第二十五話「藤宮葵1」

 大鉈の切っ先が朱音の腹部を睨む。切り裂くつもりだ。私はサクラを発砲しながら走った。大鉈の攻撃をスライディングをして避けた私は朱音を抱えてモンスターから距離を取ろうとするが、肘打ちをくらった。モンスターの腕に手のひらを添えて軌道を変えることには成功したが、台風のような圧倒的な力に押され転倒する。顔面を床にぶつけた。鼻が折れた。私は弱々しい瞳でモンスターを見上げる。


 死を覚悟する。

「逃げろ!」

 琴里が涼風の手を引っ張って休憩室から階段の中腹まで移動する。私は琴里と涼風が逃げる時間を稼ごうとするが、モンスターは私を無視する。


 朱音すら無視して涼風を追いかける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る