叔父に家を追い出された僕が異世界から来た猫と出会い、ダンジョン配信でバズ狙いすることになった件。ちなみに元アイドルで美少女探索者の従姉妹は僕にべた惚れです
170.猫と冷やし中華を食べにいきました(前)
170.猫と冷やし中華を食べにいきました(前)
そして金曜日。
追試は、朝9時から午後の3時まで続いた。
長丁場だけど、全科目を1日で行うのだから当然だろう。
他の高校に通う友達に聞くと、普通は1日2科目程度に留め、数日をかけて行うらしい。
うちの学校みたく全科目を1日で行い、採点まで同じ日に済ませてしまうのは、異常らしかった。
「いっぱい入学させて、いっぱい卒業させる方針らしいですからね~。追試も、本当は必要ないんじゃないかって考えらしいですよよ~」
と、彩ちゃん。
確かに、事前に追試に使う問題用紙と答えを渡してるあたりからもそれは感じられる。それを暗記すら出来ない生徒を留年させるのは、さすがにそんな生徒まではフォロー出来ないということなのだろう。
(うん……本当に同じだ)
追試の問題は、言われてた通り、事前に渡されたプリントと全く同じだった。コピーするときに付いたらしいゴミまで同じで、もしかして本番は違う問題が出るんじゃないかと5パーセントくらいは疑ってた僕は、胸を撫で下ろす。
もちろん、全問迷うことなく回答できた。
それは美織里も同じだったみたいで「辛いわ~、頭良すぎて辛いわ~」と、椅子の上で仰け反っていた。
当然、豊かな胸が強調されることになって大変いやらしく、それをスマホで隠し撮りしてる生徒が先生に注意されたのを除けば、特に問題なく追試は終わった。
結果も、全科目の試験が終わった後、教室で30分ほど待ってたら、入って来た先生が――
「全員、合格!」
と言って、答案用紙の返却すらなく終わった。
「あれって、絶対落ちてる奴も合格にしてるよね!」
美織里が言うのに、僕も頷くしかない。
答案用紙を返却しないということは、ほぼ確実に、そういうことなのだろう。
「たはは……」
苦笑する彩ちゃんは何か知ってるのだろうけど、生徒と教師の間柄ではぶっちゃけるわけにもいかないのだろう。
「じゃ、これから
というわけで、美織里と彩ちゃんとは学校の前で別れた。
僕は、いったん小屋に帰ってお昼ご飯。
「もんぐもんぐ。こういうあっさりした食事も久しぶりな気がするねえ。もんぐもんぐ」
「そうだよねえ」
さんごと二人で食べたのは、蒸し鶏を添えたそうめんと、山菜のおひたしだ。
夏に入ってからは、こってりした食事が続いてた気がする。もっとも、そうめんというメニューがそう感じさせてるだけなのかもしれないけど。
「冷やし中華って食べてみたいな。今度作ってよ」
「うん。でも、冷やし中華もいろいろあるからね。まずは食べ歩きしてみない? さんごの好みの冷やし中華を探してみようよ」
「いいねえ」
「僕のおすすめは『王将』の冷やし中華かな。余計なことをしてないオーソドックスな味なのが好きなんだ。町中華の冷やし中華をそのまま洗練させた感じっていうか」
「東京には、究極の冷やし中華というのがあるらしいね」
「もしかして……これ?」
スマホで店のWEBサイトを見せると。
「ああ、これだ。イデアマテリアの事務所からそう離れていない場所だし、コラボで東京に行くことがあったら食べに行こうよ」
ということになった。
「そうか……コラボか。実はさ……」
さんごに相談して、小田切さんに連絡すると、すぐに話がまとまった。
「いいねえ。実に良いアイデアだ。ではこの週末は、東京で冷やし中華と君のスキルアップのためにコラボしまくろうじゃないか!」
というわけで、僕はこの週末、東京で多数のコラボを行うことになった。
もともと僕へのコラボ依頼はたくさん来ていたのだけど、小田切さんにお願いして、イデアマテリア関係以外は断ってもらっていたのだ。
でも冷やし中華とさんごにも話したスキルアップのため、その中のいくつかを受けることにした。
コラボ了解の連絡をすると相手方の反応も速くて、夕方になる頃には、土曜日から来週の月曜日まで3日間のスケジュールがコラボで埋まっていた。
「でも光、王将の冷やし中華なら
「そうだね――じゃあ、食べに行こうか」
それから駅前の王将に行って冷やし中華を2杯注文し、透明化したさんごと並んで食べた。僕が2人分食べてる体で、端から見れば勝手に中身が減ってるようにしか見えないだろうさんごの皿を、見咎められないようにしながら。
王将の冷やし中華は、さんごにも気に入ってもらえたみたいで、食べてる最中から絶賛のメッセージが送られてきた。
さんご:美味しい! 確かにこれは美味しいよ!
光:だよね? 美味しいよね?
それから何件か、町中華やラーメン専門店の冷やし中華を食べて帰り、帰宅後も冷やし中華について語り合い、僕らはお互いの冷やし中華観が一致していることを確認しあったのだった。
と――すっかり夜になった21時。
美織里からメッセージが届いた。
美織里:いまから来ない? パイセンと彩ちゃんもいるんだけど
というわけで僕とさんごは、美織里の新居に向かったのだった。
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