第5話 絵の具の匂い
ひなたは、大学生になってから、初めてナンパされたのが、喫茶店でアルバイトを初めてすぐのことだった。
喫茶店でのアルバイトも、すぐに決まり、
「あなたが、来れる日を決めてくれればいいですよ」
ということで、
「じゃあ、三日後から来させていただきます」
と言って、曜日とすれば、ちょうど月曜日からということで、キリもいいような気がした。
月曜日の朝七時に来てみると、開店時間すぐくらいから客は入ってきていて、そのほとんどの人が寡黙で、スマホをいじっていたり、新聞を読んでいたりいう人が多かった。皆スーツ姿でモーニングセットを頼んでいる。これから通勤しようとしている人たちであろう。
早朝、スーツ姿の人ばかりかと思っていたが、少し時間が経ってくると、ラフな服装の人もいれば、すでに疲れたような人のいた、マスターに話を訊いてみると、
「ラフな服装の人は、近所の大学に通うために、このあたりの部屋を借りている大学生なんだと思うよ。そして、少し疲れた様子の人は、夜勤明けの人、昔からなんだけど、結構不規則勤務の人って多いんだよ。仕事が終わって、始発電車に乗ってくる人もいるようで、ちょうど駅についてこの店に来るのにちょうどいい時間のようなんだ」
という話だった。
ひなたは自分も大学生なので、大学生の佇まいというのは分かる気がした。なるほど確かに大学生。早朝の喫茶店に行くなら、あれくらいラフな服装をしているだろうと思えるほどの雰囲気は、大学生でしか出せないだろう。ダサいというわけではないが、下手をすれば、裸よりマシという程度の、ひなたから見れば、みすぼらしくみえて、本当は見るのも嫌だが、仕事だから仕方がないという程度のものだった。
それに比べて、夜勤明けの人というのは、服装はラフではあるが、動きやすい服ということで、機能性を生かした服装なので、そこまでみすぼらしくは見えない。これはひなたの独自の考えだが、
「どうせなら、作業着のままの方が恰好よく感じられるくらいだわ」
と思っていた。
ひなたは、どちらかというとマッチョな男性に憧れを持っていた。高校時代に付き合っていた先生もどちらかというとマッチョだった、見た目は着やせするタイプなのか、裸を見るまで、
「こんなにいい身体をしているなどと思ってもみなかった」
と思っていたほどで、最初はそこまで先生に嵌るつもりはなかったのに、関係が続いたのは、身体に魅了されたからではないかと思っていた。
それからというもの、マッチョな人に特に惹かれている自分を感じていた。もう、スリムな男性には、性的魅力を感じないのではないかと思うほどで、先生と別れてから、男性に抱かれたことはないので、最後の男性の想い出は先生であった。すでにあれから、二年ほどが経っているので、そろそろ男性の身体を忘れかけている自分がいるのは分かっているので、そろそろ、誰か付き合える相手がいればいいと思うようになってきた。
ひなたの中では、その頃までは、
「身体を許す相手は、付き合っている相手ではないとありえない」
と思っていた。
ただ、付き合うことを前提に、まず身体の相性を確かめてみたいと思うのはありだと思っていた。
ひなたにとってのありえないという相手は、
「一夜限りの一期一会のようなセックス」
であった。
あくまでも、身体を差し出す最低限の条件は、付き合うことを前提に、
「身体の相性を確かめ合う」
ということであり、その日だけの、
「お持ち帰り」
など、考えられなかった。
それはひなたの仲のプライドであった。このプライドはずっと前からあったものだと思っていたが、どうやら、先生と付き合ったことでできたプライドのようで、もし、先生と付き合うことがなければ、こんあプライドは自分にはなかっただろうと、ひなたは思うのだった。
その喫茶店では、店内の壁が木の柱とコンクリートで基本はできていて、白壁部分も結構あった。
しかし、白壁が多いのは上の方で、テーブル席の横あたりは、ほとんど木目調の壁で、本来落ち着いた佇まいなのだが、少し明るく感じるのは、少し上の白壁が照明に照らされることで、客は気付かない間に、暖かな明るさに包まれるという、粋な演出ができている喫茶店であった。
