160.猫は留守番のお泊まり会(前)
アンケートとってます。
期間は1月13日までです。
よろしくお願いします。
https://twitter.com/oujizakuri/status/1743809849182593360
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どんどんどん!
激しくドアがノックされ、続けて声がした。
「きゅう~~~~」
どらみんだった。
「だめっ! どらみん!
「きゅう、きゅうう~~~」
彩ちゃんが叱っても、どらみんの声は楽しげになるばかりだ。そしてドアへの、おそらく頭突きによるノックも激しくなるばかり。
どんどん!
どんどんどんどん!
「やめて! そんなにドアを叩いたら――」
ばり!
とうとう、どらみんの猛攻にドアが負け始めた。
「やややややややや!!」
目を剥いて慄く彩ちゃんをよそに、ノックは更に激しさを増し。
どんどんどんどん!
ばりばりばり。
どんどんどんどん!
ばりばりばりばり。
そして遂に――
ばきーん!
ドアの合板が裂け、穴が空いた。
そこに首を突っ込むと。
「きゅ~~~~う?」
目玉だけ動かして、どらみんが部屋の中の僕らを探す。
「「ひぃいいいい…………」」
その視線に僕らが震えたのは、やはりどらみんをのけ者にしてエッチな行為を楽しもうとしていた後ろめたさがあったからに違いない。
「お父さんに……怒られちゃいますよぉ」
力なく彩ちゃんがうなだれ、それはつまり、僕らの敗北を意味していたのだった。
●
「きゅっ! きゅっ! きゅう~っ!」
「痛いよ~。やめてよ、どらみ~ん」
というわけで、いま僕らはリビングでどらみんと遊んでいる。そして僕は、頭をどらみんに突かれまくっているところだ。
「あははは。どらみんは、本当にぴかりんのことを気に入ってるんですね~」
「え!? 嫌われてるんじゃなくて?」
「嫌ってたら、唾とかおしっこをかけてますよ~」
嫌われなくて良かった――そうだ。
「昨日メッセージを送った件なんだけど」
「笹沼さんの練習相手になる件ですよね? いいですよ。昨日のうちにみおりんやパイセンの了解は得てますし。報酬を金銭以外で済ますってことについても、小田切さん的には問題ないそうですし」
「スケジュール的には大丈夫なの? 彩ちゃん、夏休みも学校の仕事あるでしょ?」
「学校の仕事は……事務仕事がちょっとと、探索部の顧問くらいですね。8月に入ったら
「確かに、格闘家って格闘技そのものの練習はそんなに時間かけないですよね」
「それより、笹沼選手の対戦相手ですよ――
タブレットで検索してみると、
「
「いやいや、そんなことはないでしょー。
そうして動画を観ているうち……
「ここって、どうやってるんですか?」
「ああ、これは――やってみますか」
技術講習が始まった。
でもリビングでは狭くなり。
「仏間に行きましょうか」
ということで、仏壇以外なにもない6畳間に移動して、最後は寝技のスパーリングになった。
「ハーフガードは、こういうパスの仕方もあるんですよ」
「えっ! 背中を向けて!――えっ! バックが取れない!?」
「へへ~。脇の下でグリップしてるんですよ~?」
彩ちゃんのテクニックは巧みで。
「はい、アームドラッグには逆らわない」
「えっ!? 自分から転がって!?」
「バックを取られなければいいんですよ~。逆に相手を棒立ちにさせて……はい、デラヒーバで逆にバックを取っちゃいました」
おまけにスピードも速いから、僕は生まれて初めてというくらい極められまくった。
「えっ! なんなのこれ! 股間に頭を突っ込んでひっくり返して両足首を極めるって!?」
「これは憶えなくていいですよ~。宴会芸みたいな技ですからね~」
寝技のスパーリングではお互いの身体を重ねて触れあうわけだけど、エッチな気分には全くならない。
1時間くらいスパーリングして、汗まみれになった畳を消毒し――
「先にシャワー浴びちゃってください」
言われて、浴室に入った。
すると、後から――
「一緒に入らせてくださ~い」
声と共に飛び込んで来たのは。
「きゅ~っ!!」
彩ちゃんでなく、どらみんだった。
「どらみんは、本当にぴかりんを気に入ってますね~」
「きゅきゅ~っ!」
「痛っ! だめっ! だめっ! そんなとこ突いちゃだめ!」
そうして浴室を出て、リビングに行くと――
「君が、ぴかりん君?」
彩ちゃんの、お父さんが帰宅していた。
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お読みいただきありがとうございます。
彩ちゃんの寝技のモデルはマルセロガッシアという柔術家です。知らない人のためにいうとHUNTER×HUNTERのネテロ会長のモデルになった人です。
それから彩ちゃんが最後に使った技については、この動画の2:30辺りから見てください。この動画の入ってるビデオが発売されたときには、アメリカの柔術界で凄く話題になったそうです……ネタ的な意味で。
https://www.youtube.com/watch?v=CM0AqalRJJY
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