戦え!超電動力 ダイ・サイガー!これは人類文明の対処能力を遥かに上回る、地球・銀河・宇宙を超越して降り掛かった巨大な厄災に愛と青春と友情を賭けて戦い宿命に抗って正義を信じ貫いた若者達の運命の物語である
第28話 合体試験、大成功!完全完成ダイ・サイガー!
第28話 合体試験、大成功!完全完成ダイ・サイガー!
「十分距離は取っていますけど、それでもくれぐれも注意して下さいね」
「はい」
「わかりました」
「…………」
数人の監視の人に見守られながら、二つのクレーンに着いた二つずつ、計四つの巨大なアームが唸りを上げながら動き出して、まずはサイガー5の左右四箇所掴んで釣り上げていく。ある程度持ち上げられてから、真ん中にあったジョイントが外れて二つに分かれて、ゆ~っくりと左右に離されてから、縦に直立するように操作されて、そこから多少変形した後に足首部分が曲がって床面に降ろされた。
「これが足の脛から下、ブーツの部分になりますね。次で足の部分の完成します」
次に履帯が生えたティアドロップ型の潜水艦な外観のサイガーマシン4号……サイガーマリンが吊り上げられていく。かなり吊り上がった所で履帯が収納されて、90度回転して横にされてから真ん中で真っ二つに折れて下向きのコの字に。これが二体のブーツ状態のサイガー5の上に乗せられ、腰~大腿部になって完全に固定されると足から腰にジョイントする部分まで積みあがった。
「ここまで問題ないようですね。次は腰から胴体の下半分になるサイガー3を載せます」
今度はサイガー3・サイガーアタッカーが持ち上げられていく。サイガー3は今は攻撃機形態なので、飛行機っぽい。これまた横になった状態吊り上げた後に縦に起こして、胴体の部分が腰の形にまとまってゆっくり降ろされてサイガー4の腰のジョイントと合体して、胴体の一部~下半身までが完成した。
「毎回、横に寝た水平の状態のまま吊り上げてから、そこから垂直にしなきゃいけないのが少し手間ですね。さて、サイガー1を吊り上げます」
見慣れたサイガー1、ファイター状態が吊り上げられていく。最初は床に水平ゆっくり持ち上げられていった機体は、また徐々に垂直になるように調整されて、最後には完全に直立した状態で変形を終えた後、下のサイガー3~5と合体した。今は足から腰と、そこに胴体の芯だけの形になっている。頭部はまだない。
そこに最後に残ったサイガー2を乗せると、残りの背中~肩~腕が加わって人型状態になるっぽい。
……のだけど……
「ここからが少し手間でね」
「そうなのですか?」
クレーンが機体=サイガー2(タンク状態)を掴んでゆっくり持ち上げていくのはこれまでと同じなのだけど……
確かに……見ていると苦労しているのがわかる。
戦車状態から腕~背中部分に変形させる過程で横に広がるので二基のクレーンの二か所の持ち手を起用に操作してバランスを取りながら、折り畳まれていた左右の腕の部分を展開させていくという結構複雑な手順を吊り上げた状態で15分ぐらいかけていた。
「確かに面倒くさいことになってますね」
そうしてやっと変形が完了した、背中から肩、その肩から生えた両腕部分を、吊り上げているクレーンの長さを一番短くして、本体の上側をギリギリ通して(たぶん頭部が出ていたら通れなかったと思う)後ろ側に移動させた後にゆっくり被せるように降ろしていく。
最後、この巨体に不釣り合いな一回り小さいエース状態のままの頭部がせり出してきて、そこに四方から機体側にあったパーツが被さり、兜を被ったようにエースより一回り大きい頭になって……
ようやく巨大な人型メカが完成した。
「無事に事故もなく合体が成功しましたね。良かった。これが計画最終状態のダイ・サイガーです」
合体して人型になったダイサイガーの身長は約120m。天上からは釣り下がっているクレーンや照明があるので直立するとかなりギリギリ。色は全体的に赤を基調に、腕や足の一部が青や白でワンポイントに黄色が配色されている。結構派手だ。
「大きい……」
「でかいっすね」
「おっきいなぁ!」
「ほんと……」
各々が見上げながら口々に感想を漏らす。
「さぁ、どうせなら近くから見ていきましょう。大丈夫だとは思うけど足元、周囲にも気を配って注意して見学して下さいね?」
そう言って歩き始めた町田先生に続いてダイサイガーの足元に向けて歩いていく。
「今回は下から積み上げていく合体方法になりましたが、合体するシチュエーションによっては様々なパターンがあります」
