第三十七話「アメリカの大統領3」

「押されているようだが、大丈夫なのか?」

「おそらく期限まで耐えることは不可能でしょう」

「そうか。原因はなんだ?」

「敵勢力は寄生した人間の知識の一部や人格を吸収するらしく、当初はゾンビのように考えなしに行動すると思われていましたが、戦略を使えることが分かりその対策に窮しております」

「ふむ。防衛部隊の被害状況はどうだ?」

「甚大です。インターネットの重要性を研究していた大学関係者や回線事業者の社員から入手した知識から通信の中核を担っている機器を破壊すれば軍、自衛隊、警察の動きが鈍る。と理解したモンスターの一部が物理的にぶっ壊した結果、日本国内の回線が死滅しました。ケスラー・イベントによって衛星が破壊されて使えない現状では日本国内のキャリアを利用して通信する必要がありそれが使えない今、軍内外の連携が難しく単独の大隊一つ一つの力に依存して戦っています。集団で相手にするべき相手に個で挑んでいる状態ですので、敗走は時間の問題です」

「近い距離ならば無線で連絡すればいいんだろうが、日本とアメリカのような遠い距離はどうやってやり取りをしているんだ?」

「伝書鳩代わりのヘリを用意しました。ヘリが手紙を韓国にある大使館に運び、大使館が本国に内容を伝達します」


 横須賀基地は確実にモンスターの手に落ちる。横須賀基地を守っている防衛部隊も限界が見えている。自国民の救助もこれ以上は続けられないか……海上に漂う船舶への収容も限界が見えていたし撤退するタイミングとしては及第点だろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る