第12話 隕石落着!合体、白銀の巨大マシン襲来!

 そんな写真を見ながらワイワイとああだこうだと感想を言い合っていた時だ。

 不意に携帯が鳴った。僕のだけじゃなく一斉送信。それに気付いた周囲の人間はみんな自分の携帯を見る。さらに大きなサイレンが鳴り響き、アナウンスが流れ始めた。

『現在、4つの巨大な落下物体が高高度から飛来しつつあり、間もなく神杜市沖の海上へ落着します。対象地域にはかなりの被害が予想されますので、居住又は滞在している皆様は一刻も早く速やかに海沿いから離れるように退避してください。繰り返します……』

「え……?どういう意味……?」

 周囲に戸惑いが広がっていく。きっとここは対象地域た。この情報が本当なら早く逃げなければいけない。

 しかし……少し前からだろうか。今ならはっきりわかる。

「……何これ……?」

「マジ、落ちてくる?」

「……どうしよう、どうする……?」

「逃げるって言っても……どこへ、どっちへ逃げればいい!?」

 最初は遠くから聴こえていただけの、ゴオォッーっという地鳴りのような音と震動がどんどん大きくなり、次第に地震のような揺れになっていく。

 一刻も早く逃げなきゃいけないのだけど、もう立っていられないほど揺れていて、轟音は会話が聴こえないほどになる。

「……っっ!」

「…………!?」

「………………!!」

 はっきり4つが目視出来る程に近くになり、どんどん大きくなる隕石。

 そのまま落着するかという高さになって急制動して、ゆっくり海面に衝突した。小さめな津波が起きて、四方へひろがる。

 ついさっきまで、立っていられなかった程の振動と、隣の人の声すら聴こえなかった轟音が止み、一瞬静寂が訪れて、広がる安堵の空気。

「……あれが……隕石……?」

「あんなのがそのまま激突してたら……」

「何でかわからないけど助かった……?」

「はぁ……一時はどうなることかと思った……」

 四つの隕石は大きいのや小さいのや長いの。それが海面に浮いている。

 その海から海水を滴らせてゆっくり浮かび上がる4つの隕石たち。

 その隕石のように見えていた外側がボロボロと崩れ……人工物っぽい?白銀に輝く金属で出来た地肌が現れた。

「……何だろう……?」

「……何あれ……?何が出てくるの?」

 その四つの内の縦に長めの一個の、テトラポットみたいな突起が六個生えた上部を中心に伸びる三本のツタが絡み合った状態の根みたいのが、更にもう一度、二重に絡まって折り畳まれた状態から、捻じれて回転しながら解けていく。

 そのうねっている三本の根が独立して別れ、先だけが折れ曲がって足首になり、白波を立て濛々と水煙の上がる海上に直立した。

「三脚みたい……」

 確かに見た目は、捻じれて絡み合った根のような足に支えられた巨大な銀色の三脚。そこに、外殻が剥がれた二つ目の円盤がフラフラと飛んできて三脚の上に乗る。

 三つ目の大きめのお椀の左右から腕のようなものが斜め上に向かって突き出る。最後に頭部のような一つが積み上がってロボット?が完成したようだった。

 形状は三脚の上に円盤が乗ってそこから斜めに腕が生えていて一部に窓のようなモノが光っていて明滅を繰り返している。

 形状はシャープな曲線を基調とした曲面で構成されていて、表面はぱっと見金属の地肌むき出しの様に見えるけど、白銀をベースに斑に銀の帯が走っていて、全体に白い斑点を散らしたような三色迷彩。

 今日の様な良く晴れた日の太陽光が、その機体に反射してぬらぬらギラギラと白く銀色に輝く。大きさは70mぐらいだろうか。

 腕は足と似て、ぐにょりと捻じれて絡まっていて指は三本。

 頭部の二か所ではアンテナみたいなのがクルクルと旋回していて、額にある窓のような場所では光が回っている。

 なんとなくだけど、この地球上の文明のものではない。……気がした。


 グワワワワワッ

 グワワワワワワッ

 組み上がったロボットからは、唸り声だか駆動音だかのような重低音が大きく響き、それに合わせて三本の足を器用に動かして歩行を始めると、大きな足が動くたびに大きな白い波が上がる。

「何あれ……?」

「こっちに来る!?」

 そんな信じられない光景を逃げるのも忘れて、ただただ驚いて見守ったり、携帯を構えて見ている周囲の野次馬がざわざわとする。

 ただならぬ雰囲気がそのロボットから伝わる。

 殺気。そんな感じ

 次の瞬間、頭部の額の部分がギラリと光って熱線がビルを切り裂く。

 バフゥン!!

 遅れてやって来た衝撃波が熱風を伴って全身を圧迫し、被弾して切り裂かれたビルが炎上しながら倒壊する。

「走って!!逃げよう!!」

「……う、うん……」

「……ああ……」

 この辺から、さすがにヤバいと思い始めた人たちが本気で走って逃げ出す。

 僕たちも逃げ出した。

 また閃光が走り、ビルが切断爆発、遅れて爆音が響き、空気が震える。

 走りながら振り返ると、辺りかまわず破壊光線を放射して市街を攻撃している頭部が徐々にこちらへ向きつつあった。

「危ない、伏せてっっ!!」

 前を走っていた三人は前へ倒すように、少し遠い一人は服を掴んで前へ突き倒す!

「っ!?」

「えっ!?」

「あっ!!」

 と同時に、伏せて目を瞑っていてもわかるぐらい視界が真っ白になって轟音が響き渡り、高熱を帯びて圧縮された空気が熱風と衝撃波となって全身を覆い締め付ける。飛んできた大小のガレキにガラス片、コンクリ片が地面に激突して転がって耳のすぐそばでガツガツと音を立てるので、大きい破片が当たらない事をひたすら祈ることしか出来ない。

 ようやく、辺りが静かになって、恐る恐る顔を上げてみると……


 そこに広がっていたのは現実とは思えない地獄絵図だった。

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