第27話 悩

 千絵は一人で子を産もうか悩んでいた。

 貯金はある程度貯まっていたし、やはり堕胎など考えていない。彼氏は仕事をしていない。実家暮らしのニートである。


 結婚など考えられない、相手の性格上今から頑張るとも思えない。ただ寂しかったから抱かれただけで、避妊も勢いに任せてしていなかった。

 酔っぱらっていたし、だった。

 佐奈子に言えば笑われるか怒られるだろう。夏に言えば慰めてくれるかもしれない。

 ただそんなものは求めていない。結果誰にも相談できずにいた。

 それに勇気が出ずに検査もしていなかった。ただのストレスやホルモンバランスの崩れであってほしい。


 キャバクラで体系がわかるドレスに着替える時に「千絵さん、最近太ったんやないですか?」と後輩から聞かれた。

「やっぱりなぁ、同伴でスイパラとか焼肉とか行き過ぎたかも。ナンバーワン舐めんなよ」と笑いごまかしたが内心は穏やかではなかった。


 佐奈子は順調にいっているようで、もう九か月。あと少しで産まれる。歳は

 離れているが妹ができるような気分だ。

 それから一か月後、千絵はいよいよ仕事に行けなくなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る