最終話 終わりと始まり

光が収まると、そこは全く別の景色が広がっていた。燃え続けていた大地から炎が消え、草花が芽吹きはじめていた。リントの目の前からエデルの姿は消え、遙か後方に大きな樹が根付いていた。


辺りには既に敵の姿はない。ジェイドゥやジャイルまでもが消えていた。エデルによって放たれた白き光はこの争いを終結させたのだった。


更に奇跡は続く。ジャイルによって操られていた白狼や黒狼は、命を吹き返した。それだけでは無い。この争いで犠牲になった全ての者の傷を癒したのだった。


リントはただ空を見つめていた。青く澄み渡る空には雲ひとつなかった。


灼熱の星フレムグリター。この星は世界で一番美しい星に生まれ変わり存在し続ける。この星を護るのは一際大きな樹。どんなに過酷な環境にでもその樹は枯れる事も、折れる事もなく存在し続ける。それは、まるで長い時を生きる守り人のように。


リントは重い足取りのままその星を離れた。向かった先はファーマのもとだった。リントは気づいていた。この世界には既に同じ使命を背負う仲間が存在しない事を。ファーマが眠っていたベッドは既に冷たくなり、何も残っていなかった。


争いが終結しても世界の均衡は傾いたままだった。時使いリントがどこまでこの広い世界を護る事ができるのだろうか。この先、リントに待ち受けるのは過酷なものばかりだろう。自身の無力さに打ちのめされながらリントは孤独に戦い続けるだろう。そんなリントに寄り添うのは同盟を結び、唯一守り人を認識できる彼らだけだった。

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四柱の守り人 新章 瑠璃川あおい @takamusu

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