第五十三話「SH-60Kの乗務員」
東京。研究所 上空。哨戒ヘリコプターSH-60K機内。
「モールス信号をキャッチ。定時連絡です。『総員二名、健康状態に異常なし。研究報告No14。寄生体に人為的に作られた痕跡を発見。ゲノム編集です。私の考えが正しければ寄生体は兵器です。それも最低でも100年先の技術力の結晶だと確信します。それだけの技術力を保有する開発者が無差別に襲う駄作兵器を作るとは思えません。襲われないようにする方法を用意しているはず。その方法が分かれば第4のワクチンも現実味を帯びてきます』以上、定時連絡終わり」
研究所全体の電気が消灯、点灯を繰り返している。日米の共同施設内に閉じ込められている研究所所長の娘。中学生ながらアプリ開発者として成功、そればかりか誰かが残したバックドアから警視庁の内部システムに侵入して捜査情報をニュース代わりに閲覧したり企業のシステムを乗っ取っていたずらをしたり危ない趣味を持っていたりもする一介の学生としては天才的な腕を持つ少女だ。その少女が自前のノートパソコンにコマンドを入力して研究所の内部ネットワークに侵入。遠隔で電気のONOFFを切り替えたり監視カメラの映像を確認したり好き放題やっている。
『伝えろ。寄生体に寄生されてもモンスターに変貌しなかった人間を保護している』
無線機から群司令の声が流れた。その内容に驚愕する俺は問い合わせる。自分の耳を疑うほどの知らせに他の乗務員たちも混乱する。
「もう一度お願いします」
『伝えろ。寄生体に寄生されてもモンスターに変貌しなかった人間を保護している』
「了解しました!」
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