「これが、昭和の佇まいと残した中で自然とできる演出なんだよ」
とマスターは説明してくれた。
「なるほど、よく考えられていますね。昭和にはそういうお店が多かったんですか?」
と聞くと、
「思ったよりもあったかも知れないね。でも、私も昭和の頃は、まだ子供だったので、そこまで詳しくは分からなかったんだけどね」
と言ってマスターは笑っていた。
実は、似たような細かい演出は結構ところどころに施されているようで、
「このお店を始めようとした時、実は私の知り合いに、内装のコーディネーターのような人がいて、その人にいろいろ相談して、決めたんだよ。私などのような素人が考えもつかないような発想が頭の中に詰まっているようで、しかも、昭和の頃のこともよく勉強しているようで、かなり参考にさせてもらったんだ」
とマスターは言った。
「だから、ここは本当に昭和の懐かしさが感じられる場所なんですね?」
と、ひなたがいうと、
「昭和のような古き良き時代が、今は本当に遠い過去になりつつあるからね。古いものでもいいものはいいという発想が、駆け抜けるように時代が進んでいくと、なかなか感じることはないからね。だけど、一度感じてしまうと、病みつきにもなるというもので、きっと、ひなたさんも、私が感じたのと同じ思いができればいいなと思っています」
と、マスターは話してくれた。
「ここのお店には、結構芸術を志している人が多いんですよ。早朝の時間の大学生も、この近くにある芸術大学の学生さんが多いようで、たまにデッサンなんかしている人もいたりするので、その絵を覗いてみるといい」
とマスターは言ったが、
「そんなことしていいんですか? 人の作品を覗き込むなんていうのはまずいのでは?」
というと、
「そんなことはないさ。彼らは自分の作品を見てもらいたくて仕方がないんだ。出来上がったら、その作品を、この店で飾りたいと言ってくるんだ。だから、彼らの個展ようのスペースも設けているんだよ」
と言って、マスターは、奥の数枚の絵を指差した。
「あれは、大学生の絵なんですか?」
「そうだよ、彼らはこういうmi瀬谷ギャラリーを求めている。本当は個展でも開きたいんだけど、お金もかかるし、何よりもプロでもないのに恥ずかしい。それだったら、個展のようなかしこまった場所ではなく、喫茶店の一角なんかいいだろうと、結構探している人も多い。だから、うちも店だけではなく、どこでもいいから、展示の場所を提供しているところを探しているみたいなんだよ」
というのだった。
「近くに似たようなお店あるんですか?」
「似たような店ではないんだけど、サブカルチャーを応援するという形で、カフェとギャラリーを併設しているような店もあるんだ。どっちが本職なのか私にも分からないが、あのお店はマスター自身が芸術家なので、アーティストが大学生に限らず集まってくるんだよ。自分で個展を開くこともできるし、数人で集まってサークルのような形での作品展示もやっている。スペースを借りるのもただではないので、数人で集まってできるというのもありがたいことだよね」
と、マスターは教えてくれた、
ひなた自身は、さすがにプロではなく、ただ趣味としてデッサンなどを書いているだけなので、今まで考えたことはなかったが、今のアスターの話を訊くと、
「いずれ、自分もそれらのギャラリーのどこか一角でもいいから、展示できればいいな」
と思うようになった。
自分が大学生になって、今までは中途半端にしか過ごせていなかったが、せっかくデッサンを趣味にしているのだから、いずれはどこかで発表できればいいと思っていた。ネット上で公開はしているが、やはり実際に作品としてナマで人に見られたいと思うのは当たり前のことで、その意味でも、
「この喫茶店をアルバイト先に選らんで正解だったわ」
と感じたのだ。
その大学生たちが描いた絵というのは、さすが喫茶店ということもあり、風景画が多かった。
デッサンをしていると、風景画というよりも、目の前にある小物を描くことが多かった。電気スタンドであったり、瓶であったり。難しいところでは、瓶に生けられた花を描くこともあったりした。
