185.猫と3番目のお嫁さん(中)

 彩ちゃんの登場は、どらみんに乗ってだった。


「「「「「すげえ! ドラゴンだ!」」」」」


 半ば人事不省に陥って無反応となっていた酔っぱらい達も、これには驚いた。


「きゅきゅきゅ~っ!」


 彼らの反応に、どらみんも興奮している。

 ぶんぶん首を振って酔っぱらい達に応えれば、その背中で――


「ちょちょっ! 落ちる落ちる!」


 彩ちゃんが、振り落とされそうになっていた。


 それでも、どらみんが落ち着くまでにはそんなにかからず、神父を挟んで僕と向かい合う頃には、大人しくなっていた。


「お待たせしました。光君」

「いいよ。彩ちゃん」


 むしろお待たせしたのは僕の方なのだが、それは言うまい。待たせた理由が理由だ。美織里やパイセンと結婚式を――エッチなことをしていたなんて、順番通りに行ったことであり、彩ちゃんも分かってることではあるけど、触れない方がいいだろう。


 それに――これから。


 どらみんを降りて向き合うと、彩ちゃんはとても小さく見えた。三つ編みを解いた普通のロングヘアーで、いつもより大人っぽく見える。


 抱きしめたら壊れそうなくらい華奢で、綺麗な大人の女性だ。


 そんな人と、これから僕は結婚して、エッチなことをするのだ。


 そんなことを思ったからだろうか、僕の中に、戸惑いとも躊躇いともいえるような感情が、生まれていた。


 そして、だからだろうか。


「では若き2人よ。証として、まずは天に対し、熱きベロチューを献げましょう」


 言われて彩ちゃんにキスしようとして、僕は、動きを止めてしまった。


(どうする?)


 僕の胸より低い位置にある彩ちゃんの顔に、どうやって唇を触れさせたらいいか迷ってしまったのだ。


 腰を屈める? ハグして抱き上げる? それともお姫様抱っこして?


 考えるまでもなく『腰を屈める』の一択なのだけど、その選択が、一瞬で出来なかった。そして、僕が固まった、その一瞬で。


「きゅっきゅきゅ~っ!」

「ひゃっ! ちょっ! どらみん!」


 どらみんが、彩ちゃんの股間に頭を突っ込んで持ち上げると、背中に乗せてしまった。


「あ――、え?」


 それを見て、神父も固まる。こんなの前例が無いだろうから当然だ。


 どうしよう……と思ったら。


「光君……光君! このまま」


 どらみんの頭の上から身を乗り出し、彩ちゃんが顔を近付けてきた。


 このままキスしようということか。


「うん……このまま!」


 僕は、顔を上げる。どらみんに乗った彩ちゃんの顔は、さっきとは逆に僕より高い。彩ちゃんの手が伸びて、僕の両頬を挟んだ。


 これも、一種の『顎クイ』なのだろうか。


 彩ちゃんの手に促されるまま、僕は踵を持ち上げ、つま先立ちになり、背伸びして――


「「ん……ん、ん、んん…………」」


 キスをした。


 気付くと彩ちゃんがどらみんから降り、それを僕は抱き留めてひざまずき、ずっと彩ちゃんを見上げたままのキスだった。


 そしてキスが終わっても、僕はひざまずいたまま、彩ちゃんの胸に顔を押しつけ、見上げていた。


 男前な、僕のお嫁さんを――



「では次は聖堂で、地に対し猛烈な交わりを献げて下さい」



 神殿に入り、係の女性にガウンを渡す。


 そこまで彩ちゃんと腕を組んで歩いてたのだけど、彩ちゃんの足取りは力強く、ときおり僕を見上げる微笑は、やっぱり、とても男前だった。


 聖堂に入り、向き合う。


 見つめ合ってると、彩ちゃんの目が潤んでくのが分かった――彩ちゃんが言った。


「光君……私の、初めてを貰ってください」


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カクヨム運営からの指導によりここにあった内容を削除しています。


理由:過剰な性描写


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お読みいただきありがとうございます。


過去作の再掲ですが、投稿開始しました。

さんごの過去を描いた作品です。


猫は世界の支配者だった! ~失恋と死を経て、もっさり令嬢が人生をリスタートします~

https://kakuyomu.jp/works/16818093073012635449


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