第四十九話「米国国籍の男」
日本の隣国。核発射場。
核弾頭を積んだその国では最新鋭と呼ぶにふさわしい弾道ミサイルの準備が着実に進んでいる。その場所にいること自体おかしい米国国籍の男(俺)がコーヒーをすすりながら見守っていた。米国とその国との間で正式な書類は一切存在しない口約束の類ではあるが、結ばれた密約。その効力を得るための条件がモンスターの密集地。東京に対し核攻撃をすることだ。
「そっちは順調か?」
スマホを取り出して女につなぐ。
「ええ。フルクラム、ブロッガー、フィッシュベットの混合編成で百二十機。出陣準備完了」
「技術力の差は物量で埋めればいい。一機で十機以上を相手にしなければならないとなればイージス艦を守り抜くことは不可能だ。まぁ仮に負けたとしても遅延ができれば問題ない」
「本当にやるの?」
「大統領命令だ。俺たちの意思じゃないだろ」
「ええ……」
「酒でも飲もう。ここの酒はあまりうまいとは言えないけど、忘れるにはちょうどいい」
「そうね」
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