最初の頃はなかなかうまくいかず、途中まで描いて諦めることも少なくなかったが。この喫茶店でアルバイトをするようになってから、なぜか、思っていたよりも完成することができるようになっていた。
マスターからも、
「芸術というのは、まずは完成させることが一番で、その後の体裁は、徐々についてくるものなんだよ。ローマは一日にしてならずというだろう?」
と言われた。
「そうですね。千里の道も一歩からっていいますからね」
と言い返すと、マスターは無言でニコニコしていた。
「このお店って、昭和にしたのは、今のようなデジタル時代であっても、基本は昔から変わっていないんだという意識があったので、昭和の佇まいにしようと思ったのと、私自身、子供の頃に親から連れて行ってもらった喫茶店で、何時間もいても、飽きることがなかった記憶があるので、そんなお店にできればいいと思っているんですよ」
とマスターがいうと、
「じゃあ、ここでは、コーヒー一杯で何時間もいる人とかいるんですか?」
とひなたがいうと、
「そうだね、私はそういうお客さんを無碍にすることはないんだよ。大体そういうお客さんはここで何か自分の趣味のようなことをしているからね。だから、ここでは電源もネット環境も十分に使えるようにしているんだ。私はこのお店を芸術を愛する人でいっぱいにしたいんだ」
とマスターは言った。
「それはいいことですよね。私はその考えに大賛成です。でも、今の時代では、何時間も粘っている人は、ゲームばかりしている人もいますけど、それもいいんですか?」
と聞くと、
「ああ、いいと思うよ。他のお店とか、今の時代しか感じない場所だったら、そこから別の発想は生まないだろうが、集中していて、ふと我に返った時、こういう昭和の佇まいの中にいると、急にタイムスリップしたかのような感覚になる人だっていると思うんだ。そうすれば、それまで芸術にまったく興味のなかった人でも、興味を持つようになるかも知れない。確率は低いかも知れないけど、皆無じゃないんだkら、それはそれで楽しみだよね」
とマスターはいう。
「確かにそうですね。私も少しデッサンのようなものを最近始めたんだけど、それも、何か普段と違った環境にいたような気がしたからなんですよ。いつもと同じ自分の部屋だったんだけど、いつもよりも何か薄暗さのようなものを感じたんです。その時にふと、デッサンでもしてみようって思ったんですが、その時一緒に何か匂いも感じたような気がしたんです」
と、ひなたは言った。
「同じ場所でも、環境に違いを感じた時、するはずのない匂いを感じるというのは往々にしてあるのではないかと私は思っています。それが人間のどのような感情と作用しているのかは分かりませんが、そういうところから、普段は感じることのないけれども、ひょっとするとその人の才能を目覚めさせるきっかけになっているんじゃないかと思うんだよ。その思いが、最近では強くなってきたんだけど、そのきっかけがこの店の開店だったのではないかと思っているんだよ」
とマスターは言った。
マスターとの会話から、ひなたは、デッサンを数枚描いてきて、それをマスターに見てもらおうと思った。最初に描き始めた頃の作品も合わせてになるが、デッサンというのは、やろうと思えば、どこでもできるから、気は楽である。
しかし、どこか静かなところに行ってみたいという気持ちがあるのも事実だが、なかなか行く機会もない。車があるわけでもないし、誰かが連れて行ってくれるわけではない。
「今度彼氏を作るとすれば、どこかそういうところに連れて行ってくれて、一緒に何か芸術作品をそれぞれで作ることができるような人であれば嬉しいな」
と感じるようになった。
マスターは、芸術の師匠として、尊敬に値する人ではあるが、あくまでもそれだけの人であった。正直、だいぶ年上の人は、先生だけでよかったのだ。
ひなたは、油絵のような凝ったものが描けるわけではない。デッサン中心なので、鉛筆画中心になる、マスターに、そのことを告げると、
