冒険者に憧れて

犬時保志

1章 こんな村嫌だ編

第1話 始まります

「おう!ゴブリンごとき俺達にかかればイチコロだ!」

 村にやって来た冒険者達に、僕達は群がり話を聞いてる。

 冒険者達は、僕達に身振り手振りで大袈裟に面白可笑しく話てくれる。

「「すげぇ!じゃオークは?」」

「俺達は護衛専門、街道にオークは現れん。その代わり傭兵崩れの盗賊が頻繁に出没する!盗賊や強盗を蹴散らすのが俺達護衛の仕事だ!」

「「すげぇ!!」」

 子供らしい憧れが盲目的に商人の護衛達、中級冒険者達のホラ話に聞き入っていた。


 冒険者達は初級3等から始まり、2等まで仕事は薬草採取や町の雑用になる1等になって初めて低級魔物討伐が出来る。

 失敗無く魔物討伐が出来るようになると、中級3等に認定される。

 中級から商隊の護衛、魔物討伐が主な仕事になる、薬草採取に町の雑用をやっても良いが中級にもなって雑用をやる冒険者は居ない。

 中級1等冒険者になり、多大な功績が有ってギルドが認めた場合、ギルドの推薦と言う事で上級3等に昇進することがある。


 滅多な事で上級冒険者にはなれないと言う事で、現在上級3等が10人、上級2等が3人、上級1等は一人居たが引退したそうで不在、まだ上に形だけ特級と言う位が有るが、なれた者が居ない。

 上級冒険者は国を股に掛け活躍する、多くは指名依頼によるものだ。

 上級冒険者は化け物揃いだそうで、巨大な魔物クレイジーベアを単独で討伐出来るのが上級者達だ。



 冒険者達の盛った話や架空のホラ話を真に受け、殆どの少年は冒険者に憧れ12歳になれば町に行き冒険者登録すると、密かに決意するのだった。


 僕もその内の一人、10人程の5歳の仲間で一番背が高く体格が良いので皆の親分になってる。

 冒険者と言えば剣で魔物を薙ぎ倒す。

「剣術訓練始め!!」

 各自棒切れを振り回し剣術の真似事をしてる。


「アランちゃん、私も仲間に入れて!」

 僕んのお隣、同い年なのに姉さんぶる口喧くちやかましいレイラちゃんが来た。

 仲間外れにすると、有ること無いこと僕の母ちゃんに告げ口する、ウザイけど作り笑顔で。

「良いよ木剣木切れ持って、僕と剣術訓練しよう!」

 何が嬉しいのかレイラちゃん、花が咲いた様な満面の笑顔してた。


 厳しい(笑)訓練の毎日、初め木剣木切れを受けそこなって頭にタンコブこしらえたり、木剣握った手を打たれ悶絶したり大変だった。

 ここぞとばかり、レイラちゃんをぶん殴ろうとしたが、姉さん風吹かすだけの事はある、一度も当たった事が無かった。

 木剣で殴られると非常に痛い!皆充分思い知ったこと、受けたりたいかわわすのが凄く上手になった。

 順調に上達してる!12歳までこの調子で行けば、冒険者登録して直ぐに中級になれる!安易に僕は考えていた。


 ところが6歳になると大変な事が待っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る