第3話 レイラが偉そうに言って来た
ゴブリン魔石が10個になった。
冒険者の話では、1個銅貨50枚でギルドで買い取ってくれるそうだが、僕達は村に来る冒険者に銅貨20枚でコッソリ買い取ってもらってる。
損してるようだが、冒険者は1個銅貨30枚儲けがあり喜んで買い取ってくれる、僕達は持ってても困る魔石を簡単に処分出来て貴重な現金収入、銀貨二枚が手に入った。
こんな調子で順調に実践訓練し、魔石で現金を貯めて行った。
銀貨や銅貨がチャラチャラ音を立てないよう、親に決して見付からないよう苦労が増えたけど、これは嬉しい苦労だ。
冬の仕事は麦踏みだけだが、家の面倒な雑用を押し付けられる。
雑用はいつもやってるが、冬には時間の掛かる面倒な雑用が増える、特に穀物内の小石の取り出しに兎の毛皮の処理、内側のヌルヌルを地面にこすり付けて根気よく取り除く、どちらもイライラする嫌な仕事だ。
上手な手抜き、要領が良くなり空き時間は増えた。
僅かな空き時間、僕は身体を鍛える事に費やして居たが、レイラは仲の良い友達、村長の娘リタから文字の読み書きを教えてもらってたようだ。
森で実践訓練してる時、いつもと違い無い胸を反らしたレイラが僕とデイダに言った。
「アランにデイダ、読み書き出来る?」
「な、何を突然!習って無いもの出来る訳がない…」
ちょっと悔しくて尻すぼみの返答になった。
「えへん!お姉さんがバカなイリスに読み書き教えてあげる!」
またレイラが姉さん風吹かしてる。
「要らない、そんな事よりゴブリンか兎を狩るぞ!訓練の方がたいせつ」
「ちっちっ!戦う事以上に読み書きは重要よ!お姉さんが理由を説明してあげる」
人差し指を振って否定するレイラに少しイラつく、自慢したいだけだろ。
「良い?文字が書けないと冒険者登録用紙に記入出来ないよ!」
「代筆してもらえば良い……」
「代筆料取られるよ」
「そんなの冒険者の仕事頑張ってお金を稼げば問題無い!」
「依頼票貼り出したの読めないと依頼受けられないよ」
悔しいけど、言い合いでレイラに勝てる訳が無い、結局言いくるめられ読み書きを教えてもらう事になった。
読み書きって難しいと思ってたが、習って見ると意外に簡単に覚えられた。
文字って言葉に合わせた48文字しか無く、その組み合わせで文章になる。
勿論習いたてのレイラに複雑な文章の読み書きは出来ない、教えてもらってる僕達もそれなりだけど、レイラに密かに感謝した。
面と向かってお礼なんて言わないけどね。
狩りの役割が徹底され効率良く安全に狩が出来るようになって、魔石が結構貯まった。
文字を読み書き出来る強みも有る、12歳を待つ必要無いかも時期を見て逃げ出すのも良いかも。
そんな感じで11歳の夏異変が起こった。
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