第2話 vs上位竜種
「いやぁユウスケ見違えたよ、頼りになるじゃん!」
「おう、そう言ってくれると8年間頑張った甲斐があるよ」
そう言ってエリーは嬉しそうに俺の背中を叩いた。
しかしなんでこの村には守護者がいないのだろうか。
一応、各村々には守護者と呼ばれる国から雇われた番人のような人達が配属されている。
基本的に守護者のレベルは30〜50ほどあり、この程度のドラゴンならレベル40ほどで倒せる。
うーんどこいったんだろう、とりあえず聞いてみるか。
「なぁ、それはそうと守護者はどうしたんだ?」
「え、ああ守護者様、守護者様は……」
「逃げ出したよ」
「逃げた……って父さん!?」
俺が守護者についてエリーから話を聞いてると村人の中から今度は父さんが出てきた。
うっわ久しぶりだな、流石に8年も経つと結構老けてきてるな。
「逃げたってどういうこと?」
「単純な話さ、守護者の手に負えないレベルのドラゴンにこの村は目をつけられててな、それで逃げたんだよ」
おいおい守護者で手に負えないレベルって、それってまさか上位竜種か。
なるほどそれだとまずいな。
「父さん、それって上位竜種?」
「ああそうだよ、上位竜種の氷竜アイスドラゴンだ」
「マジか」
ドラゴンには階級があり、炎竜、氷竜、雷竜、黒竜、白竜、土竜、始竜、これら7つの属性竜種のことを上位竜種と言う。
上位竜種は基本的にドラゴンラインというドラゴンの集団を組み、村や町を襲ったり支配したりする。
どうやらこの村は氷竜のドラゴンラインに目をつけられてしまったみたいだな。
「だいたい2ヶ月くらい前から向こうの山に氷竜が住み着くようになってな、それから毎日奴の手下のドラゴンが村を襲うようになったんだ」
父さんはゆっくりだが村でなにがあったかを話始めてくれた。
「最初は守護者が対処してくれてたんだが、段々襲ってくる頻度も増えていって、そしてとうとう1週間くらい前に氷竜自身が村を襲いにきたんだ」
「マジかよ」
「守護者は氷竜を見るとすぐに逃げちまったよ、そんなんで守ってくれる奴がいなくなっちまってからはもう村はめっちゃくちゃだよ」
上位竜種のレベルはだいたい70〜80って言われてるし、そりゃあ一介の守護者じゃ敵わないよなぁ。
よぉし、ここは俺が村のためにその氷竜を撃退してきますか!
「だいたい話はわかった、父さんその氷竜が住む山ってどの山かな?」
「あの山だよ」
そう言って父さんは北に見える山を指差した。
さぁて場所はわかったぞ、すぐに行って退治してやるか。
「ありがと!そんなら行ってくるわ」
「行くってお前、どうやって」
「ユニークスキル発動ー瞬間移動」
そうして俺は瞬間移動を使い、北の山へと移動した。
俺の使うこの瞬間移動というユニークスキルは、目に見える範囲の所か知っている場所ならどんなに離れていても一瞬で移動することができる。
「さて着いたぞ、つかめっちゃ寒いなここ」
「なんだお前、どこから来た?」
着くや否や目の前に薄水色のドラゴンがいた。
禍々しい魔力も感じるし、こいつで間違いなさそうだな。
「お前か、氷竜ってのは」
「ふはは、いかにもワシが氷竜だが、お前こそ何者だ?」
氷竜は俺の問いかけに笑いながら答えた。
やっぱしでけぇな、さっき倒した赤いドラゴンがだいたい7mくらいだったのに、こいつは10mいや12、3mくらいありそうだな。
「俺はユウスケだ、そして悪いがあんたにはここから立ち退いてもらうぞ」
「ふっ、何を言うかと思えば貴様みたいな小僧の言うことをなぜワシが聞かねばならんのだ」
一応警告のつもりで言ったんだが、退く気はないようだな。
よし1発喰らわせてやろう。
「ユニークスキル発動ー瞬間移動」
「なんじゃ?」
俺は瞬間移動で奴の腹下へと移動した。
「王国武術ー破壊槍」
「グハッ」
俺はそのまま奴の腹めがけて王国武術の一つ破壊槍を放った。
そしてそのまま氷竜は30mほど吹き飛んだ。
「はは、氷竜だっけかお前結構強いな」
破壊槍は自身の拳を槍のようにイメージして全身の力を込めて岩を貫く技である。
そしてその技を俺がやれば山をも貫く事ができるが、氷竜の腹は貫通はしなかった。
「小僧、貴様ワシを怒らせたな」
むくりと起き上がり、氷竜は俺をギロリと睨みつけた。
さぁてドラゴン退治のはじまりだな。
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