第四十二話「涼風陽菜1」

 中央で寝ている双葉を抱き枕代わりにぎゅっとする。双葉は暑苦しそうだが、まぁいいかなと放置している。寝付けない私は今までの出来事を思い出していた。

 学校で襲われ、逃げて、自衛官に出会った。二人は助けを求められれば見捨てない性格をしているけれど私の扱いが過保護だ。子供だからだろうか? 少し違う気がする。私ともう一つ分からないけれど私にあるものを必死に守っている印象が記憶にこびりついている。病院でクモみたいな生物、液体になったあれに襲われたときの記憶が曖昧だ。もしかしたらと考えてしまう。もしかしたら私の頭の中にはあのクモみたいな生物がいるのかもしれない。奇跡的に適合してモンスターにならなかった、モンスターと人間の狭間に立っている、色々と浮かんでくる。正直怖いし気持ち悪い。頭の中を確認したい衝動に駆られる。でも確認できない。怖い。天秤が傾いて、均衡が崩れてそしてモンスターになったら朱音と藤宮は私を殺すだろうか? きっと殺す。双葉はきっと一緒に死んでくれる。私は双葉を抱き締めた。少し安堵する。

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