第4話 電気って、雷みたいなものでしょ?
「よーし!じゃぁ地球へ戻る歌を作ろう!そうしたら魔法の力で戻れるかも知れない!」
ありすの号令一下、ワダランメンバーは作曲をはじめた。この世界の音楽がイメージを具現化するものだということがわかっているので、なるべく、ポジティブな言葉で音楽を構成していく必要がある。しかしそこは、音楽を専門でやってきたメンバーたちだ、立ちどころに地球へ戻るための歌が完成した。
「よし!できたー!」
「じゃぁ早速演奏しよう!」
「「「『I'll Be Back』」」」
♪聞いたことも見たこともない
どこかわからない場所にやってきた
わたしたち
魔法が使えることを知った今
ためらうことなんていらない!
I'll Be Back! I'll Be Back!
この扉を抜ければ
I'll Be Back! I'll Be Back!
わたしたちの故郷
I'll Be Back! I'll Be Back!
やっと帰れるんだ
I'll Be Back! I'll Be Back!
地球に♪
飛行機の窓の一つが魔法の光で輝くと、その先に都市の風景が広がっていた。
「見て!これロサンゼルスじゃない?やっぱり魔法、効いてるよ!」
うさぎが目を丸くしながら言う。
「窓じゃなくて扉が良かったんだけどな」
ひなたが少しがっかりしている。
「もっと何度か試して見よう」
ワダランは出来たてホヤホヤの新曲『I'll Be Back』をアレンジを変えたり、歌詞や構成をいろいろと試しながら、何度も演奏してみた。しかし、どのトライも地球へ帰るには至らなかった。ただ、わかったこともあった。それは、音量が大きければ大きいほど、魔法の力が強力だということ。ギターならアコースティックよりもエレクトリックな方がパワーがあるということだ。
「電源さえあればスピーカーから音が出せるのになー」
キーボーディストのチェシャは、今は仕方なく鍵盤ハーモニカを吹いている。
「たしかに、ギターもアンプが使えれば全然違うと思う」
うさぎも同意した。しかし、安定的に使える電気を手に入れる方法がない。魔法で電気を作り出すことも試してみたが、電圧が安定していなかったり、電源供給を持続させることができなかったり、問題は山積みだ。さらに言えば、電気を生み出す魔法を使っているときに、『I'll Be Back』を演奏することはできない。
「うーん。いろいろ解決しないといけないね」
ありすもこの問題の難しさを認識していた。
「電気って、雷みたいなものでしょ?だったら、ドワーフが電気を使えるかもしれないよ」
いままでワダランたちの演奏を見るだけだったテコが、解決の糸口となる情報を口に出した。
「!」
「じゃぁ、ドワーフに会いに行けばいい?協力してくれるかなぁ?」
「ドワーフはいい人たちだからきっと大丈夫だよ」
「よーし!じゃぁ、ドワーフに会いに行って、電気を使えるようにしてもらおう!」
こうしてワダランたち一行の異世界の旅は、テコを案内人にして始まったのだった。
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