第一章 第五話

五話  『いつもハロウィンな森』


「この森を抜けるぞ。」

闇森という森。それがこの森。

町人の情報によるとこの奥に王がいるらしい。


おぞましい雰囲気が漂っている。

「うわ…怖い~。」

「あれ?怖いの苦手?」

震えながらスノーさんは、

「うん。クリムは大丈夫なの?」

と聞いてきて、質問なんかより、呼び方の方が気になって反応してしまった。

「く…クリム?」

問いかけるとスノーさんはにこやかにこっちを向いて

「うん!クリム。そっちの方が呼びやすいからね。」

どういう顔をしたらいいかはわからなかった。

…ただただ恥ずかしいのは分かった。

「で、私は…ティアとかどう?」

「…分かった。じゃあ、ティア?でいいのか?話をそのまま、顔を動かさずに聞いてくれ。」

「ん?なに?」

「ゴーストに囲まれた。」

そう言いつつ炎を準備した。『周囲確認』を発動しながら歩いていてよかった。

「恐らく8匹いる。怖くないか?大丈夫か?」

「んん…。大丈夫…だと思う。」

しかめっ面でそう言われた。

「大丈夫じゃなさそうだな。」

そうやって笑い飛ばした。

そうなると…8対1か?

ぞろぞろと、装備を付けたゴーストがやって来た。

じゃあ、戦闘はまだしたくないから飛ばして逃げよう。

「『破撃ハゲキ』発動!」

周囲のゴーストがすべて吹き飛んだ。

成長性の影響を受けて、スキルも一緒に強くなっているのか。

しかし、強すぎたな。

「ありがとう。」

「いいえ。それより、走って強行突破するぞ!」

幸い俺には身体能力向上がある。

スターを背負って俺はどこまでも駆け抜けた。

「ちょ…速い!」

「わりぃ!だけどこのスキル制御できないの!」


開けた場所についた。

そこにはかぼちゃを被った紳士と、破撃を使って飛ばしたはずのゴーストが数体いた。

…喰らったふりをして、ゴーストが先回りしていた、か。

「なぁ、ゴーストと戦ってくれないか?多分カボチャは…強い。」

そう言うと、カボチャを被った狂紳士は、薄ら笑いを浮かべた。

「分かった。じゃあ、強そうなカボチャはまかせたよ。」

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