第5話 クレイジーベアを倒せた!

「ホーンラビの薫製肉は結構旨い」

 僕達かなり森の奥に入り狩りをしながらの旅だ、すでに追っ手が来れる距離ではない事を良いことに、ものすごくのんびり旅になってる。

 小さなむろをこしらえて薫製肉に加工するのに数日かかる、毛皮の処理なんて根積こんつめめても3日はかかる、あれほど嫌な雑用だったけどやった事で無駄なものって無いな。

 ただ苗と雑草の見分け方は使うこと無いと思うが。


「レイラ僕達村から逃げ出して何ヵ月になる?」

 真夏の盛りに逃げ出して、夜は肌寒く感じる季節になった。

「3ヶ月くらいかな?あれ?と言うことは私12歳になった?」

「レイラ?おめでとう!12歳なら冒険者登録出来るな…って事は僕も15日程にちほどで冒険者登録出来る12歳になるぞ」


「アラン君たぶん近くに冒険者が言ってたハンエイ町があるよ、冒険者登録そこでやったら?」

「良いね!ホーンラビの毛皮10枚に角が9本魔石10個がいくらになるか分からんが、買い取ってもらえば安物革鎧くらいは買って装備出来るだろう」

 最初のホーンラビは夢中でぶん殴り、角が折れて欠片しかない。


 何か考えてたレイラが言った。

「アラン君、もう少しゴブリン魔石を採取して町に行こうよ、ギルドに売る物増やして防具より良い武器よ!両手剣は買いたいよ」

「そうだな!もう昼間寝るのは止めて、街道沿かいどうぞいの森を狩りをしながら進むか」


 とは言っても見知らぬ森、慎重に注意しながら進んだ。

 あれほど居たゴブリンにホーンラビが全く姿を見せない。

「この森なんか変だ、レイラ、デイダ音を立てないよう注意して森から急いで出よう」

 僕は皆をうながせ、急いで危険を感じる森を出ようとした。


 突然バキボキ木をへし折る音と、くぐもった威嚇いかくうなり声が前方で起こった。

 森を出るのにはここを通るしか無い、なれ知った村の森じゃ無い、迂闊うかつ迂回うかいすれば迷って森を徘徊はいかいすることになる。


 ゆっくり物音を立てず唸り声の方向に進む。


 開けたと言うか木をへし折って無理矢理広場にした場所で、二頭の巨大熊が縄張り争いだろう戦っていた。


 近付くとか逃げるとか考えもしないで、ただ恐ろしく迫力のある戦闘に見入った。

 戦いは一昼夜続き、敗北した大熊は脚を引きずり逃げて行く。

 勝利した大熊も無傷でなく、勝利の雄叫びを一吠えしドット倒れ込んだ。

「チャンスじゃないか?」

「うん!皆であの頭タコ殴りしよ!!」

 躊躇無ちゅうちょなく、皆全力疾走で大熊に近付き問答無用で必死に殴った。

 夢中で殴った。

 気付くと頭がグチャグチャになった大熊の死骸が転がってた。



 僕達は解体不能の巨大熊を3人で担いで、と言うより引きずって街道を進んだ。

 巨大熊の迫力に道行く人達は声を掛けること無く無言で口を開け見てた。

 やっとハンエイ町に着いた。

「おい!止まれ!それはどうした!!」

「門番さん通して、重くて…早くギルドに持って行きたい」

「それはクレイジーベア上級冒険者でないと倒せない化け物!

 通行は許可するが、ギルド売却の後事情を説明に来い!!」

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