おとずれ

日曜日航空機の音のどか

録音じゃないベルの音が鳴る

雑然として冷蔵庫の音聞きに行く

コーヒーの響きする器

すだれ壁を叩く音す

鈴の音歩く いぬかねこ

声のみを知る鳥が飛ぶ

夕焼けチャイムの音程 トラック過ぎる

かたかたかたかた 自転車もおもちゃも走る


桜、人工の光に照らされて怪し

梅の香に呼び起こされけり道真公

古寺や瓦のうらに十六夜月

枝の葉の欄干に届きさうな六月


地面の輻射 蝉がもう鳴く

暑くて扇風機は首を振る

夏なりと鳴り物入りの太陽や

吹き曝し提灯一字に破れておばけ

蛍の明滅ぼやりと同期を探す

小さき楓も葉は手のかたち

杉がざわざわ嵐が来るか

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第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部 二十句連作部門 冬川凍 @fykw

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