第一章 第七話
七話『大群の誇り』
罪悪感を抱えたまま、王宮に向かった。
王宮の壁は整っていて、明らかに王が住まわっている感じがした。
しかし城が見えない。
ちょうどそこに、震えて涙をこらえたティアが来た。
「あぁ…。そんなところにクリムいたんだ…。」
震えていた。けがもしていた。
もう、これ以上は動かすべきではないのかもしれない。
「よし。この防壁を突破するぞ。魔力は残ってるのか?」
「うん。ほんの少しだけど。」
「なら温存しておけ。『破撃』。」
防壁が音を立てて崩れた。それと同時に、骨のガタガタという音ともに
スケルトンの大群が出てきた。
周囲確認では読み切れない量…30体以上いるのか。
「スター。これなんとかできねぇか?」
「できるけど…魔力を空にする必要が…いい?」
「…。空になってもいい。」
そのあとの戦いは、俺が全部引き受けるから。
「分かりました。氷結破撃を最大出力で…。」
たちまちスターの周りに冷気が集まっていく。
「『
集まった冷気がスケルトンの骨を壊し、氷で固まった。
大半は凍っているが、12体は残っているようだ。
「ちょっと疲れたから休むね…。」
「よくやった。あとは任せろ。」
この国王にまだ使えるスケルトンはなぜ使えているのだ?あのクズ王に。
村の話によると、国王は罪人の開放をして、村で少しでも楽しい話またはトランプの話をすると、死刑らしい。
このスケルトンは何が目的だ?
そう考えていると、周囲のスケルトンは崩れた。
疑問に思っていると、中央をスケルトンホースに乗ったおそらくリーダーであるものが歩いてきた。
「お前ら不幸だったな。今は眠っておけ。」
とスケルトンたちにつぶやいて、
「お前は絶対にこの城に入れさせん!」
と言ってきた。
二回続けて勝負しなければならないのか。
試しにスキルをすべて使ってみるか。
馬から降りて、床に埋まっていた槍を抜いてすぐさま間合いを詰めてきた。
「破撃と斬撃で…。『
周囲の雑魚が、片っ端から切れていく。
しかし、リーダースケルトンは生きている。無言で即座に近づき、槍の柄で叩いてきた。
俺はひるんだ。そのすきにスケルトンは宙返りをして、わき腹をやりでついてきた。
くそ、次は…これを使うか。
「『
たちまち体が空中に浮かんだ。
ここからだと…いける!
「『物ガ流ルル』と『反撃』と『炎属性付与』で…。」
周囲のがれきが集まってきた。
「『
画歴は一直線にスケルトンに向かった。炎と煙で倒したかどうかもわからない。
魔力も残り少なくなってしまった。
「『飛行』解除。」
地面について炎の中を見た。
すると炎の中から槍が飛んできて、顔をかすめた。
「スケルトン軍のリーダーの…私は…そう簡単には…倒せんぞ!」
「マジかよ。」
震えた声でそう言っていた。楽しくなってきて、笑ってしまった。
しかし、その後だった。悲劇が起きたのは。
「イキマスヨ!セェーノ!!『
王宮から聞こえてきたその声とともに、光がこっちに向かってきた。
スケルトン達は、光を浴びて消えていく。
とっさに俺は敵のはずのスケルトンに向かって「死ぬな」と声をかけていた。
「分かっていた…。しかし、騎士の役目…は…国王に使える…こと。
役目には…抗えなかった…。
どうか…あの…国王を…倒してくれ…。」
スケルトンは流さないはずの涙が出ていたように感じた。
スケルトンが気絶してしまった。
同時にマグマのような怒りが湧き出るのを自分から感じた。
寝ているスターに「先に帰るように」と置手紙を書いて、王宮へ向かった。
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