黒国の後日談

『黒国の後日談』


国に活気を戻そう。

そう私は決意した。

私の名前はキング。クローバーソードのキングだ。

もとはそういう名前の冒険者だった。

今は、何をするでもなく城を修繕している。

あの時の仲間がいれば、やる気もおのずと沸くのにな。


ダイヤランスのクイーン。

わがままで、突撃していくタイプの脳筋バカ。

ただ、その強さは本物だった。

その強さを評価して、冒険者から離れた後、私直属の騎士団長とした。


スペードアックスのジャック。

落ち着いていて死ぬことはおろか、傷つきもしない。

賢さは一級品だったため、冒険者から離れた後側近に置いた。

あとなんか腹立つ性格だ。

けど交通事故で死んだんだっけか。

まあ、交通事故じゃなくても今は老衰で死ぬな。


ハートロッドのエース。

この子はか弱かった。

しかし、かっこいい所もあった。

この子の最期はスライムに消化された。

「私が囮になる」と言って、どこかの森のキングスライムに殺された。

冒険者から離れた後の役職は経済、建築とかの総括だったか。


そして…死んでしまった息子のジョーカー。



思い出に浸っていると扉が開いて、

「王様。いいえ、クロー。帰ってきたんだね。」

そう言ってスケルトンが現れた。

スケルトンホースに乗っていた姿は、あの女の愛馬「ギア」を思い出した。

「その名前の呼び方…クイーンか?」

「はい!そうです!」

スケルトンになった体を見て驚く。

…のは、お互い様か。

「お前もスケルトンなんだな。」

そう言うと、大きくうなずいた。

クイーンは、「私が城を守りつつ、団員たちに城の再建をさせます。ので、外に出てください。」と言って、追い出してきた。

そういえばこんな奴だった。俺の身の回りを何でもやりたがる。

そう思いながら不気味な森をふらふらしていると、木に寄りかかっている、かぼちゃを被った男が現れた。警戒していると、

「お久しぶりです。ク…クッキング…様。」

と、笑いをこらえながら、ジャックにつけられた嫌なあだ名を呼ばれた。

一瞬でこいつの性格の悪さを思い出した。

「最悪な性格だな。ジャック。それで、カボチャをかぶってどうした?」

「かぼちゃをかぶらなきゃいけない生活になったんだよ。ごめんな。交通事故で死んだあと復活したけど、冒険者にまた殺されちゃったわ。」

「なんで交通事故から生き返った?」

「分からん。」

「じゃあ、なんで冒険者に殺されてるのに生きてるんだ?」

「同情された。あいつらはいい冒険者になるよ。」

なんだそれ。と笑った。それにつられてジャックも笑った。

「では、私は城に戻ってるな『クッキング』。」


私は村を転々とした。

元の服を着ていたため、国王と分かるものが多かった。

まあ声をかけられたら逃げるけど。今は話しかけられたくないからな。

この国を隅々まで散歩した。森もかき分けていった。

「侵入者だ!……!?」

ドワーフが群れを成した。

しかし、群れは森の中央へ行った。

それを追いかけると、開けた場所についた。

「どうしたの?そんな焦って。」

「あの!あのスケルトン!」

そうドワーフが口々に言うと、スライムが振り返った。

そのスライムの姿がまるで…

「やだ!キング様!?」

そう言うと、どたばたと家の中に入っていった。

スライムの形をしたエースはハートロッドを取り出して、

「待っていました。奇跡的にまだ生きているので、一緒にまた国を作りましょう。」

「やっぱりか。」

全く。

奇跡が続きすぎて吐き気がする。


皆が城に集合した。

その姿は、「スケルトン」「ジャックオランタン」「スライム」と面白いほどにぎやかだった。


「君たちに提案がある。学校を作ろう。」

「学校…ですか?」


このあとも、まだまだ冒険は続きそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クリエイティブ・ワールド 秋花 シュウカ @syuuka116

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