叔父に家を追い出された僕が異世界から来た猫と出会い、ダンジョン配信でバズ狙いすることになった件。ちなみに元アイドルで美少女探索者の従姉妹は僕にべた惚れです
166.5.猫と美少女たちは何気に仲良し(10)(前)
166.5.猫と美少女たちは何気に仲良し(10)(前)
Side:美織里
さんご:話したいことがある
さんご:今からそっちに行ってもいいよね
ちょうど良いタイミングで、さんごから連絡が来た。
いまMTTはピンチを迎えていて、さんごの助けが必要な状況だったのだ。
タブレットの画面を見せて、小田切さんが言う。
「だからね、ぴかりんと付き合うのが悪いとは言ってないのよ。若いんだし、恋愛なんて人それぞれなんだから自由にやったらいい。でもね、だからといって
いまあたしとパイセンは、ホテルの床に正座して説教されている。
今日は、パイセンとトレーニングしていた。補習を終えた足で待ち合わせ場所のファミレスに向かい、そこでさんごとも合流して、食事の後、市営グラウンドへ。
「ぶひーぷひーぶひー」
「あひーへひーはひー」
みっともない声を出しながら、スキルを切った状態でインターバル走。そのままフィットネスクラブに移動して筋トレと水泳に勤しんだ。
素の体力を上げれば
あたしの素の身体能力はプロアスリートレベルで、マイナーな格闘技団体だったらいますぐチャンピオンになれるだろう。
驚いたのは、パイセンの身体能力もその領域に足を突っ込みつつあるレベルだったことだ。
「あのさー、パイセンって運動できる家系?」
「父が駅伝の選手だったことくらいしか……そういえば、スイミングスクールの見学に行ったら、一緒に行った母がコーチにサインを求められていて……あれってなんだったんだろうっていまだに思ってるんですけど。聞いても教えてくれないんですよね……」
なるほど、血筋か。
トレーニングの後は、彩ちゃんの大食い企画の下調べも兼ね、この街にもようやく現れた二郎系ラーメンの店で夕食をとった。
「ズズッ。背脂マシマシで……はんぐはんぐ。更にトッピングで背脂追加とか……ズズッ。パイセン、もぐもぐ。背脂めっちゃ好きだね。ズズズズッ」
「ズズッ。この街にも……ズズズズッ。一瞬だけ。もんぐもんぐ。背脂ちゃっちゃ系の店が。ズズッ。あったことがあって……もんぐもんぐ。その店が、好きで……もんぐもんぐ。その思い出を。ズズッ。記憶の中の味を……もんぐもんぐ。ついつい追ってしまうというか。ズズッ」
「あるよね……はんぐはんぐ」
「ありますよね……もんぐもんぐ」
それからホテルのあたしの部屋でガールズトークして、今夜はパイセンもあたしの部屋に泊まってくことになったのだが……
「美織里、ああパイセンもいるのね……ちょうど良かった」
目だけが笑ってない笑顔の小田切さんが訪れたのは、さんごも帰り、あたし達もそろそろ寝ようかということになった頃だった。
こんな時間に来るのだから、目的は分かりきってる――説教だ。
どうやら明日公開予定の
あたし達の最新動画といえば、もちろん、あれである――光との、ダンジョンデートだ。
さんご隊により編集され、後は公開するだけの状態の動画を再生しながら、小田切さんは言った。
「あのさ。これ、なんなの? メスだよね? メスの顔してるよね、あなた達。ぴかりん目線で、デート中のあなた達を撮すっていうのはいいのよ。凄くいいと思う。でもね、これ、本物なのよ。本当にぴかりんに恋してる、本物の恋する乙女っていうか、メスの顔なのよ。クオリティはね、高いと思う。本当に凄いクオリティ。素晴らしい――でもね、考えてくれる? こんなの見せられたファンは、どんな気持ちになるかって」
「いや~『私もこんな恋がしたい!』って思うんじゃないっすかね~」
「女性ファンの一部はね。でもね、これ見て。これ。さんご君のAIが出したMTTのファン層の分析。これ見るとね、男女問わず1番多いのが、あなた達にガチ恋してる層なのよ。『みおりーん、パイセーン、彩ちゃーん』って鼻をフガフガさせてる、幼稚な、ロクに恋愛経験もない、豚みたいな連中なのよ。そんなアホどもがこんな動画見せられたらどうなると思う? 炎上よ炎上! カミソリと切り刻まれたグッズの入った封筒が着払いで事務所に送られてくるのよ!」
「「…………」」
小田切さんの剣幕に、あたしもパイセンも自主的に正座して、無言で俯くしかなかった。
そんな時だったのだ――さんごから連絡があったのは。
●
美織里:いいよ
と、あたしが返信して数秒後――
ホテルに現れるなり、さんごは言った。
「来週、彩と光が結婚するから」
これには驚いた。
「「「…………」」」
あたしもパイセンも小田切さんも絶句して、あまりの驚きに、小田切さんの怒りも吹っ飛んでしまったみたいだった。
更には――
「美織里とパイセンも一緒に式をあげよう。3人で、一緒に結婚するんだ」
「「「…………」」」
性格に130秒延長された絶句の後、小田切さんが聞いた。
「あの……さんご君? この世界ではね、複数の配偶者を持てる国って、ほとんど無いのよ?」
「うん。だから異世界で」
「へ?」
「異世界で結婚するんだよ! あっちの世界なら、年齢も人数もまったく関係ないからね!」
いや~、本当にぶっこんでくれますわこの猫ちゃん。
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