第21話 白き光がもたらすもの

精霊マールスから伝えられた禁断の方法。それは、使用者の命と引き換えに発動するものだった。エデルは迷う事無くその方法をとった。エデルの体内で構築されていったそれは遂に完成し、同時にエデルの体内では崩壊が始まった。


その変化は徐々に外部でも現れる。手足が動かせなくなり、話す事も呼吸も困難になる。しかし、エデルに苦しみはない。穏やかな心地のままエデルの身体は光を帯び始め、その光は辺り一帯を覆い尽くす程強いものになった。赤々とした大地は白い光に包まれ、その場の全員の視界を奪った。

「エデル!何をした!」

ジャイルが叫ぶ。しかし、答えられる者は既に存在していなかった。


エデルの目の前にいたリントは、強い光の中エデルの気配が消えた事を感じたようだった。涙を流しながらエデルの名を叫んでいた。その声をかき消す程の声が辺りに響いた。それは、苦痛にもがくようなものだった。その声が消えた直後、今度はジェイドゥに異変が起きた。

「ジャイル!どういう事だ!」

ジェイドゥが叫ぶ。

「こんな力、我は聞いた事がないぞ」

ジャイルにその声は届いていたが、頭の理解が追いついていないようで何も答える事ができなかった。

「お主を信じた我が愚かだった」

その言葉が最後だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る