第3話 氷竜
「さてさてこっからが本番だよな、秘術ー魔力纏い」
「ほう、魔力纏いか珍しいな」
俺は両拳を魔力で覆った。
魔力纏いと呼ばれるこの技は、古くからあり魔力はあるが魔法が使えないもの達が編み出したとされる。
この技の最大のメリットは魔力により、自身の拳を守れることにある。
魔力を纏うことにより殴った時の反動や痛み、傷などから守ることができ、目一杯殴ることができる。
「いくぞ、瞬間移動からの王国武術ー破壊槍!」
「グハッ」
俺は瞬間移動で氷竜の背後を取り、また破壊槍を喰らわせた。
バリンと音を立てて氷竜の背中の一部を砕けた。
当然だが、魔力を纏えば威力も範囲も上がる。
「強いな小僧」
「ありがとよ、さぁもうこれ以上痛い目に遭いたくないだろ?大人しく退散してくれ」
「ふっ、舐めよって、アイスブレス!」
氷竜はそう言って俺めがけて氷属性のブレスを放出した。
「つ、冷てぇ」
ブレスはだいたい15秒ほどで止まったが、ほぼ全てが俺に命中した。
「さぁて、ワシのブレスはあらゆるものを凍らせて命を奪う、それをまともに喰らって人間が生きていられるはずが……ない」
「あぶねぇ、死ぬかと思った」
「おい小僧、なぜ無傷なんだ」
「え、いやそれは俺の魔防力のお陰かな」
俺は魔防力と呼ばれる魔法への防御耐性が異様に高い、師匠曰く俺が魔法を使えないかわりにステータスのバランスをとるためにこうなったとか。
そのため俺は魔防力20000という規格外な防御力をしている。
数値上だが、俺に魔法でダメージを与えるには8等級レベルの魔法でなければ駄目らしい。
ちなみに8等級レベルは1発で大きな街が消し飛ぶレベルである。
「ば、バケモノめ」
「さてとそんじゃ、今度はこっちの番だな」
この世界において魔法には知力が必要である、知力により覚えた魔法陣と魔力によって魔法は成立している。
つまり、魔法を使うには魔力だけでは駄目なのである。
俺はなまじレベルが100あるので魔力も5000となかなかに高いステータスをしている、しかし知力が足りてない。
そのため俺は魔法がそんなに上手く使えない。
それを知った時はめっちゃショックだった。
「お、おいその魔力はなんだ」
俺の拳を覆っていた魔力が、とてつもなく大きくなっていることき気づき氷竜は焦ったようにそう言った。
「あーこれか、魔力増幅魔法を使ってるからな」
「なんだと、魔力増幅魔法といえば高等魔法だぞ、なぜ人であるお前が使えるんだ」
「いやいや逆だよ、それだけしか使えないんだよ俺は」
「は?」
そう俺は、魔力増幅魔法しか使えないのだ。
レベル100にしては少なすぎる知力によって俺は多彩な魔法を高レベルで行うのには無理があった。
そのため、師匠は俺にたった一つの高等魔法のみを極めるようにと言ってきた。
そうそれが魔力増幅魔法である。
「俺はさ普通の人よりも、魔法陣とか覚えるキャパが少ないからさ、だったら使える魔法一つにして極めた方がいいわけなんだよね」
「……理屈はわかったが、ワシからしてみればお前も十分すぎるほど強く、魔法のレベルも高いと思うがな」
「そうかな、でもありがと!」
王国武術には魔力纏い前提の技が3つある。
「王国武術ー極星拳」
極星拳は拳に魔力を込めて打ち出す技で、込める魔力が多いほど威力が増す。
使い手のレベル次第では山をも吹き飛ばす大技である。
「ふはは、ここまでか」
「喰らえ!極星拳」
そうして俺は極星拳を氷竜へ向けて放った。
レベル0からレベル100?8年修行して最強になったので無双します!! 神崎あら @takemitsu
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