第一章 第六話
六話 『ハロウィンパーティーは一日きり』
「なぁ。何のために人は生きると思う?」
そう言ってかぼちゃを被った紳士のジャックオランタンは鎌を構えた。
「ん?…さー。考えたことない。成し遂げたいことがあるからじゃね?」
俺も手に召喚した三級刀剣『
「おー。戦闘したがるじゃん。」
「したくないのか?」
「うん。」
…なんでこんな話をしているんだろう。
「うぅ。ああいったはいいものの、やっぱりお化けは怖いよ。」
「ウラメシヤ~。」
…そうでも無いかもしれない。
まあでも早く終わるかな?
よし。試しに訓練で手に入れたやつ使おう。
「『
周囲が一瞬にして氷の世界に変わった。
それと同時に…みんな凍ってしまった。
すみません。墓でも立てておきます。
くそ、強い。
間合いを詰めても、すぐ離される。
鎌の扱いがしっかりしてる。
「『破撃』!」
「『
激しい音とともに周囲の大地がえぐれていく。
このままじゃ…
ん?まて、俺は半分ドレイクに成れるんだ。
「行くぞ!」
たちまち、人型のドレイクの姿になった。
二足歩行だ。しかし、鱗と炎が身を包む。
これが、ドレイクの力。全身があったまっていく。
「お。なんだそれ、すごい変貌だな。笑っちまいそうだ。」
戦闘は続いている。
鎌はこの鋼鉄の皮膚に防がれている。
そのため今度はあっちが防戦一方になっている。
鎌を振り回したとき、鎌に持っていかれて隙ができていた。
「勝った!」
「まだぁ!まだぁ!」
その時、ジャックはスキルを使った。よほど死にたくないらしい。
(スキル『
たちまちジャックは五体になり、声にならない声で
「攻撃は…させん!生きて…見せる!国王のため!」
と、多分そんな感じの事を呻いていた。
五体となると強いな。どれが本物かもう分らん。
しかし、こっちはドレイクだぞ!
周囲を燃やし、分身を一掃した。そして、炎に焼かれないように逃げたジャックに向かって、炎幻刀で切った。
ジャックに炎幻刀がクリーンヒットした。ジャックのカボチャが焼けた。
そのまますべて丸焦げになった。
すべて…燃えた。かぼちゃが泣いた。
「ああ…死んじまう。嫌だな…。痛い…。辛い。」
「なぁ。なぜそんなに死にたくないんだ?」
とっさに聞いてしまった。自殺をしようと思っていた自分とはかけ離れていたから。羨ましかったから。
生きようと思える、意味が解らなかったから。
ジャックはなぜか温かい目になった。
「それはな。友人がいたからだよ。
友人はしつこかった。うざかった。けど、心の支えになった。
その友人が、死ぬなって言ってくれただから死にたくなかった。けど…もう…燃え死ぬ…みた…い…」
灰が残った。罪悪感も残った。灰はカボチャ畑に積もった。
パーティーの後のクラッカーの火薬のにおいのようだ。
「ごめん。」
そう呟いてハイポーションをかけ、その場を後にした。
(スキル『物ガ流ルル《ポルターガイスト》』を取得)
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