ってる間、僕は一〇分ほど眠り――そして、18時。


「「「3,2,1 スタート~!!」」」


 僕の『24時間ノンストップ探索』が始まったのだった。



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