「ああ、もちろん、いいとも。作品によっては、油絵よりもデッサンの方がよりリアルに見えるものもあるからね」
と言ってくれた。
「どういう意味ですか?」
とひなたがいうと、
「デッサンというのは、君も描いていると分かってくると思うんだけど、光と影のようなものを濃淡で表して、それを少し遠くから見ることで、立体感を味わわせるというのが基本なんだけど、元々、鉛筆は一色だけど、紙は白、つまり、白黒映像を見ているようなものなんだよ。君は白黒映像というのを見たことがあるかい?」
と言われて、
「以前、一度見たことがあります、高校の時に、映像研究部に所属している友達から見せてもらったんですが、確かにリアルな感じがしましたね」
と、ひながたいうと、
「そうだろう? カラーになると鮮明ではあるけど、その分、セットなどの仕掛けが見えてしまう。ピアノ線でつるしていたような昔の撮影方法だと、加工しないと、完全にセットだと分かるよね。特撮なんかでも、セットを組み立てて撮影していると、どうしても、背景が絵であるのは分かってしまうよね。昔の映像はそのあたりもありきで見ないと、なかなか理解するのが難しいと思うんだ」
とマスターは言った。
「白黒だと、そのあたりのごまかしがきくということですか?」
「実際に昔のお粗末な映像では、フイルム自体に傷があったりすれば、そのまま映像に出てくるからね。逆にその方が後になって見ると、却って新鮮だったりするんだよね。これも人間の心理なのかも知れないな」
と、マスターは言う。
「効果音なんかも、昔だったら違っているかも知れませんね」
とひなたがいうと、
「そうなんだよ。それは時代劇なんかで私は感じたものだよ。昔の白黒の時代。昭和三十年代などの映像を見たりすると、刃がぶつかり合った時の甲高い音はまったくしないんだ。まるで、木刀で斬り合っているかのような雰囲気に、見ていると白ける気がするんだけど、考えてみれば、役者さんは、あの状態で殺陣を演じているだよね。音もないのに、よくあれだけ迫真の演技ができると思うよね」
とマスターがいうので、
「でも、あの効果音は結構映像界では、革命だったんじゃないですかね? 本当に刀が重なった音というのは、あんな音が出るんでしょうかね?」
というと、
「出るんじゃないかな? でも私はあの音よりも、人が刀で斬られるという方が何かすごい気がするんですよ。だって、服の上から刀で斬るわけでしょう? 直接突くのではなく。あれで時代劇のように、何人も相手して、一気に斬れるものなのかって思いますよね。突き刺した方が早いのに」
とマスターが言ったが、
「それは、まずいでしょう。相手が一人だったらいいけど、たくさんの敵がいれば、突き刺してしまえば、抜くまでの時間に、斬られてしまう可能性がある。突きは、一対一でしかできないですよね」
とひなたは言った。
「その通りだね。ちなみに、槍などのようなつくことに特化した武器は、槍の先の方に赤い房を巻いていることが多いんだ。それは槍えいと言って、突いた時に相手が流した血が、柄に血が流れてこないようにするための血止めとして使用しているらしいんだよ」
と、教えてくれた。
「血の臭いって、どんな臭いなんだろう? 実は今までに、何度かいろいろな血の臭いを嗅いだことがあったんですが、その時々で臭いが違ったような気がしたんですよ」
とひなたがいうと、
「それはそうだろうね。血液の成分は鉄分などが含まれているので、身体の外で出れば、酸化してしまうだろうから、表に出てからの経過時間でも、随分匂いが違ってくるように思えるんだ」
とマスターは言った。
「それはあるかも知れませんね。ケガをしたりした時の匂いであったり、生理の時の匂いなどは、両極端な意味で、結構匂いがきつかったりします」
というと、
「自分の身体から出たものの匂いと、他人の身体から出たものでも違ってくるからね。意外と自分の身体から出たものの方がきついような気がするのは気のせいかな?」
とマスターがいうので、
「そんなことはないと思います。私も同じことを思っていたんですが、話が話だけに、楽しい会話の時にできるものじゃないですからね。マスターが相手だとどうしてできるんだろう?」
