第2話 過酷な家事

 僕は6歳になった。

 身体も少し大きくなって「剣術訓練頑張るぞ!!」と張り切っていた。

「アラン、お前も6歳になった。今日から畑の草むしりやってくれ」

「えぇ~?」

 そう言えば、僕達より年上の子供達が遊んでるの見た事が無かった。

 日中暇そうにしてるのは、各家の長男達だけだった。


 しょうが無いさっさと草むしりして、練習するぞ!!

 不満を言っても録な事にならない、僕は素直に農作業を始めた。


「おい!アランそれは苗だ!!雑草と苗の区別もつかんのか!!」

 父さんの監視付き、草取りは意外に大変で全く終らず夕飯ゆうはんの時間になってしまった。

「疲れたけど夕飯まで30分程時間がある」

 練習場に行くと、集まったのは僕とレイラそれにデイダの3人だけだった。

 レイラもデイダも疲れた顔をしてる、僕も同じ疲れた顔をしてるだろう。

 木剣を軽く打ち合って、30分はあっと言う間に経ってしまい解散した。


 冬になると霜柱しもばしらで麦の根が千切れない様、麦踏みする以外仕事がなくなる、ここぞとばかり練習に励んだ。


 8歳になった。

 草むしり以外に麦畑を一枚任された。

 剣術訓練は夜がふけてから3人集まり、愚痴を言い合う場になってしまった。

 それでも僕にレイラとデイダは毎晩集まり、剣術訓練をやる気だけは無くさないようにした。


 10歳になった。

 農作業は全ての畑の草むしりに麦畑二枚に増えたけど、効率良く手抜きも覚え余裕が出てきた。

 日中内緒で3人集まり、剣術訓練するようになった。

 勿論親に見付かると、無茶苦茶仕事を増やされるので、訓練は村を出た森のなかでやってる。


 森にはたまにゴブリンがうろついてる。

 最初遭遇した時は夢中で棍棒振り回し、討伐出来ず撃退しただけだったが、3人無事だったのを喜び合った。


 実際ゴブリンと戦った事で、ゴブリン討伐に置いて3人の役割が決まった。

 素早いデイダがゴブリンの脚を殴る、倒れたゴブリンの頭を僕とレイラがタコ殴りする、必勝パターンだ。

 ゴブリンと言うか、魔物は僕達を上等な餌さとしか見ない。

 ゴブリンに僕達が気付くと、ゴブリンも僕らを見付け突進してくる。

 多数が一斉に襲って来なければ必勝パターンは崩れない。


 きつい農作業に剣術実地訓練で僕達は逞しく成長してる。

「やっと冬になった!森に行くぞ!!」

 そんな僕達に二歳年上のイズル君とヤツデ君が訊ねて来た。


「お前達感心だな!家の手伝いで俺達何も出来んかったがやっと12歳になった」

「俺達これから家出して、冒険者ギルドに登録し冒険者になる」

「麦畑も畑も全て兄貴の物、俺達が村に残っても農奴みたいな暮らしが待ってるだけだ」

「あぁそれは僕も感じてた、5歳上の兄貴既に僕の事農奴扱いしてる。デイダもレイラも同じ様な扱い、僕らも12歳になったら家出して冒険者になる」


「アラン、ウエルズ王国の冒険者ギルドで待ってる!2年経ったら必ずこい!!」


 12歳は丁稚奉公でっちぼうこう下働きの就労年だ、家出等で親の手の届かない所に逃げれば自由の身になれる。

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