第十話「荷下ろしの担当者」
木更津駐屯地の飛行場にせわしなく自衛官が操縦する大型輸送機、C‐2が離着陸する。繰り返し荷下ろし作業をする米軍兵士が榴弾砲、自走りゅう弾砲、迫撃砲の受け取り書類にサインをして日本側の担当者である僕に渡していく。モンスターが山々から市街地に移動するまでに排除しなければならないと考えている米政府は日本政府にスキャンダルという銃口を突き付けて榴弾砲と迫撃砲を言い値で、今すぐ、販売しろと恐喝して入手した。日本政府にとって武器を売るこれは問題ない。武器の輸出が解禁されている今ならばどうにでもなる。問題なのは供与した後だ。
在日米軍はモンスターが進行中の日本の山々を日本が作った装備品で、砲撃する腹積もりだ。別に嫌がらせをしようとしているわけではなく、沖縄の米軍基地から輸送できるのは時間的に兵員か兵器のどちらか一つ。兵器を輸送しても兵員がいなければ意味がない。だから自衛隊から装備品を買って、兵員だけ送り込み作戦を行うと決めた。それは理解できるよく理解できる。在日米軍がアメリカの兵器を使って攻撃しただけでも大問題なのに、それが日本の装備品となれば想像もできないほどやばい問題になる。二度と政権を取れないかもしれない。それならばスキャンダルで終わった方がいいと誰もが考えたが、アメリカはスキャンダル以外に本物の銃口も用意していた。家族を拉致されて首を横に振れる政治家は皆無だった。
僕は淡々と書類を受け取る。
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