その巨大なメカを見上げながら近付くと、船…というか、軍艦のような大きな建造物っぽい趣がある。本当に間近な場所からだと、機体の極一部が見えるだけで、その一部の外板に塗られている表面の塗装が見えるだけ、みたいになる。かといって全体を見ようとするとかなり引いて見ないと全部を見渡せないので、そんな間近な表面の雰囲気なんかはまったく感じ取れない。
各部では整備する人たちが合体後に問題が起きていないかを調べている。そもそもが大きいのでそういう作業も膨大だ。
ようやく近くまで歩いてきたけど、正面は意外とディティールは少なく、のっぺりしている。表面はなんか……鉄道車両みたいな感じ?それも新車のよう。まぁ新しいから当然だけど。
正面から側面に回ると兵装が目立ってくる。外側に直接取り付けられてるのから、本体に埋め込まれてる様なのまで色々。
「ダイ・サイガー専用の兵装はダイサイガー・マグ……サイガータンクの主砲部分を取り外して持ち手を取り付けたものです。それから、ダイサイガー・レーザー、ダイサイガー・スピナー、ダイサイガー・ザンバー、ダイサイガー・ジャベリン、ダイサイガー・ハンマーなどがあります」
手に持ったマニュアルを見ながら説明してくれる。
「それに、急遽装備された超電動力バリア……これはこの前破壊した敵ロボットの残骸からなんとか機能を再生・復元したものです。……なので、性能的にはあまり当てにしないでください。テストの結果によると、それなりには役に立つはずですが」
あの時の苦労がこんな形で役に立つとは……
「通常兵器としては、エースの時にも頭に付いていた30mm機関砲が引き続いてCIWS(近接防御火器システム)として使用出来ます。他にも二か所、今ここからは格納されているので見えませんが30mm機関砲座が付いてますね」
ここまで大きいとそういう物まで付いてるのか。
「それに、MMPM(中距離多目的ミサイル)が装填された護衛艦に付いているより少し小型のVLSみたいのが、胴体に60セル、両腕に20セルずつ、両足に30セルずつ積んであります。一応、チャフやフレアも積んでありますが、そんな装備があの敵を相手にどこまで役に立つかはわからないです」
兵装の説明を終えて、そのまままた結構な距離を歩いて側面から後ろ側に回る。背中には正面側にはあまりなかった冷却ファンなどが目立ってくる。一部は稼働しているのもあるみたいで、ゴウゴウと唸りながら回っている。
「背中側には冷却系や整備系がまとめられていますので、前側とはだいぶ印象が変わりますね。当然、正面側は装甲が厚いですが、背面は薄いので、なるべく正面を向けて戦ってください」
なるほど、冷却装置があるとそこだけ装甲が薄くなるし、そんな場所が破壊されれば稼働に支障が出てくるだろう。それに整備のための大きいハッチから小さいハッチまで多数。
「全周・全体を防御出来れば良いのですが、そうすると重量がどんどん増えてしまいますので……それに、整備するにはハッチ類も設けなければなりませんし」
ここまで大きいサイズの稼働する建造物となると、整備するのも大変だろう。損傷したらパーツ丸ごと交換することもあるだろうけど、それはそれで弱点になったりするだろうし。
そんな感想を持ちつつ逆の側面まで回って来た時。
「上からも見てみる?なかなかの迫力ですよ」
「じゃぁ登ってみます」「行きます」「楽しみ!」「……」
その提案に、逡巡する一人。
「……竜崎はやめとく?」
「……ああ、うん、やめとく……」
「じゃぁ竜崎さんはここで待っていてね?」
そう促された先の、ダイ・サイガーの側面少し前側に整備用の昇降機があって、竜崎を除いた4人でそれに乗る。
ゆっくり上昇しながら、それに伴って変わっていく視点から見ると下から見ていたのとはまたかなり違う感じで、かなり高い所まで上がってきて止まった。
「ここで110m、頭部のある位置と同じぐらいですね」
この高さから見ると胸から頭部ぐらいがサイガー1だというのが良くわかる。
……ふと、竜崎はどうしてるか気になって真下を見ると……かなり怖いな……
……そんな事を思っていたら、
「わー、高くて見晴らしいいねー!気持ちいいね!ね?芹沢君!」
「……ソ、ソウダネ……」
南原さんは高いのはまったく気にならないっぽい……というか、なんかはしゃいでる。
「……では戻りましょうか。ここまで高いと見晴らしはいいんですけど、やっぱり怖いですね」
一通り見てからまたエレベーターで降りる。
地面に直接立つと正直ホッとした。なんというか、動かない地面に立ってる!って感じで。
その後、ミーティングルームに移って改めて説明を聞く事になる。
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