第3話
さてさて、新しい恋つってもなー。
昼休み、遥人とご飯を食べ終えた俺は一人で色んな教室を回る。
視察視察っと。
お、あの子いいなー。いや、あの子も。おっ!あの子めっちゃ良い!
……違う!!
何かが違う。こう、何て言うかちょっとずつ恋に落ちるみたいな感じが良い!
でも、まともに女子と話したことないから無理!!
ってことは今やってることにも意味がない!!
「はあ。何してんだろ俺」
恋ってどうやってすんの?
なんか可愛い子みても全然心動かないんだけど。
「何ため息ついてるんだい?」
とぼとぼ歩いていると後ろから誰かに声を掛けられた。声は男のものだった。
誰だ?俺に友達は残念ながらそんなにいないんだよな。そして、こんな声の人もいないんだよな。
考えても無駄か。
俺はゆっくりと後ろを振り向く。
「……っ」
予想外の人物に思わず目を見開く。
主人公か。
それに――
目を向けると、顔を背けられた。
それに、美亜もいるとはな。
二人は手を繋いでいた。おー、昨日別れたばかりなのに堂々としてんなー。
「『何してんだろ』って後悔してるのかな?」
主人公が笑顔で聞いてくる。
うわ、イケメンだ。
「もしかして、美亜のこと言ってる?」
「うん」
俺と主人公が話している中、美亜は首を背けていた。
複雑な表情をしている。
「それは、勘違いだよ。美亜と別れたことは後悔してないよ。幸せにね」
俺は二人に笑顔を向けて去っていく。
「ま、まっ――」
後ろから何か声が聞こえた気がするけど気のせいだろう。
俺はそのまま教室に戻ることにした。
◆◇◆◇◆◇
「彰人、そういや、お前今日から放課後暇だろ?」
「お、そうだな」
今まで美亜と帰ってたけど、昨日別れたから暇なんだ!
「よし、じゃあゲーセン行こうぜ」
「おー!」
うっしゃ!久しぶりのゲーセンだぜ!
「ゲームの腕落ちてねぇだろうな?」
「いや、どうだろう?最後にお前と行ったの高校入る前だからな」
「絶対落ちてんじゃねぇか」
遥人に首を締められる。
無理やりではないけどね。
俺と遥人は互いに笑いあった。
あー、やっぱいいなあ。新しい恋もしたいけど、遥人とこうやって遊ぶのも楽しい。
「お、そういやお前の元カノ、主人公と付き合ったらしいぞ」
遥人の口から出た主人公は、もちろん望月海翔のこと。
でも、遥人がゲームのことを知っているかと言われると違う。
ただ、望月海翔があまりにもイケメンで、サッカー部のエースで、性格も良くて、モテるから男子からは主人公と呼ばれているのだ。
「ああ、知ってる。さっき話しかけられた」
「うお、マジか。なんて?」
「ため息ついたら、『美亜と別れたの後悔してるのかな?』って勘違いされたんだよ」
あれはただ自分の奇行にため息をついていただけなんだけどな。
「……それ煽られてね?」
「いやいや、主人公だぞ?煽るような奴じゃねぇだろ」
「まあ、そりゃそうか」
主人公の話はそれまでにして、俺と遥人はゲーセンに向かった。
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