第4話 ヤバイ!逃げろ!!

 僕達は11歳になった。

 農作業の忙しい春が終わり、恵の雨の時期に雨が降らない。

 かなり離れた川から水を運搬、水撒きって重労働が増えた日々、いっこうに雨が降らず日照りの夏がやって来た。


「困った、ここまで日照りが続くと水撒きしても焼け石に水、これは不味まずいかも!」

 毎夜3人集まり、意見交換してる。

「不味いぞ!これじゃ越冬するための食料が収穫出来そうにない」

「飢饉でも納税は待ってくれないね」

「このまま行くと、レイラちゃんは勿論、僕やアラン君も奴隷商に売られるよ」

「食い扶持ぶち減らしに現金収入ってか!」



 覚悟を決めるか!!

「皆に公平に分配したお金、銀貨5枚銅貨20枚今持ってる?」

「うん、親に見付かると取られるから、肌身離さず持ってるよ」

「僕も音がしないように、お腹に括り付けてる」


「夕食食べて直ぐだ、僕はこのままコッソリ村から逃げ出そうと思う、レイラ、デイダ着いて来る?」

「うん!当然よ!」

「僕も逃げ出すの賛成!」

「水筒と、こん棒持ってるね、じゃ逃げるぞ」

 最近のお気に入り、重いこん棒は威力がある、水筒はいつでも水分補給出来るよう常に腰にぶら下げてる。


 僕達は街道を王都に向かい、夜通し急ぎ足で進んだ。

 夜の街道は人通りが無い、人目を気にせずひたすら進んだ。

 夜が明ける前、森の浅い所に入り交代で眠った。

 夜になるのを待って、ふたたび街道を進んだ。

 倹約して飲んだ水筒の水が、なくなったころ運良く街道の水のみ場に到着した。


 さすがに水のみ場、多数の商隊が野営してる!不寝番が数人居たが堂々とした態度で水を飲み、水筒に水を満杯補充して、そしらん顔で先を急いだ。

 無害そうな子供3人に不寝番は気にとめる事もなく、と言うより魔物と盗賊以外気にもしない態度だった。

 夜明けまで急いで進んで、水のみ場からかなり離れた場所で森に入った。


 気疲れから皆倒れるように眠ってしまった。

 微かな物音に目が醒め瞬時に覚醒した。

「しまった!!誰も不寝番して無い!」

 レイラとデイダを揺すり起こし。

「何か居る!!臨戦りんせん体勢!!」

 二人も寝惚けること無く、戦闘体勢をとる。

 月あかりで辺りは結構見える、林の奥から何か飛び出した。


 デイダが低く構え、タイミング良くこん棒を振った。

 いつものゴブリン討伐の感覚で、僕とレイラはこん棒で相手の頭をタコ殴り!!動かなくなるまでしつこく殴った。


 殴り殺して初めて相手がゴブリンじゃない事に気付いた。

「この角の生えた兎?これ冒険者達が言ってたホーンラビ?」

「ラッキー!!お腹が空いて限界だったの!ホーンラビって美味しいそうよ!」


 草刈りカマの折れたのを加工して、粗末なナイフにして持ってる、解体出来そう。

「まだ夜が明けるまでは時間がある、焼いて食っちゃお!」

「「賛成!!食っちゃお!」」

 レイラとデイダが焚き火する間に、解体し肉を出来るだけ薄く切り分け手製の串に通した。

 レイラとデイダが焼き肉作って居るあいだ、毛皮の内側のヌルヌル取り、地面にこすり付けて加工してた。


 4日ぶりの食事、ホーンラビの焼き肉は涙がこぼれるほど旨かった。

 1㍍はあるホーンラビ、食べきる事は出来ず塩無しの薫製肉にレイラとデイダが加工した。

 僕は毛皮の処理をずっとやってた。

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