というと、
「それはきっと、相手が年上だという安心感があるのと、ひなたさんの中で、話が合うということを自覚しているからではないですか?」
とマスターは言った。」
「そうかも知れません。でも、安心感を年上の人に感じるのはいいことですよ。親をイメージする人もいるでしょうし、逆に親から安心感を与えられていない人が、年上に感じるものというと、親に感じたいものを考えるでしょうからね。それはやっぱり安心感なんじゃないでしょうか? どちらにしても、安心感を年上に感じるというのは、当然の感覚なんですよ」
とマスターは言った。
「それは自然に感じることができているということでしょうか?」
「ええ、その通りです。ひなたさんは、よく理解できていると思いますよ」
というので、
「マスターはまるで学校の先生みたいですね?」
と聞いてみると、
「ええ、私は、数年前まで中学校で教師をしていたんです。ちょっとした問題が起こって、責任を取って、辞めることになったんです」
というではないか。
マスターに懐かしさを感じたのは、元先生だということだからだろうか。だが、前に付き合っていた先生とはまったく正反対で、先生が肉食系のイメージが強く、簡単にひなたにひっかかったのと比べ、マスターは聖人君子のような人で、人間的に安心感と信頼がおける相手なのだと思うのだった。
「それから、もう先生を続けようとは思わなかったんですか?」
と言われたマスターは、
「実は、他の学校から来てほしいという話もあったんですけど、このまま続けることに疑問があったんです。別に教師が嫌になったわけではないんですが、辞めなければいけないことが理不尽だったということも当然のごとく思っていたので、そのせいもあって、せっかくだったら、他にやりたいことがあったので、そっちをやってみようと思ったんです」
とマスターが言った。
「じゃあ、先生をやっている時から、工芸作家をされていたんですか?」
と聞くと、
「学校を辞めてから、工芸作家の先生のところで勉強していたんですよ。それと平行して、店をやりたいと思っていたので、雇われ店長を探していると、ちょうどここがあったというわけです。先ほど話したサブカルチャーの店が近くにあるので、そこを少し意識はしていたんですよ」
とマスターはいう。
「ちょうど、昭和の名残のあるお店があってよかったですね」
「ええ、その通りなんです。ここのオーナーさんは、ここを売りに出そうか考えていたそうです。でも売りに出しても、建物が残る可能性は低いようだったので、たぶん、駐車場になるのがオチではないかと思うんですよ。だから、売りに出すのと、雇われ店長を募集するのとを並行して行っていたようです」
「マスターにとっては、願ったり叶ったりというところでしょうか?」
「ええ、そうですね。儲けはそれほどありませんし、教師をやっていた頃に比べれば、収入は低いですが、楽しければいいと思っているので、今は楽しくやらせてもらっているというところですね」
「楽しいのが一番。やっぱりこうやってマスターと話をしていると落ち着いた気分になれますよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです。ひなたさんも、どんどん作品を作って、いっぱい発表してみるといい。今まで見えていなかったものが見えてくるかも知れませんよ」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。さっそく絵を描いてきますね」
と言って、その絵が何枚か完成したところで、店に持っていった。
それがちょうど、話をしてから一週間後だった。
「結構早かったね」
とマスターに言われたが、
「ええ、描き始めると集中して描けるんです。逆に手が止まると、急に自分が今どこにいるのか分からないくらいになってしまって、不可思議な気分にさせられますね」
とひなたは言った。
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