184.猫と2番目のお嫁さん(後)
神殿に入ると、さっき焚かれた香の匂いが、まだ少し残っていた。
「ガウンを、お預かりいたします」
ガウンを脱いで、聖堂に。
「うわぁ……大きい」
巨大なさんご=トレンタ像を見上げるパイセンの肩を僕が抱くと、彼女は震えた。算盤が鳴った。ガウンを脱いでも、パイセンはまだ算盤を持ったままだったのだ。
「……返してくる」
いったん聖堂を出て、すぐ戻ってきたパイセンは、手ぶらになっていた。
改めて、部屋の中央でパイセンと向かい合って、僕は迷った。
(……なんて呼んだらいいんだろう)
寿莉愛――二人きりの時は、そう呼べとパイセンにいわれている。それが彼女の希望だ。では、そう呼べばいいのかといえば、ちょっと気になることがあって――そんな僕の迷いに気付いたのか、パイセンが言った。
「パイセンで……いいから。『寿莉愛』は……なんといういうか、その……ないな、というか。二人きりの時だけ呼び方が変わるというのは、ちょっとその……馬鹿みたいというか、その……」
「…………」
「後で考えたら、恥ずかしくなって」
やっぱり、そうだったか。パイセンの美意識的に、そうなるんじゃないかと思っていたのだ。
「うん。じゃあ、パイセンはパイセンで」
「……うん。光くんは……光くんで」
「…………」
「…………」
「……いい?」
「……うん」
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カクヨム運営からの指導によりここにあった内容を削除しています。
理由:過剰な性描写
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